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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
12/136

美容室の二人、ペランチョ王国国王タリラリラと会合


「私がペランチョ王国の王、タリラリラ・ペランチョだ」


「はじめまして。私は美容室パラレルのキクチです。作法もあまりわからず、無礼があるかも知れませんが、どうぞよろしくお願い致します」


「同じくナナセです。よろしくお願い致します」


「かまわん。楽にしてくれ」



 王様と簡単な挨拶を終えると、王様がニヤリと笑い…。



「良しっ!堅苦しいのはここまでだ!皆、準備するぞ!」



 王様がそう宣言すると、騎士や侍女が大きいテーブルや椅子を運び込みだした。そして謁見の場が一瞬にして会議場になっていた。きっとあらかじめ準備していたのであろう…。さっきの茶番はなんなんだよ…。皆が意気揚々とし、全員が椅子に座る。



「驚かせてすまんな!俺も一応王様だしな、威厳があるところを少し見せたくてな!」


「はぁ…ビックリしました」


「ここからここにいる全員、礼儀など気にする必要はない。好きに話せ!」



※※※



 そこから軽くワインや軽食を嗜みながら、皆で王妃様や騎士達の一連の流れや、漫画の話をしたりした。学者さんもいて魔道具という名の電化製品についての話なんかもあった。ちゃっかり王様は『戦神王』、王妃様は『美姫妃』の二つ名がナナセさんによって付けられた。今までの功績が説明され、ナナセさんが認めたのだ。王子と王女もせがんだが、ナナセさんが「まだ功績のないあなた達は二つ名持ちとして相応しくない」と言い切り与えなかった。一瞬会場がヒヤリとしたが王様と王妃様が大爆笑しながら「そりゃそうだ、これから研鑽を積むんだな」と言ったので事無きを得る。ナナセさん…神経が図太いよ…。



「よし変えよう!」


「何をですか陛下?」



 突然、変えると言った王様。ヤッカム様が少し不安そうに聞く。



「キクチとナナセよ、お前達は俺の名前どう思う?」



 皆はポカンとし、何を言っているの?という顔をしている。だが僕達は違う。何故なら国名含め名前がすごくダサいと思っているから。以前に王妃様のファッションを、酷評した時と同じ流れだ…。今は好きに喋ることを許されている…。逆にごまかす方が不敬になる気もするし、あえて正直に言わせてもらった方がいいか…。



「王様、正直におっしゃって良いのですか?」


「かまわん。本音が聞きたい」


「では失礼ながら、王様。正直、僕達はこの国の人々にネーミングセンスは無いと思っています。王の名に限らず」


「ペランチョがまずダサいですもんね!」


「ナナセさん!もう少し言い方を考えて!」



 少し酔って、気が大きくなっているな…。ナナセさん後で説教だ。



「やはりな…そうだと思った」


「陛下、それはつまり…」


「そうだ。名前を変える!」



 皆ビックリしている。当然だ。いきなりの改名宣言。しかも王国のトップがだ。



「陛下!それはどうかと…」


「お気は確かで?」



 ヤッカム様に限らず、他の貴族や騎士方も止めにはいるが…。



「それは言い考えですわ!タリラリラ!私も美姫妃の二つ名をもらってから、オヒオヒという名前が見劣りしていると思いましたの」


「だろう!俺も全く同じだ!戦神王の名に相応しい名が欲しくなった」


「父上!僕も良いでしょうか」


「お父様、お母様!私も!」



 参加している王族全員が、改名を求めてしまった…。なっなんてことに。チラッとナナセさんを見ると、既に名付ける気満々のように見える。お酒って怖い…。



「確かにそう言われると私も…」


「俺も、もっとカッコ良くなれる気がする」


「私は二つ名がないですけど、なんか憧れます」



※※※



 その後、しっかりと話し込んだ。あまりにも沢山変えると色々と支障が出るので、直の王族のみとなった。つまりこの場にいる四人のみだ。最後まで揉めたのは、名字のペランチョを変えるかどうかだったが、王族が全く譲らなかったので変えることになった。結果的に、そう…国名が変わるのだ…。



「王様はジークフリート・ヴァン・オースリーでどうですか?ヴァンの意味は、王に近い親戚や王位継承権がある方のみ付けるミドルネームみたいなものですね。気軽に呼ぶならはジークって呼ぶのもありですね」


「ジークフリート…ヴァン…オースリー…うぅっなんということだ…ナナセよ、本当に感謝する…」



 王様は喜びに打ち震えているようだ。ナナセさんは何となく付けたのだろうが。



「つっ次は、私よ!」


「王妃様はアフロディーテ・ヴァン・オースリーで略称はディーテでどうですか?」



 そのまま残りの二人にも名を付ける。王子はルードヴィッヒでルード、王女はローズマリーでマリーになった。この二人に関しては以前の名前すら知らないままだ。名前を付けてもらえない人達でも、公爵の方がヴァンが付くことを喜んでいた。タハラシ様もその一人だ。アントレン様は大変悔しがっている。



「なんだ…このカッコ良さは。ミドルネームなんて発想は無かったしジークフリート、オースリーの響きも最高だ!今日から俺はジークフリート・ヴァン・オースリーだ!この場では皆ジークと呼ぶがいい!はっはっは!」


「ジーク…素敵ですわ!私も公式の場以外ではディーテと呼んで下さいな」


「僕も!ルードって呼んで下さい!」


「私もマリーって呼んでね!」


「じゃ今からこの国はオースリー王国になったから後はよろしくな!」


「陛下…」


「ヤッカム、ジークと呼べ!」


「では…ジーク、諸外国にはすぐに連絡を入れます。国民にもすぐ伝えましょう」



 そのまま各領地や、諸外国の対応準備を始めた。話を積めた結果、各領地も名前を付けることになった。今は一の街から十の街がある。今、全て決めるのは大変なので、ナナセさんと確認の上で後々しっかり決めることに。ちなみに今住んでいる街は二の街であるが、この街だけはサロンの街と改名された。美容室があるからと、ナナセさんが軽く決めた。ていうかそんな簡単に国名とか変えてもいいの?ペランチョ王国はたった今、滅亡したんだよ?愛着はないの?この国の人々の決断力と行動力はどうなってるの?



※※※



「では髪を切ってもらおうか」



 話も終わり、とうとう王様のカットをすることに。王子と王女もお願いしてくるので了承した。美容室ではないので、シャンプー台もドライヤーも使えないがそこは我慢してもらおう。王族は、現在三人とも金髪ロングだ。全員お任せカットで、そして王様はまだ誰もしてない目立つヘアスタイルにしてくれとのこと。因みに王妃様は父親のヤッカム様と同じ金に近い茶髪。



「では部屋を移動するぞ」



 展開の早さに戸惑いながら、そのままカットする部屋へ移動する事に。そこでまた僕達は色々と驚かされるはめになる…。



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