表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
112/136

集落の可能性、街への発展


「こちらが、我々を助けてくれた方々です。キクチさん、ナナセさん、マイさん、アントレンさんです」


「どうも、よろしくお願いします」



 会議は始まった。他の集落の方々はリトールに来て、かなりの驚きを見せていた。砂塵の舞わない環境、確保された水源、増え始めている緑、と自分達の集落とはかなり違う現状に目を見張る。そして彼等は期待を胸に、ここにいるのだろう。



「ここに来て、良くわかっただろう?これから変わって行くぞ。お前達はどうする?」


「出来れば…ここに受け入れて貰いたい…スーモルの集落はそう願う」


「俺達、ビグーもだ…」


「私達、ラジーもよ…ここに引っ越して来たいわ…」



 他の三集落には、新しい水源は無い。ならここに来て、一緒に生活するのがベストだろう。小さい集落を集めて、街に変えていく方が今後良いかもしれない。



「好き勝手言うな!」


「まずは謝れ!」


「恨みは忘れてないぞ!」



 リトールの住民から怒号が飛ぶ。彼等は許せない事実があるのだ。



「あっあれは、しょうがないじゃないか!」


「そうよ!正当な勝負だったじゃない!」


「そもそもお前らが、変な事を言い出したんだろ!」



 争いの原因は、小麦だった。各集落で収穫は行っているが、何があっても良い様に、全部集めて分配していたらしい。だが前回の分配で…。



「そもそもリトールが最後の一袋を、じゃんけんで決めようって、言い出したんだろ!」


「私達は、平等に分配しようとしたのに…」


「ぐっ…それは、そうかもしれないが、ラジーがじゃんけんで遅出ししただろうが!」


「それこそ言い掛かりだ!負けたのを認められないからって!」


「しかも…その後…そっちの三集落で分配しただろうが!始めから徒党を組んでいやがった…」


「当たり前でしょ?そもそも平等に分配しようとしてたんだから…」


「それが卑怯だと言うんだ!それならリトールにも…」


「それこそおかしいだろ!リトールが言い出したんだぜ?最初から分配してれば、そんな事にはならなかっただろうが!」


「しかしそれでは…」



 馬鹿馬鹿しい…。こんな下らない事に、僕達は気を使ってたのか…。むしろリトールの集落が、悪い気がするよ…ていうか悪いと思う…。この世界らしいけどさ…。昨日話を聞いた時点で、正直呆れてたけどね。



「まぁ、皆さんもそう言わずに、喧嘩両成敗って事で…」


「キクチさん…しかし…」


「正直、僕達はどうでも良いです。そんな事はもう忘れて下さい。皆で協力出来ないなら、僕達も協力しませんよ」


「そんな事って…」


「そっそれは困ります…!」


「店長の言う事を、聞いて下さい!皆さんもいい加減にして下さい!」


「でっでも…」


「キクチくんも、下らない事に時間を使いたくないの」


「「「「「……」」」」」



 その後はナナセさんの計らいで、何故か皆で握手させられた。僕達もね。色々と危なかった…。もう少ししてたら、ナナセさんとマイさんが鬼神化してたと思うよ。いきなりそれは危険過ぎるからね…。



※※※



「じゃあ、早急に皆さんはここに引っ越して下さい。家は大丈夫ですか?食料とかも…」


「空き家もあるし…各集落から色々と運べば、何とかなるだろう。食料も、全部持ってくれば問題無いはず」


「僕達がマジックバッグを持ってますから、手伝いますよ」


「それはありがたい!」


「老人の方々や子供は、魔動車や魔単車で運べるしな」


「アントレンさん、助かります…」



 次々と引っ越しの計画が決まっていく。無事に解決しそうだ。でもまだ問題は沢山ある。



「そうか…向こうは無事だったのか…」


「お前も息子が…向こうにいただろう…」


「妻もな…でもこっちで、新しい家族が…」


「お前だけじゃないさ…他にもいる。それに向こうだって、俺達が生きているとは思ってないしな…」



 お互いに死んだと思っているから、新しい家族が出来てる人もいるだろう。それは仕方が無いと思う。とうなるにすれ、せめて生きていた事だけでも、報告はして欲しい。



「まだ砂障壁の…突破口が見付かってないからな…その不安は置いておけ…」


「それに、古代遺産をダウンジングするにしても、砂障壁の近くは危険だからな…慎重に進めよう…」


「取り合えず、この集落を活性化させるぞ。たった数日で、緑も増え始めてる。野菜や穀物も植えていくからな…開墾や建築もある…かなり忙しくなるぞ」


「ああ、期待してる。やってやるさ…この十年耐えてきたんだ…」


「死んでいった仲間や家族もいる…それを忘れずにいこう…」


「キクチさんが、有り難い事に、野菜の種や土も用意してくれる。皆、本当に感謝してくれ。そしてしっかり協力してくれ」



 そして皆が一つになる。僕達も色々と用意はするし、手伝いもする。きっとリリーシュ様が、そう望んでるはずだからね。



※※※



「じゃあ早速、取り掛かりましょう!引っ越しが終われば、店長が大宴会を開いてくれますよ!お酒にお肉に最高です!」


「「「「「ウォォォォー!」」」」」



 ナナセさん勝手な事を…。まぁ確かにお金はまだまだあるし、僕もそうするつもりだけどさ、いつも当たり前だと思わないでよ…。



「私は魔単車で、子供を運ぼうと思います!二人なら乗せれるはず!」


「私はキクチくんと一緒に、土や種の買い出しかな?バーベキューの用意もついでに」


「俺は魔動車で、老人を運ぶか。マジックバッグで荷物も手伝うしな」


「まぁ頑張りますか!」



 そして僕達は動き出す。新しい街を砂漠に作る為に。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ