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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
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美容室の二人、王都へ


 二つ名騒動がやっと終わり、これで本来の美容師としての仕事に集中できると思っていた。しかし宰相ヤッカム様にあることを言われる。



「申し訳ない。王都に来てほしい」



 今じゃヤッカム様は常連客の一人だ。冒険者ギルドのマスターヤシノさんと同じ様に、毛もフサフサになった。服装も以前よりシンプルでスマートになった。ハゲたダサいお爺様から、素敵なおじ様に思いっきりランクアップしている。



「陛下がな…ここに来れなくて少し拗ねている」


「拗ねるって…王様がですか?そんなに忙しいんですか?王妃様だって、何回か来てるじゃないですか」


「陛下は訪問者や外交の仕事も多く、王都を簡単には開けられん。それに私の娘は簡単に止まらんし、陛下よりは自由が利く」


「確かに王妃様の行動力は凄いですもんね」



 王妃様は今、社交界で大活躍らしい。茶会やパーティー等での、今までにない新しいヘア、メイク、服装で貴族から注目の的になり、特に女性人からはカリスマ的人気になっているのだそう。ありがたい事に、この国でオシャレの伝道師をしてくれている。頼んではいないが。



「本来ならば、貴族はそうそう自領から出れないものだ。只、ここは王都から半日もかからない距離で来やすいからな。娘も無理できる」


「騎士の方やヤッカム様は、しょっちゅう来ますけど…」


「私達は魔法で大分早く来れるからな。騎士達はここまで来ることが一つの訓練としているくらいだ」



 そうだったのか、道理でしょっちゅう来るわけだ。聞くと、魔力の高い人は王都からここまで、一時間も掛からないらしい。馬と自分に身体強化の魔法を掛けるそうで、騎士には良い訓練にもなるそう。ヤッカム様もある程度は名の知れた魔法使いらしく、問題なく来れるらしい。



「王族にはさすがに、そんな事させられないですもんね」


「その通りだ。まぁうちの娘は、それで来ようとしていたがな…」


「王妃様…」


「ま、そういう事だ。陛下はもちろん王子や王女に、他の貴族も登城を望んでおる。それに騎士達は、ナナセに騎士の誓いを見せたいらしい」


「はぁ…わかりました。謁見だけで良いんですよね?」


「それが髪を切る道具を一式、持ってきてくれんかな。シャンプー等は無理だろうが、髪は切ってもらいたいらしい」


「…わかりました」



 ビックイベントの開幕だ。この世界に来てまだ半年位なのに早すぎるよ…。それでも訪問日はこちらの都合に合わせてくれるらしく、一応次の定休日にしてもらった。たまたま月に一度の連休とタイミングが合った為だ。その日に朝早く迎えが来て、昼には謁見できるような流れになるらしい。服装も気にせず、いつも通りで良いらしい。



「ところでナナセ殿」


「何ですか?」


「私もそれなりの魔法使いだし…実績もあるし…二つ名があっても良いと思わないかね?」



 突然ヤッカム様がぶちこんできた。騎士達にかなり嫉妬していたらしい。そして結局、ヤッカム様には『瞬神の宰相』の名が与えられた。移動が早いから…。



※※※



 王都に向かう当日、夜が明けた位には馬車が迎えに来て出発した。一通り自分達の道具も持ち、一応新しい漫画も持参した。今回は格闘技漫画やファンタジー物だ。チラッと見せたら護衛が大興奮していた。



「町から出るのは初めてですね!」


「そうだね魔物とか出るのかな?」


「どうなんでしょうね?でも景色がキレイですよ!」



 今は戦争もなく、国内が安定しているので、騎士団も魔物討伐をマメに行えるので魔物は少ないらしい。冒険者ギルドもかなり助かっているそうだ。



「平和って大事ですよね!」


「本当にね」



 景色を楽しみながら初めての馬車旅を楽しんだ。お尻が少し痛くなったが、特に問題もなく王都に着くことができた。



「大きな街ですね!」


「確かに。さすが王都だね」


「観光できますかね?」


「どうだろう…今回は無理かもね」



 ビックイベントが簡単に終わる気もしないので、観光にはあまり期待せずにいるべきだろう。次来る時は、普通に観光しよう。今回は、馬車から街並みを見られただけでも良しとする。そしてあっという間に王城が見えてきた。



「大きくてキレイなお城ですね!」


「そうだね。まさに中世ヨーロッパみたいだね。それにブライダル雑誌に出ていた建物を参考に改築したらしいよ」


「王妃様が張り切ったんですねきっと!」


「建築士の方も大変だったらしいよ。突貫工事じゃなきゃ良いけど…」



 馬車を降り城内に、案内される。荷物は全て騎士に預けた。勝手に漫画を読みそうなので、一応注意しておいた。そしてお城に入ったところでタハラシ様が迎えてくれる。どうやら案内してくれるようだ。



「お待ちしていました。ここからは私が案内させて頂きます」


「タハラシ様、こちらこそお招きありがとうございます」


「ふふっ、いえいえ…こちらが無理言ってますからね」



 その後もタハラシ様と会話しながら歩いていく。騎士の誓いをした時のエピソードや自慢話とかもね。



「あの時のアントレン達の顔といったら…おっとこちらの部屋になります」


「ということは…」


「はい。この先で陛下がお待ちです」



 大きな扉の前に立ちタハラシ様が叫ぶ。



「インペリアルガード、タハラシ入ります!二の街より美容室パラレルの二人をつれて参りました!」


「入れ」


 

 声と共に扉が開く。部屋の中は広く豪華だ。奥の一段高い場にある椅子に座っているのが、おそらく王様だろう。隣には王妃様がいる。近くにいる子供がおそらく王子や王女だろう。周りにはいつも来店してくれいる、インペリアルガードの方々も控えている。部屋の脇には宰相様や他の貴族らしき人達も…。そしてタハラシ様に連れられ王の前に膝まづく。



「陛下、お願い致します」


「うむ」



 さて…どうなることやら…。問題なく終わりますように…。


 

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