2話目『謎とは時に恐ろしく、そして楽しい。故に面白いものである。』
1話目の後書きで海美の悪口を言ったら、その後、兎姫にぶちのめされました。今日も傷が疼く星野夜です。
今回は第2話。『謎とは謎とは時に恐ろしく、そして楽しい。故に面白いものである。』
謎ですか…自分でも分かりませんね。
まぁ、良いでしょう。ところで皆様、前書きは見てくれているでしょうか?
【当然見ない or しっかりと読み上げる】
【当然見ない】を選んだあなた。あなたは先入観の強い人物。故に躊躇しがち。しかし、先を読む能力に優れています。そんなあなたのラッキーノベルは『推理小説』。
【しっかりと読み上げる】を選んだあなた。あなたは細かい事に気にしがち。ちょっとした事に敏感に反応。ですが、そんなあなたは計算高い人物でもあります。ラッキーノベルは『ファンタジー小説』。
今日も一日、頑張っていきましょう!
※この占いは独自に作り上げたものであって、正確なものではありません。信じるか信じないかは、あなた次第で。
直樹「って事で、始まるから。」
火曜日の放課後、まるで撮った映像を再生してるかの様に、ソファーに寝転がり、漫画を見つめる兎姫。その横で静かに椅子に座る海美。そして新しく入部した直樹は机に突っ伏している。これが部室には到底見えない。どう見ても休憩所だ。ちなみに、この部活名は『救世部』。
「兎姫さぁーん、毎日、こんな感じなんすか?」
直樹は机に突っ伏したまま、気だるそうに訊いた。
兎姫は寝転がって漫画を読みながら、
「んあー、そうだ。ずっと、こんなだ。気に食わねぇのか、ん?」
そう言った。
「別に…そういう訳じゃないんですが…ただ、想像と少し違うと言うか…。」
「満足しねぇのか?」
「…まぁ…。」
「はぁ~…部活ってもんは、元々つまんねぇもんだろうが。俺だってなぁ、好きでこんな所にいる訳じゃねぇんだよ。」
「ソファーに寝転がって漫画を読んでる兎姫さんは、そうは見えませんよ。」
「っせぇよ、暇だからしょうがねぇだろ。」
その時、部室の扉が開いた!一人の眼鏡をかけた男子学生が入って来た。
「すいません、ここが何でも屋だって聞いて来まし―――」
瞬間、その男子学生の顔面に兎姫のオールがクリーンヒットした!
「あぁっ?!誰が何でも屋だ、鵜呑み野郎!」
男子学生は廊下に倒れ、顔を押さえ込んでいた。
「いっいきなり何すんだ、馬鹿!」
「あぁん?何だってぇ?もう一度言ってみろ、ぶっ飛ばすからな!」
兎姫の身も心も凍えそうな目付きが、男子学生を恐怖に至らしめた。
海美は呆れ顔で、
「兎姫さん…相変わらずで…。そこの男子生徒さん!大丈夫ですか?鼻の骨は折れてないですか?眼鏡は割れてないですか?『ここに来ると殺される』とは聞かなかったのですか?」
男子生徒は立ち上がる。
「あたたた…大丈夫みたいだ。噂通りの危険な部だ。」
それを聞いて驚く直樹。
「それを知ってて、ここに来たのか!お前、相当いってんな。」
「ああ、そうらしい。今回、僕が依頼に来た理由とい―――」
話途中にも関わらず、兎姫の右拳が顔面にヒットし、男子生徒は吹き飛んだ!
「あー、やっぱり俺だけじゃないんだな。こうやって殴られるの。」
直樹は関心半分、痛そうだと思う事が半分でそう呟いた。
兎姫は倒れる男子生徒を睨みつける。オールを直樹の時と同じ様に、眼前で構えた。
「お前、マゾヒストか?なら、良いメニューがあるぞ。1番、全身攻め!2番、顔面攻め!3番、金的攻め!どれか好きなのを選べ、小僧。」
「だから!依頼内容は訊かないの?!」
海美はそう叫んだ。
男子学生はまた立ち上がり、意見を述べた。
「僕の答えは4番、依頼内容を話す。今回、僕が依頼に来た理―――」
またしても、オールが男子生徒の頬をなぎ払い、男子生徒は横に倒れた!
「選択肢無視すんなっ!」
「兎姫さん!だから、依頼人に手を出さないでくださいよ!」
「こいつも直樹に負けず劣らずの頑丈な野郎だ。痛めつけがいがありそうだぜ!」
「趣旨変わってますから、兎姫さん!」
海美は兎姫を退かし、倒れている男子生徒の前に座り込んだ。それを睨みながら兎姫は立つ。
「あなたの名前は何ですか?」
男子生徒はボロボロになりながらも、何とか座り込んで、海美に呟いた。
「…名前は慎司(しんじ)。」
「慎司…良い名前ですね…お世辞ではありませんよ。」
海美は笑顔でそう言った。その後、慎司に訊く。
「所で、慎司さんはなぜ、この部に?」
「あ、あー、その、一つ、頼みごとがありまして。今回、僕が依頼に来た理由は―――」
「はぁあ?ネットのコメントを炎上させろだと!何が目的なんだよ?!俺はなぁ、ネットとか良く分かんねぇんだよ!あのネット中毒小僧が!」
「まぁまぁ、そう言わずに頑張りましょうよ。」
「海美の言う通り!俺がネット操作はするからさ!」
兎姫はしばらく考えた後、
「ちっ!仕方ねぇな!オメェらがそこまで言うんなら、ネットを炎上通り越して、爆発してやらぁ!」
兎姫のやる気に火が点った瞬間だ。
「まずはネットを起動。」
直樹はネットを起動させた。
「次にサイトを開き、コメント欄を見つける。…これだ。」
既に数々のコメントが寄せられている。これは最近話題となった議員『大村』にたいしてのコメントだ。
兎姫はネットに投稿されたコメントを眺めた。
「えーと、何だって?…『大村マジ笑える。』、『議員失格だろ。』、『号泣は流石に引いた。』…なるほどな…自分の独自の感想をネットに投稿するわけか…。こいつら、マジクソだろ!ふざけてんじゃねぇよ!人をいじめて楽しいかよ、こいつら!」
「兎姫さんがそれを言うのっ?!」
「まぁな。確かに俺も色々といじめて来たけどな。だけど、大体悪だから、結果的に丸く収まるんだよ。」
兎姫はキーボードを使って、ネットに感想を投稿した。
「兎姫さん、何を?」
「…良いから見てろ。面白くなるぜ。」
兎姫はネットにこう投稿した。
『大村議員は正義だ!お前ら、野次馬がいらねぇ存在なんだよ。くだらねぇ投稿ばっかしやがって!野次馬は結果的にクズか、ゴミか、クソにしか、なれねぇようだな|(笑)。』
「お、お前…これは流石に…。」
「良いんだよ、ほっとけ、直樹。これでまずは炎上するはずだ。」
しばらくして、次々と雪崩のようにコメントが増え始めた。
『誰がクズでゴミでクソだ!一遍殺したろか!』
『大村はクズ!それの味方のお前もクズだ!』
『この世には馬鹿と、救いようもない馬鹿が存在するようだ。』
『この人は何考えてるのかしら?まともではない事は確かね。』
『お前、ネット社会から消える事になるな。それではサヨナラ、クズ人間。』
『ネット内だけじゃなく、世間的にも沈めてやりたいランキング、即刻1位決定!』
「ムカつく奴らだな。ネット内だからと言いたい放題かよ。本当にクソなのはお前らだろうが。…まぁ、これでまずは炎上。だが、これだけじゃない。もっとだ!」
「え、まだやるんすか?」
「あったりまえだろ!炎上通り越して爆発だ!ほら、言うだろ?『何とかは爆発だ!』ってな。」
「芸術ですよ、兎姫さん。」
「まぁ、それだよ、それ。俺は、ネットと言う名のキャンバスに、爆発という名のコメントを描いてやんだよ!くっくっくっ!楽しみだなぁ!」
兎姫は不気味な笑みを浮かべ、そう言った。
「海美、直樹!次の作戦に移行しよう!」
「次の…、」
「作戦だと?」
兎姫は机に置いてあったマジックペンをオールで弾き飛ばした!マジックペンは扉に当たり、地面に落ちる。そのペン先を蹴り潰し、ペンを飛ばし上げてキャッチした!
「次はこいつを使う!あー、それと、直樹。大村議員のポスターを巨大サイズに印刷しておけ。」
「な、なぜに?」
「良いからやれよ、また打たれたいか?」
「わっ分かりましたぁ!」
こうして、作戦は第二フェイズに移行する。
近くの山奥。兎姫、海美、直樹は議員選挙ポスターの貼ってある壁にやって来た。近くには県道が走っている。太陽が沈みかけているので、山奥のこの場所は暗い。暗闇が緊張感を作り出す。
海美が気付いて、恐る恐る訊いた。
「まっまさか兎姫さん、これにいたずら書きするんじゃ…。」
「そうだけど、何か?」
「いやいやいやいや、そりゃ駄目だって!犯罪で捕まるだろうが!」
「っせぇな、良いんだっつーの!何だったら、ここから先は俺一人でやる。付いて来てぇ奴は残れ!バレるのが嫌な奴は立ち去れ!好きな方を選べよ。」
海美と直樹はしばらく考え込んだ。
「私は兎姫さんの付き添い人として、しばらく付き合いますよ。それがいくら犯罪だとしても。私は兎姫さんに助けられた身。兎姫さんに付き添うと心から決めています。」
「その割には、直樹の家に行った時、中までは付いて来なかったよなぁ。」
「ギクッ!」
「まぁ良いけどよ。」
直樹も同じく、
「俺もここに残る。…具体的な理由は無いけど…暇だし、部長と一緒にいるとさ、面白くて…暇つぶしにはなるよな。」
「オメェ、気に食わねぇ奴と思ってたが、案外、分かってんじゃねぇか!見直したぜ。」
そのセリフに照れる直樹。
兎姫は急にペンを持ち、議員のポスターに落書きをし始めた!
「このっこのっこのっ!お前が議員になれるわけねぇだろ!」
それから数分が経過。ポスターに落書きしながら、愚痴を吐いていた兎姫は、ついに落書きを終えた。いや、正確に言えば、マジックペンのインク切れだ。兎姫はマジックペンを背後に投げ捨てた。のが、奇跡的に直樹の顔面にヒットする。
「いったぁ!何すんだよ!」
「あ、ごめ。偶然だよ、偶然。それより、大村のコピーは?」
直樹は兎姫に特大サイズの大村ポスターを手渡した。
「…いつ見てもムカつく顔しやがって。」
兎姫はそのポスターを壁の中央に堂々と貼り付けた。
「ふんっ!これで良し!帰るか。」
三人は学校へと戻っていった。
次の日。放課後になると救世部は同じ光景になる。ソファーに寝転がって漫画を読む兎姫。小さな椅子に静かに黙って座る海美。気だるそうに机に突っ伏して眠る直樹。これが救世部。
いつもの状態になってから5分後、部室の扉が開き、慎司が部屋に入って来た。
「いやぁ、ありがとうございました!見事、ネットは無事、炎上しまして。凄い事になっております。」
兎姫は首だけを慎司に向けた。
「いや、お礼とかどーでも良いんで、とっとと報酬を渡せ。」
慎司は机に報酬金を置いた。
「じゃあ、僕はこれにて帰らせてもら―――」
「ちょっと待てよ。」
兎姫は帰ろうとする慎司を止めた。
「お前、何が目的だ?」
兎姫はソファーから起き上がり、寝ぼけ眼で訊いた。けど、その目付きは鋭く冷たい。
「…目的…言えませ―――」
毎回恒例、兎姫の拳が顔面に入る!慎司は後ろに倒れた。
「そうやって、ネット炎上させて、何がおもしれぇんだって訊いてんだよ?!」
兎姫は少しマジギレで叫んだ。手にはオールを持っている。
慎司は少し怯み、オドオドと言った。
「ネットが炎上して、コメントを流す量が増え、大村議員の話題が広まる。最高ですよ、ネット炎上を見るのは。」
兎姫のオールが慎司の頬を瞬間的に叩き払った!はずが、予想外の展開!兎姫の攻撃が避けられた!これには少々驚く兎姫。
「お前!一体、何者だ?!」
「…ただの慎司。そう言い残しましょう。」
「ざけんなよ!テメェ、そうやってネット炎上させて大村議員を困らせて、テメェこそ、本当のクズだ!」
兎姫は珍しくマジギレな感じ。
「…まぁまぁ、落ち着きましょうよ、兎姫さ―――」
「黙れ!口出しすんな!」
海美は大ショックで俯いた。海美は意外と心が脆い。
「慎司って言ったなぁ!オメェ、いつかリベンジしてやる!避けられた分、倍返しで返してやる!」
兎姫はオールを構え、そう叫んだ。
慎司は笑う。
「ははは!…良いですよ、返り討ちにするから。」
そう言い残して、慎司は部室を出ていった。
直樹が深刻そうな表情で訊く。
「兎姫?あいつは本当に慎司か?」
「…ああ、そうらしいが…ただのネットオタクかと思いきや、まさかの業物か。…良いぞ、おもしれぇ!久々に喧嘩相手になりそうだ!ぶちのめしてやる!あの眼鏡の奥を恐怖に滲ませてやる!」
「兎姫さん、部活の趣旨、変わってます。」
「良いんだよ!ほっとけぇ!喧嘩相手を見つけたんだ。これはこれで良いだろ?!終わりよければ…あぁ、いつも忘れちまうんだよなぁ!」
「終わりよければ全て良しです!」
「そうそう、それだよ、それ!」
こうして、慎司の謎の依頼をクリア?し、兎姫は良い喧嘩相手を見つけましたとさ。オシマイオシマイ。
「って、最後に関しては、どうにもできない馬鹿でしょ!」
はい、星野夜です。
兎姫「いちいち、自己紹介入れてくんの止めろよ。ウザいから。」
これは一応、礼儀とし―――
兎姫「そんなもん、どーだって良いんだよ!読者はな、作者を分かってて見てんだよ!」
…はいはい、分かったよー。
それでもって、今回は兎姫のライバルになりそうな男が出現!あの『不良潰しの獄兎』と呼ばれたまで、最恐の兎姫と同等に戦える男。しかし、今はまだ、力を出し切ってない様子がうかがえる。その男こそ、慎司。
喧嘩上等で殺る気満々の兎姫。果たして、兎姫は謎の男子生徒、慎司に打ち勝てるのか?
二人の喧嘩については、そのうち投稿します。
こんなんで十分だよな。
海美「次回の話は?」
あー、それ?でも、ネタバレじゃんか。
海美「いいよ、言っちゃえ!」
うーん…まぁ、良いか。
次回の話は『休日は天国地獄で大地獄』です。お楽しみに。
それと、何となく後書き書いてたら、思いついた事なんだが…この後書きを使って、短い小説を書こうと思う。今日からスタートで。
1話目『フィリ』
むかしむかし、あるところに、一人の女の子がいました。
名前はフィリ。
澄んだ瞳、風になびく茶色の長髪、白いワンピースを着た女の子です。
ある日、フィリはとある山奥へ行きました。ただの好奇心で。すると、緊急事態が発生します!
はい、終了!続きが気になる方。3話目の後書きをチェック!
これで本当にオシマイ。じゃあね。次ぎ合う時は3話目の前書きで!