6話目『兎、時に自傷し他傷する。故に切ない物語。』
お久しぶりです。やっと再起動しました。傷だらけの少年、星野夜です。
今回は第6話となる訳ですが…自分でも未だに先が見えません。現在、この小説を評価してくれている人は2人。ありがとうございます。ほとんどの方が見てない中、あなた方は私の小説を見てくださってる。それだけで私は十分です。でも、夢としては…もっと他の人にも見ていただき、それでもって評価してくだされば幸いです(自分、調子に乗りすぎました)。ただ、それが叶わなくても…僕の小説は終わりません!これからも…こんなこと言うのはまだ早いのかもしれないけど…救世部の活躍・部活動などをお送り致しますので、よろしくおねがいします!
さぁ、気を取り直して、6話目『兎、時に自傷し他傷する。故に切ない物語。』をご覧ください!
金曜日の放課後、救世部室内。もう説明なんて必要ない。と言う、説明も必要ない程、救世部の室内は在り来りな光景だった。だが、説明はしておく。ソファーに寝転がりながら漫画を読む兎姫。その横で静かに椅子に座る海美。机に突っ伏し眠る直樹。その近くでゲームをしている響。
救世部は毎週金曜日になると、休日中の依頼を受ける。休日中の依頼は金曜日に予約しておく訳だ。
「兎姫さん、休日中の依頼についてですが…。」
「んあ?休日の依頼?…メンドーだな。これ以上、俺らから休日を奪わないでくれ。俺達にだって、休みは必要だろ?この前の休日なんかー。」
兎姫は海美を見つめた。海美は申し訳なさそうにしている。
「すいませんでした…。」
と、小声で俯き言った。
「まぁ、海美については気にしてねぇ。ってか、もう忘れた事にしてる。あの騒動は全て、あのクソ集団がやった事にしてるからな。はぁー、俺もそろそろ疲れてんだよ。敵を殲滅すんのとか、罰を与えてやる事とか、強敵とガチで喧嘩すんのとか…。」
「全部、部活動とは関係ありませんよね?!」
「ああ?そんなん、気にすんな!あれは成り行きだろ?…だからな、俺が言いたい事は一つ、休ませろよ!」
その時、
「JUST RIGHT!」
と、どこからか声が!
「この声は氷見ちゃん!」
兎姫は輝く目でそう言った。
扉が開き、救世部担任教師、氷見が入ってきた。今日も科学者の白服姿だ。
氷見はソファーの縁に座った。
「兎姫、そんなに休みたい?」
「もっちろんでぇす!」
立ち上がってそう叫んだ。
「相変わらずの威勢ね。…実はね、今日はある提案をしに来たのよ。」
その声に、兎姫と海美は集中顔になった。
「土日は休んで良いよ。」
意外な言葉に一瞬、フリーズした2人。それからしばらくして、
「っしゃあ!休みだ!めっちゃダラけて過ごしてやるぜっ!」
と、兎姫は興奮気味。
「たーだーし、一つだけ条件があってね。」
そう言った氷見。その表情はどことなく悪意に満ちていた。
土曜日、救世部は公園にやって来ていた。太陽がカンカンと照りつける中、4人は草むらに身を潜めている。
プ~ン…パチンッ!
「クソ~ッ!蚊がウザってぇ!さっきから顔の周りをプンプンプンプン!黙れ、クソムシ!テメェらはそんなに死にてぇのか!」
蚊にマジギレしている兎姫。素早い蚊をさっきから潰せず、苛立っている様子。
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ、兎姫さん。蚊も生きるのに必死なんですよ。」
「そんなに必死になるくらいなら!俺が一瞬で息の根を止めてやらぁっ!」
イラついた兎姫はついに、オールを持って立ち上がり、振り回し始めた!どうせ、当たるわけないのに。今の兎姫は冷静さが欠けていた。
「ちょっちょっ!兎姫、お前!俺らに当たったらどう―――」
直後、その言葉は真実となった。振り回していたオールが直樹の顔面に直撃した!直樹は茂みに飛ばさされ倒れ込んだ。暑いせいもあって、鼻から血が滴り落ちた。
「はははは!今のは相当いてぇぞ。可哀想にな、直樹。しっかり周りを見てねぇから、そうな―――」
直後、周りを見ていなかった響はオールが直撃し、倒れた。
「ブハハハハッ!オメェもだ、バーカ!」
「二人共、大丈夫ですか?!余所見してると―――」
直後、余所見していた海美はオールが直撃し、吹き飛ぶ。
「…余所見…してるとこうなるから…。」
兎姫はようやく落ち着き、元の位置に戻った。
「あれ?オメェら、そんな所で何してんだ?」
人ごとの様な口調で兎姫は言った。
今回、救世部は休みをもらった。まぁ、ここまでは良いとして…実は、ある事を成し遂げない限り、休みがもらえないと言う条件だった。
その依頼とは、公園占領防止。近頃、公園を占領する集団がいるらしい。得に休日の昼。それを防ぐため、救世部はここにいる。
「なぁ、海美。これよぉ、俺ら必要ないんじゃね?そんな集団、兎姫が一網打尽にすんだろ?」
その通りである。
「まぁ…そーですけど、一応、私達も救世部員ですから。」
「海美は仕事熱心で良いよなー。俺なんかはいつも視界真っ暗だからな。」
直樹はそう呟いた。
それからしばらくしての事。奴らはやって来た。その数、約10名。その中に、見覚えのある人物が!それは兎姫と戦った相手、Gだ!鼻に包帯がついている。あの時、兎姫がGの顔面を地に叩きつけた、その負傷だろう。
「あいつぁ、あの時の!良いじゃねぇか、有言実行でお前の顔面を綿雲のように腫れさせてやらぁ!」
兎姫は立ち上がり、オールを持って走り出した!
「ちょっと兎姫!お前、あの相手の数、無謀だ!」
兎姫は振り向かず、
「っせぇな!俺の辞書に『無謀』と言う文字は無い!」
「ナポレオンか!兎姫さん、ご無事を祈ります!」
兎姫はオールを振って答えた。
Gは走ってくる兎姫に気付いた。その瞬間、表情が固まる。
「じぃぃぃぃぃっ!テメェ、気に食わねぇからぶっ潰す!」
兎姫は電子タバコを口に咥え、オールを構えた。今回は珍しくオールを二本持っている!
「あぁ!兎姫さん!それは駄目ですって!」
海美は急に取り乱して叫んだ。
「どーした、海美?何かあんのか?」
直樹は不安そうに答えた。
海美は焦り顔で答える。
「実は昔…一回だけ、今みたいにオールを二本構えた、兎姫さんを見た事があるんです。オールを二本持った兎姫さんは…何と言うか…恐ろしく、そして…鬼でした…。」
響は好奇心で海美に訊く。
「おいおい、それってどう言う意味だ?」
海美は緊張した面持ちで説明した。
「その前に、兎姫さんが電子タバコを吸ってる事について…知ってますか?」
2人は首を振る。
「そうですか。…兎姫さんが電子タバコを吸ってる時、それはあの人が本気になった証です。あの状態の兎姫さんの身体能力は尋常じゃありません。問題はそれじゃないんです。」
海美はひと呼吸入れた後、続けて話し始めた。
「昔…兎姫さん、捕まりかけたんです。一度だけオールを二本持って喧嘩したんですが…圧倒的な差で勝ちました。敵は多勢。兎姫さんは一人で殲滅。敵は倒れ、意識も飛んでいる方まで。動けない状態の敵に対し、兎姫さんは容赦なく攻撃を続けました。全身の骨は砕け散り、肉はオールによって切られ、至る所から血が流れ出していました。しかし、兎姫さんは何の躊躇も無く攻撃を。私も止めに入ったのですが、一瞬でやられてしまいました。吹き飛ばされ、近くの土管に頭を打って…私は意識を失ってしまいました。目が覚めると、辺りは…もう地獄絵図でしたよ。私がすぐさま、救急車を呼び、その方達は一命を取り留めました。」
一瞬にして、暑かった場を凍り付かせる様な話だった。
「でっでよぉ…今回は…。」
「そうです、ヤバいんですよ!」
そんな頃、Gはとっくに倒されていた!残りの数名も瞬間的に倒されました。
「ほら!見てください!このままだと…。」
兎姫は平然をした顔だったが、ほぼ無表情。
「テメェへの処罰を与える。顔面攻めの刑に処す!」
兎姫は近くに倒れているGの顔目掛け、連続的に二本のオールで叩き始めた!
「ほうらぁ!あの人、死んじゃいます!」
直樹は即座に兎姫の所へ走り出した!
「おっ、面白くなってきたなぁ!」
響は楽しそうに傍観するだけ。
直樹は兎姫の手を止めようと手を伸ばした瞬間、オールによってその手は弾かれた!
「ってぇ!兎姫!何してんだ!そんなにやら―――」
オールが直樹の顔を弾き、直樹は吹っ飛ばされた!地面に思い切り激突して転がり倒れた。
「あたたた…。あいつ、どーなってるんだ?」
直樹は自分の体を見た。片腕がオールに殴られ痣(あざ)になっていて、顔は酷く腫れていた。口から少しだけ血が垂れていた。
直樹は立ち上がる。その眼前に兎姫が立っていた!
「直樹、死にたい?」
その表情で、直樹は瞬間的に凍りついた。
「邪魔する者は排除するのみだ。」
オールが直樹の腹に直撃し、直樹は吐きそうになった。その直後にもう一本のオールが直樹の足首にヒットし、直樹の視界が傾いた。つまり、倒れたのだ。直樹は首を傾け、兎姫を見た。兎姫はオールを構えて立っていた。
「これがテメェへの処罰だ。」
顔面に二本のオールが激突し、直樹は力尽きた。
「やっべぇな!あれが真の兎姫か!」
響は感心してそう言った。
兎姫は振り返り、倒れているGへ歩き出した。たまらず、海美が走って止めに入ろうとした。
「馬鹿っ!行くんじゃねぇ、海美!殺されるぞ!」
「黙って見過ごせる訳ない!私が止めに行く!」
海美は響にそう言い残し、兎姫を止めに走った。
「兎姫さん!もう、依頼は終わりましたぁ!攻撃を止め―――」
言い終わる前に海美はやられた。オールで吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
「あちゃ~…言わんこっちゃない。」
響はこの時、頭の中で葛藤していた。選択肢は二つ。1番、自己犠牲で助けにゆく。2番、無力と理解して颯爽と逃げる。
響はしばらく考え込む。その間にもGは兎姫に顔面攻めにされていた。
「…ちっ!仕方ねぇ奴らだ!」
響は近くにあった太めの木の枝を掴み、そして突撃していった。もちろん、負け覚悟で。
「兎姫!俺と真剣勝負だ!」
兎姫は振り返り、響を無言で睨みつけた。その表情に凍り付きそうだった。
響が兎姫に向け、縦斬りを決める。が、兎姫はあっさりと避けきり、瞬時にオールを薙ぎ払った。それを何とか、枝でガードするものの、あまりの破壊力にちょっとだけ飛ばされ、体勢を崩した。その隙を突かれ、兎姫のオールが腹に突き刺さる!勢いで後ろに転がり倒れた。
「やっぱり、敵だったんだな!今、とどめてやる!」
オールが眼前に迫り、当たりそうな瞬間、響は横に顔を逸らし、ギリギリで避け切った。その反動を活かし、立ち上がる。
「おもしれぇが、正直な所…お前にか―――」
二本のオールが響を狙う。響は両方、枝で受け止めた。
「お前には勝てねぇな。だが、負傷ぐらいは覚悟しておけ、獄兎!」
そのセリフに、兎姫の目付きが変わった。響はやな予感を感じ取って、即座に後退した。
「響、テメェには一番キツイ処罰が必要なようだなっ!」
兎姫がオールを構えて走ってくる!響は弱々しい枝一本。兎姫は右手のオールで響の脇腹を狙って振り払った!なぜか、避けれるはずの響は、その攻撃に対して動こうとはしなかった。そしてオールはピンポイントに脇腹に命中した!激痛が脇腹に走る。響は反動を押し潰し、吹き飛ばなかった。殴られた直後、オールを左手で掴んでいた。
「っつ~…一本目…。」
兎姫は表情を変えず、左手のオールで殴りかかった!響はまた、同じ様に食らい、そして掴んだ。
「放せ!クソガキ!」
「まだ分かってねぇのか!良く考えろ!兎姫が本当に倒すべき相手は俺なのか?!」
その瞬間、オールが無理やり取られ、兎姫がオールを構えていた。
「ああ!お前がその相手だ!地獄で改心しろやぁ!」
兎姫はオールを全力で振り下ろした!それを響は枝でガードするが、枝は兎姫の攻撃に耐え切れず、折れてしまった!ので、兎姫のオールが響の頭部に激突した!響は一瞬で力尽き、倒れ込んだ。
兎姫は響の前に立ち、言った。
「テメェに処罰を与えてやる。突き刺しの刑だ!」
兎姫のオールが倒れてる響に向け、縦に構えられ、振り下ろされた!瞬間、背後から海美がオールを掴み、何とか止めた!
「兎姫さん!攻撃を止めてください!」
海美は兎姫の油断していた隙を突き、オールを奪って投げ捨てた!それに兎姫はブチ切れた。海美の鳩尾を蹴り、地面に叩きつけた!鳩尾を蹴られた海美は、呼吸ができず、苦しくて体を縮めた。兎姫は気にせず、手に持っている一本のオールで海美を攻撃しようと構える。そのオールを、倒れている響が蹴り飛ばした。
「後は任―――」
兎姫の蹴りが響の顔にヒットし、響は力尽きた。顔には大きな痣ができている。
兎姫は倒れている海美に向け、蹴りを放った!海美の背に傷ができた。海美は痛みで悶絶している。また、蹴りを放とうとした時、背後から折れた枝で後頭部を殴られ、兎姫は倒れた。そこに立っていたのは直樹!今にも死にそうな表情だ。
「兎姫!仲間を裏切ってまで…そん―――」
油断した直樹の足を、兎姫は蹴り、直樹を倒した。兎姫は立ち上がり、直樹の顔面目掛けて蹴りをしようとした!が、突如、兎姫の視界は反転し、地面に顔を打った。
「STAY BE CALM!…あー、やっぱり…勘が的中したか。」
兎姫を倒したのは氷見先生。
「…見事に…全滅だ。」
氷見先生は気絶している救世部員を全員、回収した。その後、兎姫のやっつけた集団を公園の片隅に寝かせておいた。
「…暑い…。」
氷見先生は汗を拭った。空から差す猛烈な日差しが辺りを包み込んでいる、そんな休日だった。
次の日、日曜日の部室内。兎姫は俯いたまま椅子に座って、ずっと一点を見つめている。その近くの椅子で静かに座っている海美。全身、怪我をしていて湿布やら絆創膏やらを張っている。机に突っ伏し、眠る直樹。腹などに包帯を巻いている。その近くでゲームをやっている響。その手には傷が多々あり、いつもよりゲームのスコアが伸びない。
「…なぁ、みんな。」
兎姫は小声で呟いた。3人は少しだけ反応した。
「…何か…良く、覚えてねぇけど…俺が、その…やっちまったみたいだな。」
「兎姫さん?…覚えてないのですか?」
「ああ、ほとんどな。…でも、傷を与えた事は本当だろ?ごめん…。」
海美は笑顔で、
「心配ないですよ、兎姫さん。ここの部員は全員、人より一倍、打たれ強い学生ですし、何より兎姫さんの友人ですから。」
頷く男子二人。
「ああ、元気出せ、兎姫。あと、腹から声出せよ。オメェが言ってただろ?声が小さいとかさ。だから、いつものお前でいろよ。それが一番だ。」
直樹は机に突っ伏しながらも言った。
「…俺に関しては、面白かったから許す。一応な、お前らしさが見れて良かったぜ。」
と、ゲームをしながら響は呟いた。
「それなら、今回の依頼は終了で良い訳ね。」
いつの間にか室内にいた氷見先生はそう訊いた。
「「「「終了?」」」」
4人は同時にハモった。
氷見先生は答える。
「そうよ、終了。依頼通り、迷惑集団を撃退したじゃないの。なら、もう気にしなくていい。後は兎姫、あなたの言葉一つだけ。」
兎姫は椅子から立ち上がり、ソファーの上に立った。そして、胸を張って一言。
「終わり良ければ…忘れちまった…。」
「全て良しです!格好悪い!」
「あっそうだ。でも、もう良い!気にしねぇ!俺は俺だ!『終わり良ければ何とやら』って俺の辞書が叫んでる!だから!これからはそう行かせてもらう!文句あるか?!」
「無いですよ、兎姫さん。」
「まぁ、兎姫らしくて良いんじゃね?なぁ、響。」
「ノーコメント(笑)。」
「これで決まりですね。」
こうして兎姫は、ある一つの事を決意した。そして、人として一段階上がった事を氷見は感じ取っていた。
緊急事態なんだ!みんな、助けてくれ!
海美「どうしたんですか、夜さん?」
実はな、今…フィリの奴がピンチなんだ!このままだと吸血鬼に殺されてしまう!どうすれば良い?!フィリが死んじまう!
直樹「…吸血鬼は朝日が弱点だって訊いた事があるが…それは無理か?」
ああ、無理だろう。あそこは山奥だ。朝日なんて差してこない。
響「そのフィリって人は何歳だ?」
大体…低学年くらいか?
響「じゃあ、諦めろ。低学年にその状況を覆せる程の作戦なんか、思いつく訳がない。その子は不運だったんだ。」
それじゃあ、可哀想だ!あの子はまだ低学年。これからもっと、もっと…楽しい事が待ってるのに…。
海美「…そうだ、ニンニクは?確か弱点だったはずだけど。」
その場に都合良くニンニクがある訳ないだろ?ましてや、その部屋は吸血鬼の部屋。弱点が置いてある訳ない。
兎姫「そんなん、この先の話を見てみれば、早い話だろ?」
兎姫はスイッチを押した。
兎姫「じゃあ、フィリの話を始めるぜ。」
5話目『対抗策』
「俺はな、吸血鬼なんだよぉ~。」
男はそう言った。
「吸血鬼?!あっあ、あの、その…それって…。」
フィリは怯えて口が回らない。
少しずつ、吸血鬼がフィリに近づいて来た!フィリの血を吸い取ろうとしている!
フィリは焦りながらも、考え込んだ。しかし、この状況を打破できる作戦は思いつかない。
「お前の血液をよこせぇっ!」
吸血鬼が飛び込んできた!フィリは必死に横にずれて避けた。吸血鬼は近くの柱に激突し、倒れた。その振動で時計がフィリの眼前に落ちた。少しずれていれば、フィリの頭に激突して悪ければ死んでいた。
吸血鬼は立ち上がる。フィリは逃げることしかできなかったが、足がすくみ、逃げ出せない!その隙に、吸血鬼は近づいてくる!
「ぐふふふふ…諦めろ、お前の鮮血、俺にくれよ。」
少しずつ、吸血鬼は足を引きずりながら近づいてくる。
その時、フィリは思いついた!最高の策を!フィリは目の前に壊れて落ちてる時計を掴んだ。
「かわいい子だなぁ。そんな時計を盾にしてどーする?」
フィリは時計の針を取った!時針と分針を縦と横に構え、十字架を作った!吸血鬼の弱点の一つは十字架!その十字架を見た直後、吸血鬼は呻きだし、たまらず壁を突き破って外へ出て行った!
フィリは暗い室内で呆然と座り込んでいる。突き破った壁から、月明かりが差し込んでいた。