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ENDよければ何とやら  作者: 星野夜
第1章
7/42

6話目『兎、時に自傷し他傷する。故に切ない物語。』

 お久しぶりです。やっと再起動しました。傷だらけの少年、星野夜です。

 今回は第6話となる訳ですが…自分でも未だに先が見えません。現在、この小説を評価してくれている人は2人。ありがとうございます。ほとんどの方が見てない中、あなた方は私の小説を見てくださってる。それだけで私は十分です。でも、夢としては…もっと他の人にも見ていただき、それでもって評価してくだされば幸いです(自分、調子に乗りすぎました)。ただ、それが叶わなくても…僕の小説は終わりません!これからも…こんなこと言うのはまだ早いのかもしれないけど…救世部の活躍・部活動などをお送り致しますので、よろしくおねがいします!

 さぁ、気を取り直して、6話目『兎、時に自傷し他傷する。故に切ない物語。』をご覧ください!

 金曜日の放課後、救世部室内。もう説明なんて必要ない。と言う、説明も必要ない程、救世部の室内は在り来りな光景だった。だが、説明はしておく。ソファーに寝転がりながら漫画を読む兎姫。その横で静かに椅子に座る海美。机に突っ伏し眠る直樹。その近くでゲームをしている響。

 救世部は毎週金曜日になると、休日中の依頼を受ける。休日中の依頼は金曜日に予約しておく訳だ。

「兎姫さん、休日中の依頼についてですが…。」

「んあ?休日の依頼?…メンドーだな。これ以上、俺らから休日を奪わないでくれ。俺達にだって、休みは必要だろ?この前の休日なんかー。」

 兎姫は海美を見つめた。海美は申し訳なさそうにしている。

「すいませんでした…。」

と、小声で俯き言った。

「まぁ、海美については気にしてねぇ。ってか、もう忘れた事にしてる。あの騒動は全て、あのクソ集団がやった事にしてるからな。はぁー、俺もそろそろ疲れてんだよ。敵を殲滅すんのとか、罰を与えてやる事とか、強敵とガチで喧嘩すんのとか…。」

「全部、部活動とは関係ありませんよね?!」

「ああ?そんなん、気にすんな!あれは成り行きだろ?…だからな、俺が言いたい事は一つ、休ませろよ!」

 その時、

「JUST RIGHT!」

と、どこからか声が!

「この声は氷見ちゃん!」

兎姫は輝く目でそう言った。

 扉が開き、救世部担任教師、氷見が入ってきた。今日も科学者の白服姿だ。

 氷見はソファーの縁に座った。

「兎姫、そんなに休みたい?」

「もっちろんでぇす!」

立ち上がってそう叫んだ。

「相変わらずの威勢ね。…実はね、今日はある提案をしに来たのよ。」

その声に、兎姫と海美は集中顔になった。

「土日は休んで良いよ。」

意外な言葉に一瞬、フリーズした2人。それからしばらくして、

「っしゃあ!休みだ!めっちゃダラけて過ごしてやるぜっ!」

と、兎姫は興奮気味。

「たーだーし、一つだけ条件があってね。」

そう言った氷見。その表情はどことなく悪意に満ちていた。


 土曜日、救世部は公園にやって来ていた。太陽がカンカンと照りつける中、4人は草むらに身を潜めている。

 プ~ン…パチンッ!

「クソ~ッ!蚊がウザってぇ!さっきから顔の周りをプンプンプンプン!黙れ、クソムシ!テメェらはそんなに死にてぇのか!」

蚊にマジギレしている兎姫。素早い蚊をさっきから潰せず、苛立っている様子。

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ、兎姫さん。蚊も生きるのに必死なんですよ。」

「そんなに必死になるくらいなら!俺が一瞬で息の根を止めてやらぁっ!」

 イラついた兎姫はついに、オールを持って立ち上がり、振り回し始めた!どうせ、当たるわけないのに。今の兎姫は冷静さが欠けていた。

「ちょっちょっ!兎姫、お前!俺らに当たったらどう―――」

 直後、その言葉は真実となった。振り回していたオールが直樹の顔面に直撃した!直樹は茂みに飛ばさされ倒れ込んだ。暑いせいもあって、鼻から血が滴り落ちた。

「はははは!今のは相当いてぇぞ。可哀想にな、直樹。しっかり周りを見てねぇから、そうな―――」

 直後、周りを見ていなかった響はオールが直撃し、倒れた。

「ブハハハハッ!オメェもだ、バーカ!」

「二人共、大丈夫ですか?!余所見してると―――」

 直後、余所見していた海美はオールが直撃し、吹き飛ぶ。

「…余所見…してるとこうなるから…。」

 兎姫はようやく落ち着き、元の位置に戻った。

「あれ?オメェら、そんな所で何してんだ?」

人ごとの様な口調で兎姫は言った。

 今回、救世部は休みをもらった。まぁ、ここまでは良いとして…実は、ある事を成し遂げない限り、休みがもらえないと言う条件だった。

その依頼とは、公園占領防止。近頃、公園を占領する集団がいるらしい。得に休日の昼。それを防ぐため、救世部はここにいる。

「なぁ、海美。これよぉ、俺ら必要ないんじゃね?そんな集団、兎姫が一網打尽にすんだろ?」

 その通りである。

「まぁ…そーですけど、一応、私達も救世部員ですから。」

「海美は仕事熱心で良いよなー。俺なんかはいつも視界真っ暗だからな。」

直樹はそう呟いた。

 それからしばらくしての事。奴らはやって来た。その数、約10名。その中に、見覚えのある人物が!それは兎姫と戦った相手、Gだ!鼻に包帯がついている。あの時、兎姫がGの顔面を地に叩きつけた、その負傷だろう。

「あいつぁ、あの時の!良いじゃねぇか、有言実行でお前の顔面を綿雲のように腫れさせてやらぁ!」

 兎姫は立ち上がり、オールを持って走り出した!

「ちょっと兎姫!お前、あの相手の数、無謀だ!」

 兎姫は振り向かず、

「っせぇな!俺の辞書に『無謀』と言う文字は無い!」

「ナポレオンか!兎姫さん、ご無事を祈ります!」

 兎姫はオールを振って答えた。

 Gは走ってくる兎姫に気付いた。その瞬間、表情が固まる。

「じぃぃぃぃぃっ!テメェ、気に食わねぇからぶっ潰す!」

 兎姫は電子タバコを口に咥え、オールを構えた。今回は珍しくオールを二本持っている!

「あぁ!兎姫さん!それは駄目ですって!」

海美は急に取り乱して叫んだ。

「どーした、海美?何かあんのか?」

直樹は不安そうに答えた。

 海美は焦り顔で答える。

「実は昔…一回だけ、今みたいにオールを二本構えた、兎姫さんを見た事があるんです。オールを二本持った兎姫さんは…何と言うか…恐ろしく、そして…鬼でした…。」

 響は好奇心で海美に訊く。

「おいおい、それってどう言う意味だ?」

 海美は緊張した面持ちで説明した。

「その前に、兎姫さんが電子タバコを吸ってる事について…知ってますか?」

 2人は首を振る。

「そうですか。…兎姫さんが電子タバコを吸ってる時、それはあの人が本気になった証です。あの状態の兎姫さんの身体能力は尋常じゃありません。問題はそれじゃないんです。」

 海美はひと呼吸入れた後、続けて話し始めた。

「昔…兎姫さん、捕まりかけたんです。一度だけオールを二本持って喧嘩したんですが…圧倒的な差で勝ちました。敵は多勢。兎姫さんは一人で殲滅。敵は倒れ、意識も飛んでいる方まで。動けない状態の敵に対し、兎姫さんは容赦なく攻撃を続けました。全身の骨は砕け散り、肉はオールによって切られ、至る所から血が流れ出していました。しかし、兎姫さんは何の躊躇も無く攻撃を。私も止めに入ったのですが、一瞬でやられてしまいました。吹き飛ばされ、近くの土管に頭を打って…私は意識を失ってしまいました。目が覚めると、辺りは…もう地獄絵図でしたよ。私がすぐさま、救急車を呼び、その方達は一命を取り留めました。」

 一瞬にして、暑かった場を凍り付かせる様な話だった。

「でっでよぉ…今回は…。」

「そうです、ヤバいんですよ!」

 そんな頃、Gはとっくに倒されていた!残りの数名も瞬間的に倒されました。

「ほら!見てください!このままだと…。」

 兎姫は平然をした顔だったが、ほぼ無表情。

「テメェへの処罰を与える。顔面攻めの刑に処す!」

兎姫は近くに倒れているGの顔目掛け、連続的に二本のオールで叩き始めた!

「ほうらぁ!あの人、死んじゃいます!」

直樹は即座に兎姫の所へ走り出した!

「おっ、面白くなってきたなぁ!」

響は楽しそうに傍観するだけ。

 直樹は兎姫の手を止めようと手を伸ばした瞬間、オールによってその手は弾かれた!

「ってぇ!兎姫!何してんだ!そんなにやら―――」

 オールが直樹の顔を弾き、直樹は吹っ飛ばされた!地面に思い切り激突して転がり倒れた。

「あたたた…。あいつ、どーなってるんだ?」

 直樹は自分の体を見た。片腕がオールに殴られ痣(あざ)になっていて、顔は酷く腫れていた。口から少しだけ血が垂れていた。

 直樹は立ち上がる。その眼前に兎姫が立っていた!

「直樹、死にたい?」

 その表情で、直樹は瞬間的に凍りついた。

「邪魔する者は排除するのみだ。」

 オールが直樹の腹に直撃し、直樹は吐きそうになった。その直後にもう一本のオールが直樹の足首にヒットし、直樹の視界が傾いた。つまり、倒れたのだ。直樹は首を傾け、兎姫を見た。兎姫はオールを構えて立っていた。

「これがテメェへの処罰だ。」

 顔面に二本のオールが激突し、直樹は力尽きた。

「やっべぇな!あれが真の兎姫か!」

響は感心してそう言った。

 兎姫は振り返り、倒れているGへ歩き出した。たまらず、海美が走って止めに入ろうとした。

「馬鹿っ!行くんじゃねぇ、海美!殺されるぞ!」

「黙って見過ごせる訳ない!私が止めに行く!」

海美は響にそう言い残し、兎姫を止めに走った。

「兎姫さん!もう、依頼は終わりましたぁ!攻撃を止め―――」

言い終わる前に海美はやられた。オールで吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。

「あちゃ~…言わんこっちゃない。」

 響はこの時、頭の中で葛藤していた。選択肢は二つ。1番、自己犠牲で助けにゆく。2番、無力と理解して颯爽と逃げる。

 響はしばらく考え込む。その間にもGは兎姫に顔面攻めにされていた。

「…ちっ!仕方ねぇ奴らだ!」

 響は近くにあった太めの木の枝を掴み、そして突撃していった。もちろん、負け覚悟で。

「兎姫!俺と真剣勝負だ!」

 兎姫は振り返り、響を無言で睨みつけた。その表情に凍り付きそうだった。

 響が兎姫に向け、縦斬りを決める。が、兎姫はあっさりと避けきり、瞬時にオールを薙ぎ払った。それを何とか、枝でガードするものの、あまりの破壊力にちょっとだけ飛ばされ、体勢を崩した。その隙を突かれ、兎姫のオールが腹に突き刺さる!勢いで後ろに転がり倒れた。

「やっぱり、敵だったんだな!今、とどめてやる!」

 オールが眼前に迫り、当たりそうな瞬間、響は横に顔を逸らし、ギリギリで避け切った。その反動を活かし、立ち上がる。

「おもしれぇが、正直な所…お前にか―――」

 二本のオールが響を狙う。響は両方、枝で受け止めた。

「お前には勝てねぇな。だが、負傷ぐらいは覚悟しておけ、獄兎!」

そのセリフに、兎姫の目付きが変わった。響はやな予感を感じ取って、即座に後退した。

「響、テメェには一番キツイ処罰が必要なようだなっ!」

 兎姫がオールを構えて走ってくる!響は弱々しい枝一本。兎姫は右手のオールで響の脇腹を狙って振り払った!なぜか、避けれるはずの響は、その攻撃に対して動こうとはしなかった。そしてオールはピンポイントに脇腹に命中した!激痛が脇腹に走る。響は反動を押し潰し、吹き飛ばなかった。殴られた直後、オールを左手で掴んでいた。

「っつ~…一本目…。」

 兎姫は表情を変えず、左手のオールで殴りかかった!響はまた、同じ様に食らい、そして掴んだ。

「放せ!クソガキ!」

「まだ分かってねぇのか!良く考えろ!兎姫が本当に倒すべき相手は俺なのか?!」

 その瞬間、オールが無理やり取られ、兎姫がオールを構えていた。

「ああ!お前がその相手だ!地獄で改心しろやぁ!」

 兎姫はオールを全力で振り下ろした!それを響は枝でガードするが、枝は兎姫の攻撃に耐え切れず、折れてしまった!ので、兎姫のオールが響の頭部に激突した!響は一瞬で力尽き、倒れ込んだ。

 兎姫は響の前に立ち、言った。

「テメェに処罰を与えてやる。突き刺しの刑だ!」

 兎姫のオールが倒れてる響に向け、縦に構えられ、振り下ろされた!瞬間、背後から海美がオールを掴み、何とか止めた!

「兎姫さん!攻撃を止めてください!」

 海美は兎姫の油断していた隙を突き、オールを奪って投げ捨てた!それに兎姫はブチ切れた。海美の鳩尾を蹴り、地面に叩きつけた!鳩尾を蹴られた海美は、呼吸ができず、苦しくて体を縮めた。兎姫は気にせず、手に持っている一本のオールで海美を攻撃しようと構える。そのオールを、倒れている響が蹴り飛ばした。

「後は任―――」

 兎姫の蹴りが響の顔にヒットし、響は力尽きた。顔には大きな痣ができている。

 兎姫は倒れている海美に向け、蹴りを放った!海美の背に傷ができた。海美は痛みで悶絶している。また、蹴りを放とうとした時、背後から折れた枝で後頭部を殴られ、兎姫は倒れた。そこに立っていたのは直樹!今にも死にそうな表情だ。

「兎姫!仲間を裏切ってまで…そん―――」

 油断した直樹の足を、兎姫は蹴り、直樹を倒した。兎姫は立ち上がり、直樹の顔面目掛けて蹴りをしようとした!が、突如、兎姫の視界は反転し、地面に顔を打った。

「STAY BE CALM!…あー、やっぱり…勘が的中したか。」

 兎姫を倒したのは氷見先生。

「…見事に…全滅だ。」

 氷見先生は気絶している救世部員を全員、回収した。その後、兎姫のやっつけた集団を公園の片隅に寝かせておいた。

「…暑い…。」

 氷見先生は汗を拭った。空から差す猛烈な日差しが辺りを包み込んでいる、そんな休日だった。


 次の日、日曜日の部室内。兎姫は俯いたまま椅子に座って、ずっと一点を見つめている。その近くの椅子で静かに座っている海美。全身、怪我をしていて湿布やら絆創膏やらを張っている。机に突っ伏し、眠る直樹。腹などに包帯を巻いている。その近くでゲームをやっている響。その手には傷が多々あり、いつもよりゲームのスコアが伸びない。

「…なぁ、みんな。」

兎姫は小声で呟いた。3人は少しだけ反応した。

「…何か…良く、覚えてねぇけど…俺が、その…やっちまったみたいだな。」

「兎姫さん?…覚えてないのですか?」

「ああ、ほとんどな。…でも、傷を与えた事は本当だろ?ごめん…。」

 海美は笑顔で、

「心配ないですよ、兎姫さん。ここの部員は全員、人より一倍、打たれ強い学生ですし、何より兎姫さんの友人ですから。」

 頷く男子二人。

「ああ、元気出せ、兎姫。あと、腹から声出せよ。オメェが言ってただろ?声が小さいとかさ。だから、いつものお前でいろよ。それが一番だ。」

直樹は机に突っ伏しながらも言った。

「…俺に関しては、面白かったから許す。一応な、お前らしさが見れて良かったぜ。」

と、ゲームをしながら響は呟いた。

「それなら、今回の依頼は終了で良い訳ね。」

いつの間にか室内にいた氷見先生はそう訊いた。

「「「「終了?」」」」

4人は同時にハモった。

 氷見先生は答える。

「そうよ、終了。依頼通り、迷惑集団を撃退したじゃないの。なら、もう気にしなくていい。後は兎姫、あなたの言葉一つだけ。」

 兎姫は椅子から立ち上がり、ソファーの上に立った。そして、胸を張って一言。

「終わり良ければ…忘れちまった…。」

「全て良しです!格好悪い!」

「あっそうだ。でも、もう良い!気にしねぇ!俺は俺だ!『終わり良ければ何とやら』って俺の辞書が叫んでる!だから!これからはそう行かせてもらう!文句あるか?!」

「無いですよ、兎姫さん。」

「まぁ、兎姫らしくて良いんじゃね?なぁ、響。」

「ノーコメント(笑)。」

「これで決まりですね。」

 こうして兎姫は、ある一つの事を決意した。そして、人として一段階上がった事を氷見は感じ取っていた。


 緊急事態なんだ!みんな、助けてくれ!

海美「どうしたんですか、夜さん?」

 実はな、今…フィリの奴がピンチなんだ!このままだと吸血鬼に殺されてしまう!どうすれば良い?!フィリが死んじまう!

直樹「…吸血鬼は朝日が弱点だって訊いた事があるが…それは無理か?」

 ああ、無理だろう。あそこは山奥だ。朝日なんて差してこない。

響「そのフィリって人は何歳だ?」

 大体…低学年くらいか?

響「じゃあ、諦めろ。低学年にその状況を覆せる程の作戦なんか、思いつく訳がない。その子は不運だったんだ。」

 それじゃあ、可哀想だ!あの子はまだ低学年。これからもっと、もっと…楽しい事が待ってるのに…。

海美「…そうだ、ニンニクは?確か弱点だったはずだけど。」

 その場に都合良くニンニクがある訳ないだろ?ましてや、その部屋は吸血鬼の部屋。弱点が置いてある訳ない。

兎姫「そんなん、この先の話を見てみれば、早い話だろ?」

 兎姫はスイッチを押した。

兎姫「じゃあ、フィリの話を始めるぜ。」


5話目『対抗策』


「俺はな、吸血鬼なんだよぉ~。」

男はそう言った。

「吸血鬼?!あっあ、あの、その…それって…。」

フィリは怯えて口が回らない。

 少しずつ、吸血鬼がフィリに近づいて来た!フィリの血を吸い取ろうとしている!

 フィリは焦りながらも、考え込んだ。しかし、この状況を打破できる作戦は思いつかない。

「お前の血液をよこせぇっ!」

 吸血鬼が飛び込んできた!フィリは必死に横にずれて避けた。吸血鬼は近くの柱に激突し、倒れた。その振動で時計がフィリの眼前に落ちた。少しずれていれば、フィリの頭に激突して悪ければ死んでいた。

 吸血鬼は立ち上がる。フィリは逃げることしかできなかったが、足がすくみ、逃げ出せない!その隙に、吸血鬼は近づいてくる!

「ぐふふふふ…諦めろ、お前の鮮血、俺にくれよ。」

 少しずつ、吸血鬼は足を引きずりながら近づいてくる。

 その時、フィリは思いついた!最高の策を!フィリは目の前に壊れて落ちてる時計を掴んだ。

「かわいい子だなぁ。そんな時計を盾にしてどーする?」

 フィリは時計の針を取った!時針と分針を縦と横に構え、十字架を作った!吸血鬼の弱点の一つは十字架!その十字架を見た直後、吸血鬼は呻きだし、たまらず壁を突き破って外へ出て行った!

 フィリは暗い室内で呆然と座り込んでいる。突き破った壁から、月明かりが差し込んでいた。

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