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ENDよければ何とやら  作者: 星野夜
第1章『闇組織編・承前』
22/42

21話目『RESTRAINT。』

みなさん、こんにちわ。星野夜です。

 今までより執筆速度が下がってしまいまして、投稿が遅れています。申し訳ありません。

 ところで、今、僕は学校のPCを使い、授業中にも限らわず、投稿しています(やべぇ!)。

 だから、とりあえず手早く始めたいと思います。

 今回から『闇組織編・承前』に入ります。ここから劇的に変化し始めますよ!

 それでは!21話目『RESTRAINT。』をどうぞ!

 土曜日、本日の救世部は休部している。

 午前9時頃、場所は中央センターマーケット。いつもの制服とは違い、完全私服の海美がそこにはいた。白い清純なTシャツに薄い布のジーンズ、そして朱色の首紐を飾りに付けていた。

 私服の海美はなぜか緊張気味で中央センターマーケットを眺めている。今日も中央センターマーケットは人集りができていて賑やか。たくさんの人間たちが買い物やら観光やらで大盛り上がり。そこに一人、無言で佇む海美。一人だけ時間が止まってるように見える。

 そんな時、海美の肩を誰かが軽く叩いた。海美は気付いて振り向く。そこには三人組の男たち。

「よぉ、嬢ちゃん。そんな所で立ち往生して、一体何してるんだ?つまらないなら、俺らと遊ばねぇ?」

 典型的なナンパをされた。海美は内心、相当乱れている。しかし、表情には一切出さないように努力していた。まぁ、全然隠しきれてないんだけれど。

(…まずい…。変な人に絡まれた。…ナンパに対してはまず、慌てないこと!慌てると相手のペースに持って行かれる!)

 海美はなるべく無表情になるように心がけて、

「悪いけど、わっ私、用ある、から。遊ぶ暇ない。」

 カミカミでガタガタな言葉で返した海美。自分なりに最善は尽くしているのだろうけど、まったく実ってなどいなかった。

(…曖昧に断るのはNG!相手に戦意喪失させるのが一番。ただし、田舎などの人目がつかない場所ではそうはいかない。相手が強行に走るかも!でも、今は街中。中央センターマーケット前は人集りが多い。ここならきっぱりと断ることが大事!)

「だから、さようなら。」

 海美は冷たい口調でそう言い、背を向けて中央センターマーケット内へと歩いて行った。

「んだよ、つまんねー。」

 男たちは渋々諦めてくれたようだ。調子が狂ったという感じで帰っていった。

 海美、内心では、

(うわぁぁぁっ!ちょー、怖かったぁ!誘拐されるかと思ったぁ!もぉ~、冷や汗が止まらないんだけどー。…やっぱり都会ならばきっぱりと!田舎なら曖昧に?断ることが大事だよね?以上、海美先生の雑学講座でした!)

 中央センターマーケット内、入口の扉前。海美はポケットにある紙を取り出した。クシャクシャになっているその紙にはこう書かれている。

『今週の土曜日、中央センターマーケット地下1階駐車場。ゼピュロス。』

 それは月曜日、救世部にやって来た兎姫の友達の紗奈が落としていった紙だった。そう、今日、海美がここにやって来た目的、それは―――


(紗奈ちゃんの正体を暴く!キランッ!)

 海美がドヤ顔をしながら、内心でそう叫んだ。

 ここは中央センターマーケット内、地下一階駐車場。紙に書かれている内容が本当ならば、ここに紗奈、そしてゼピュロスが来る予定になっている。

(ちなみに、ゼピュロスとはネット検索によれば、裏組織の一つらしいよ。)

 海美は大量の車が停まっている駐車場の一角、他人の車が停めてある、その後ろに隠れて待ち伏せた。

 本当にやってくるのかな~、紗奈ちゃん?


 本日の救世部は休みだが、暇人の兎姫は休部中にも限らず部室にいる。まぁ、部活動という部活動はほとんどしていないのだが(当然ながら、部活中でも同じような事)。それに追従して海美もまるで付き添い人かのように居座っているはずだが、今日は珍しくいない。直樹も休みを満喫しているようで、部室には兎姫一人。土曜日は学校に部活員しかいないため、ほとんど依頼が来ることもなく、兎姫は暇していた。いつもどおり、ソファーに座って漫画をだらけて読んでいた。

 窓ガラスは龍谷が割ってしまい、ダンボールで保護してあるため、新鮮な光は室内に入らず、ただ蛍光灯の人口的な光だけが部屋を照らしていた。

「…暇だ…。」

 そう呟いた。

 しばらくして、珍しく土曜日の救世部の扉が開かれた。一人の男子生徒が入ってきた。その見た目は白衣、高背でホッソリとした体付き。細い瞳に細いフレームの灰色眼鏡をかけた男子生徒。いかにもエリートって感じを醸し出している彼は兎姫も嫌になるくらい知っている相手。科学研究部員、令輝。兎姫は令輝を見るなり面倒だという顔で溜息を吐いた。

「お久しぶりですね、生徒会長、兎姫さん。」

 細フレーム眼鏡越しに薄くにやけてそう言った。

「…どーした、研究馬鹿?あまりにも暇すぎて暇人にでもすがりつきたくなったか?」

「いえいえ、そんなことではありませんよ。ただ、人探しをしていましてね。あなたのようなタイプでしたら、ズケズケと長いセリフを聞くのは嫌いなタイプでしょう?」

「よくお分かりで。」

「それなので、簡潔に言います。そちらの部員の一人―――」

「海美…か?」

「分かっているのなら話は早い。どこにいますか?」

「知らねぇな。そういやぁー、海美のやつ、今日に限ってズル休みしてんだよ。後で処罰しねぇーとな。」

 兎姫はあえてわざとらしく言った。敵である科学研究部の言いなりにはなりたくないし、それに海美の居場所を本当に知らなかった。

 令輝は肩をすくめ、諦めたような顔になる。

「どうやら無駄なようですね。それならば、こうするしかないようだ。」

 令輝は腰からゴツイ拳銃を取り出して構えた。兎姫はそれに一瞬、呆気に取られるがすぐに冷静になった。このような危機は何度も経験している。もう慣れっこであった。

「つまり強行ってことか…。堕ちぶれたもんだな、委員長のお前が…。いや、元々か。令輝、拳銃を構えて脅せば誰でも命令を聞くとでも思ってんだろうけどな…その通りだ、バカヤロー!」

 兎姫は緊張もしていないようで、笑顔でそう叫んだ。暇潰しとしか考えていない兎姫。令輝は少し頭を悩ませた後、

「海美の居場所を教えてもらいましょうか?」

 そう言う事にした。当然、兎姫は否定する。

「ちなみに、この拳銃はただの拳銃ではありませんよ。科学研究部の研究技術を重ねて作った拳銃、音のしない殺傷兵器とでも考えていれば良いですよ。あなたがここで死んだとしたところで、誰も来ることはありません。安心してください。」

「ご親切にどーも。」

 瞬間、兎姫は令輝の構える拳銃を蹴り上げた!極近距離であったため、反射神経が間に合わなかった令輝。拳銃を手放してしまった。兎姫は上に飛んだ拳銃をガン無視。落ちるより前に身を翻して足蹴りを令輝の腹に決め込んだ!令輝は急な脳回転速度に追いつけず、蹴りをモロに食らって扉ごと廊下に吹っ飛んだ。

「銃撃は中距離が一番効果を発揮する。近距離相手に銃を構えるなんざ、ど素人か相当な腕を持ってる奴だけだ。二分の一に賭けてみたが…ど素人か、お前。」

 兎姫は地面に落ちた機械の銃を手に持つ。それは想像より少し重い。鈍色の鉄が全体を覆っているのが人目で分かる。何をしたら射撃音が消えるのかは分からないが、それなりに凄い発明なのだろう。兎姫は全く無関心だが。

 蹴りを食らって倒れた令輝は腹を押さえて、笑顔で立ち上がった。効いているには効いているのだが、令輝はちょっとネジが飛んでいる。故に一撃では終わらなかった。

「良い、運動能力。そして判断力。…女子とは思えない、まるで軍人のような生徒だ。生徒会長、ただ一つ、ミスを犯していますよ。知らない人の知らない物に手をつける事はどうなるのか…。」

 令輝はリモコンらしきものを取り出した。直後、兎姫は何をするのかに気づき、持っていた銃を投げ捨てようとする。しかし、令輝がリモコンのスイッチを押すほうが早かった。投げようと構えた兎姫の体に、瞬間的に電流が流れて、兎姫は痺れて倒れた。銃に搭載している機能、スタンガンだ。兎姫はそのまま意識を失ってしまった。


「スー…スー…。」

 静かな寝息が駐車場の一角で聞こえる。海美が駐車場の他人の車の後ろで待ち伏せをしている最中、あまりにも暇すぎたために眠くなってしまい、グッスリと深い眠りに就いてしまったのだ。中央センターマーケット内、地下一階駐車場で眠っている。駐車場で眠っていられる海美、相当な人間だろう。

この隙に、待ち伏せしていた相手がやって来てしまった。それは兎姫の友達、紗奈だ。似合わない黒いパーカーを着ていて、帽子を深くかぶり、顔を隠している。どこからどう見ても怪しいのだが、地下駐車場に人などほとんどいない。よって、紗奈を怪しむ人間はいない。紗奈は駐車場を歩いてどこかへ向かっている最中だ。その最中に、紗奈は眠っている海美の寝息に気付いて他人の車の後ろを確認した。

「…み、海美っ?!」

 海美が紗奈の驚きの声に反応して起きた。

「んー、何~?」

 寝ぼけていて紗奈が目の前にいるのに目的を忘れてしまっている海美。細い目で紗奈を見上げている。

「何でここに?!誰かと思って警戒してみれば…もぉ~、無駄な緊張使ったじゃない。」

「…さ、紗奈ちゃん?…紗奈ちゃん!」

 目的に気付いて飛び上がった海美。紗奈に見つかってしまっては全て水の泡となってしまう。それに、もし目的が紗奈に気づかれてしまえば、非常にまずい事態になる。

 そんな時、遠くから複数の足音が駐車場に響いて紗奈の耳に届いた。

「やばっ!紗奈、隠れていて!」

「え?」

 紗奈はどこかへと歩いていく。海美はその様子を車の陰から見つめる。別の方角から黒いフードを被って顔を隠している三人組の集団がやって来た。紗奈はその集団と向き合った。

「…紗奈ちゃん…一体何を…。」

 紗奈の声が駐車場に反響して聞こえてくる。

「潜入完了、目的は果たしました。」

「孤月の情報を聞かせろ。」

 一人の男が言った。紗奈は落ち着いた声で説明し始めた。

「孤月は至って変化はありません。いつもどおりに無防備、そして独断専行を貫いています。」

「そうか、ならばいつ動いても問題ないと?」

 紗奈は小さく頷く。

「はい、敵は思ったより素早い。そして強力です。女子だからといって油断できません。それに、彼女には盾があります。まずは、その盾から取り払わなければいけないかと。」

「なるほどな…つまり、本体は案外虚弱なものだが、外皮が硬くて攻撃が届かない。王女は王女なりに壁を張っている…そういう訳か。では、次は仲間についての情報を収集してきてくれ。」

「その前に…報酬金を。商人として当然の条件ですから。」

 紗奈は男の一人から封筒を一つ手渡された。海美はその様子を唖然として見ていた。

(…ま、まずい…非常に。凄い事を聞いちゃったし…それに嫌な予感が的中したし…。いち早く兎姫さんには言っておかないと。)

 海美は紗奈がどんな人物かを知ってしまった。そして紗奈の友達、兎姫にはそれを言っておかなければならない。ポケットのスマートフォンを取り出そうとしたが、忘れてしまっていた。

(こんな時に限って携帯忘れたぁ!…ば、バレる前に逃げないと…。)

 海美は紗奈が黒いフードを被った集団と話している隙にこっそりと忍び足で逃げ出した。しかし、

 ドテッ!

「痛っ…。」

 肝心なところで転けてしまった海美。ドジが仇となった。そして全員にそれが見られた。つまり、非常にまずい事態ということ。海美、苦笑い。

「あははは、は…こんにちは、みなさん。」

「捕まえろっ!」

 黒フードを被った男たち三人が海美を捕縛した。遠くで紗奈が呆れたという表情で困り果てていた。

「えへへ…ごめんなさい、とk―――」

 海美は男に首を叩かれてそのまま気絶してしまった。




 やばいっ!先生にばれそうだから、もうやめる!

 みなさん、とりあえずさようなら!次回をこうご期待!

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