愛しの女神は、勇者を愛しすぎている
ふと目覚めると、俺は、知らない場所にいた。今まで自分が何をしていたのか、全く思い出せない…わけではないというかハッキリと覚えている。―――今日俺は、人生初の告白を成功させ天にも昇る気持ちで、帰宅していた。自転車をこぎながら俺は、明日から始まるリヤ充ライフに、生きている喜びすら感じてた。そんな上の空の状態だった俺は、当然だが、周囲にくれる目など一つも持ち合わせていなかった、だから、まさか信号をガン無視して、車の飛び交う車道に突っ込んでいるなんて夢にも思っていなかった…―――
「はぁ~…なんでこうなるんだよ…」
完全に俺死んだじゃん!!デブスだから!?デブでブスが、リヤ充しようとしてたから!?ふざけんな!!これがもし、神様の仕業だったら一生呪ってやる!!そう神様が悪いんだ、決して俺の不注意が原因なんてことわない!!………やめよう。なんか悲しくなってきた。
目が覚めてからどれくらい経っただろう。あの青い空とその空を鏡のように映しているこの海は、どこまで続いているんだろう…あれ?よく考えたら俺今、水面に立ってんじゃん!!スゲェ~なんてことを考えながら当てもなく歩いていると、突如、目の前に光の玉?が現れた。
「ウッ…」
不意に現れた光の玉?に目が眩んだ俺は、腕で顔を覆い目を伏せた。しばらくするとそれは、人のような形になり弾け散った。俺は、腕をおろし、もう一度それがあった場所を見ると、そこには美しい女性が立っていた。修道着に身を包んだその女性は、シルクのように艶やかで純白の髪に雪のような白い肌、何よりこの空よりも蒼く透き通った瞳からこの人が、「女神」かと思ってしまった。彼女は、俺と目が合うと、こちらに向かってほほ笑んだ。俺は、勢いよく顔を伏せた。ヤバい美しすぎる!!
「あなたが、須々木 直春様ですね」
「ヒャイッ!!」
思わず声が裏返ってしまった。しょうがないよな?こんな人に名前を呼ばれたんだもん…
「私は、ペルセポネー。女神です。あなたをずっと待っていました」
はい、おちましたぁ~~~完全に俺この人の虜になりましたぁ~いやもうシモベデごさいます。ペルセポネー様マジ「女神」!!ってか誰だよ神様呪うとか抜かしてたやつ!!
「実はあなたにお願いがあります」
「何でしょうか。何なりとお申し付け下さい」
あと、踏んでください!!
「本当ですか!?ありがとうがございまっす!!それでは、あなたに世界を救う救世主を…」
救世主をして欲しい?なにそれ断る理由がないじゃん!!
「手助けする役を担って欲しいのです」
「はい!! …ってえ?」
………………………え?
「え? …ああ、まずは、ことの経緯をご説明したほうがよろしいですよね。失礼しました」
と女神さまは、軽く頭を下げた。いやいやそうゆいことじゃないんすよ!!
「それでは、ご説明しますね。」
だからそうじゃないですけど…もういいや、おとなしく話を聞こう。
「まず、あなたをここに導いたのは私です」
やっぱりか…
「そして、今からあなたを転生させる世界には、すでに救世主になる予定の勇者がいます。私は、その勇者に恋をしております」
なるほどなるほどってえぇぇぇ!!!!
「なので、あな…」
『ちょっと待てえぇぇぇぇい!!!!』
「ど、どうなさったのっですか!?」
「どうなさったのですか?じゃねーよ!! それとなんで俺が死んで転生しなきゃいけない理由と結びつくんだよ!!!!」
あとその勇者ぜってーころす!!!
「ですからそれを今から説明しようとしていた時に、あなたが、邪魔をしたんじゃありませんか!!」
え?あ、そうだったのか…
「すいません続けてください…」
…本当すいません
「まったく!! せっかちな人は嫌いです!!」
女神さまは、頬を膨らませプイッとそっぽを向いてそう言った。嫌われた、死にたい…
「まあぁいいです。それで、説明を続けさせいただきます。なので、あなたにはその勇者を影で援助してもらいたいのです。何故かというと勇者の現状を知りたいというのもありますが…」
「ありますが?」
どうしたんだろう?
「何より、その世界のモンスターが、尋常でなく強いんです!!」
と、少し涙目でそう告げる女神さまに対し俺は、迷わず…
「で?」
と一言放った。
「は、え?」
女神さまは、凄く困惑していらしゃっる。
「いや、だからそれが何だったていうんすか?」
「心配じゃないですか~~」
相当混乱しているらしい。キャラが壊れてきていますよ、女神さま…
「……」
「………あの、女神さま」
俺は、しゃがみこんでうつむいている女神さまに近寄った。
「…何でしょうか…」
と腕から少し目をのぞかせて答える彼女の目は、さっきまでの澄んだ空のような眼ではなく、死んだ魚のような目だった。
「さっきはお気持ちを察出来ずすいませんでした」
「いえ、こちらも急に取り乱したりしてすいませんでした…」
うつむきながらそう女神さまは、答えた。
「………」
「………」
気まずすぎんだろ!!水面の上に、美女とデブが黙りあってるとか何だこの状況!!自分で壊しておいて何だけど、さっきまでのファンタジーチックな雰囲気を返してくれぇぇぇ!!!!そうだ、聞かなきゃいけないことがあった。
「あ、女神さま質問なのですが」
「…はい」
「〈手助け〉というのはどんなことをすればいいのですか?」
「ああ、それは…って!! もしかして、やってくださるのですか!?」
「まあ~いつまでもここにいるってわけにも行きませんしね」
勿論女神さまが、ずっと一緒にいてくれるなら話は別ですよ?
「ヤッター!!!! それでは、お答えしましょう♪」
満面の笑みで話す彼女を見て俺は、この笑顔を守りたいと心からそう思った。もう、数分前の顔になんてさせない!!
「まずあなたに、私のチカラを分け与えた状態で転生してもらいます」
ふむふむ
「そして転生したら、武器や魔導書などその他もろもろの支給品を贈ります」
なるほどなるほど
「以上です!!」
「さすが女神さま!! ってオィィィ!!!!』
「またですか!!」
「またですかじゃないですよ!!」
駄女神か!?彼女は、世にゆう駄女神なのかッ!!
「荷物を受け取ったあと俺は、どうすればいいですか!」
「ですから、勇者にあっててだすけを…」
「いいですか、女神さまあなたは気が付いていないかもしれませんが、俺その勇者の顔も名前も知らないんですよ!」
「あ…」
今この人「あ」ったよ!マジかよ本当に気が付いてなかったのか!
「それに今勇者がどこにいるのか分かってるんですか?」
現状知りたいとか言ってる当たりあんまり期待してないけど…
「お恥ずかしいことながら,よくわからないのです」
と苦笑いしながら答えられた。やっぱりか…
「なにせ前にお会いしたのが、11年前ですので…」
「女神さまもう会うは諦めましょう」
そして、俺と結婚しましょう。
「なぜそんなこと言うのですか!!」
またも少し泣き目になる女神さま。
「だって考えて下さいよ。 勇者ということ以外は、何も分かってないんですよ? こんなの砂利の中から目当ての石を探すときに〈丸い石〉っていうヒントだけで探すようなものじゃないですか!?」
「やはり無理なのでしょうか…」
「無理でしょうね~」
まあ~でも、転生だけは、させても~ら~お♪
「仕方ありません。 ココもあの世界も破壊してしまいましょう…」
そうそう、さっさと破壊させて下さいよ~……ン!?破壊!!!!!
「え? 女神さま? 冗談ですよね?」
まさかですよね…?
「言い忘れていましたが、私【死】と【破壊】の女神ですの…」
な……なんだって――!!ヤバいヤバい!!色々とヤバいけど特に女神さまの顔が!!口は笑っているけど、もう目が、死んだ魚すらいないような深海のような深淵のようになってる!!!!…まあこれはこれで、謎の魅力が…なんて考えている場合じゃない!!
「そ、そんなことしたら、女神さまも消えちゃいますよ!!」
「大丈夫ですよ…彼の居ないこの世界にい続ける価値なんてありませんので…」
何この人怖!!
「あ゛ぁ~もう!! 分かりました。 何とかしますから~!! だから落ち着いてください!!」
「……本当ですか…?」
「本当です!!」
「…では、いってらっしゃいませ~♪」
そう、女神さまが言うと俺の足元に大きな魔法陣が展開した。
「え?」
俺の体がゆっくりと浮かび光り始めたが。とてつもなくベタな転生の仕方だったのでそれほど驚きわなかった。どちらかというと、どうする考えるので精一杯だった…
「ハァ…」
本当どうなるんだろう俺…
「あ、そういえば女神さま」
「何でしょうか?」
「何故、俺を選んだのですか?」
「ああ、それは…」
それは!?
「ルーレットの結果です!」
これを聞いて俺は、初めてこの女神さまに殺意が芽生えた―――




