プロローグ
僕は星野夜です。記念すべき1回目の投稿。まぁ、つまんないなら、つまんないって言って良いんですよ。かっこ暗黒微笑。自分もあまり文章構成が上手いわけでもありません。ので、暖かい目で見ていただければ幸いです。
2015年9月7日投稿
プロローグ
深夜2時半。場所は重工場の倉庫。この時間帯には作業員は全員帰り、誰もいなくなる。
「おらぁっ! 無駄なプライド掲げてねぇで、とっとと有り金よこせよ、カス!」
倉庫内に誰かがいる。年頃は十代後半。肩にボートのオールを掛け、口にタバコを咥え、堂々と立ち尽くしている。これでも女子高生。その前に黒服の男性が倒れていた。とても怯えている。
「ごっごごご、ごめんなさいっ! 金は無いんですよ! 来週までに用意するんで! 今日は勘弁してください!」
男は必死で土下座して訴えかけた。その男の頭を女子高生は踏み付け、叫んだ。
「来週だと! ざけんなっ! テメェが散々、紗奈にしてきた事、忘れてんじゃねぇよ! テメェも言ったよなぁ?! 『明日までは待ってられねぇ』とか何とかぁ!」
女子高生は男の頭をさらに強く踏み潰した。男は痛がって身悶える。
「いだだだだだだっ! す、すみませんでした! 本当にすみませんでした! 自分が間違っていました! もう、紗奈には取り立てないから! 二度と関わらないから! だから、今回だけは―――」
「駄目だ。返せないんなら、罰を与えないとなぁ~っ!」
女子高生は悪そうな不気味な笑みを浮かべ、そう言った。
「ばっ罰ですか?!」
「そうだよ。どうなるか、知りたい?」
男は首を振って否定した。
「そうか、知りたくないか…。なら、許そうか。」
女子高生は男の頭から足を退かした。男の顔は希望に満ちた表情だった。
「だが、紗奈ちゃんは許さないってよぉっ!」
女子高生がオールを構える。瞬間、男の表情が希望から絶望に変わった。
「人類史上最大最悪のクソゴミカス野郎! 歯ぁ食いしばんなっ!」
女子高生のひと振りが倒れてる男の顔面にヒットし、男は吹き飛んで倉庫内の荷物に激突した。男は顔から鼻血を吹き出して、完全に再起不能。
「嘘だよ、紗奈ちゃんはそんな事、言ってない。ただ、俺がムカついたから殴っただけだ。文句あるか?」
この凶暴なヤンキー女子高生は高校の現生徒会長。どうみても、らしくない生徒だ。名前は兎姫(とき)。正義感が強く、人助けが大好きな学生だが、行動も口調も暴走してる。それと、手に持つボートのオールは愛用の武器。
兎姫は倉庫の出口の扉を開いた。
「あー、そうそう。お前の財布にあった現金はありがたく頂戴しとくわ。これな」
兎姫はいつの間にか、財布から現金を全て取り上げていた。
「悪く思うな。こいつぁ、テメェからパクったんじゃねぇ、取り返したんだ、友人の金をな。関係のねぇ紗奈を巻き込んで、金を奪いあげるなんざぁ、クソ野郎だ! 次やってみろ、俺がテメェをぶちのめして、身包み全て剥いで、それから袋叩きにして、コンクリートブロックを取り付け、深い海の底に沈めてやるからなぁ! ……聞いてねぇか……」
男はとっくに気絶していた。
兎姫はため息を一つ吐き、血がこびり付いたオールをすぐ近くの海の海水に付け、洗い流した。
「はぁあ、メンドくせぇ……。最近のチンピラは弱くて手応えがめっきりねぇ」
兎姫は暗い夜道の中、トボトボと一人で帰っていった。
翌日、学校で兎姫は、紗奈に結果を発表したーー直後、紗奈は兎姫に飛びつき抱きついた。心から喜んでいる様子だ。
「本当に! ありがと、ウサ! 本当に嬉しいよ!」
兎姫のあだ名はウサ。名前の兎から取ってきたもの。
「やめろよ、俺はレズなんかじゃねぇ!」
兎姫は嫌そうな顔で紗奈を見つめ、必死で振り払った。本当に嫌だったようで。
「はぁ、朝から元気で良いよな、紗奈。あーそうだ、これ、あのチンピラから分捕ってきた金だ」
兎姫はポケットから札束を取り出した。紗奈は受け取ろうとしたが、直後、兎姫がその札束を掲げた。
「あ、ウサ、何するの?」
兎姫はとてつもなく悪そうな表情で、
「……まだ、報酬をもらってなかったよなぁ。報酬は取り返した現金の50%! この札束の半分は俺の所有権だ」
そう言った。
「50%も! それは高すぎでしょ!」
当然、高すぎる報酬だ。驚くのも仕方がない。
「良いだろ! お前の取立て人を追い払い、且つ現金まで取り返したんだ! 危ない行為までしてな! これぐらい普通だろうが。一歩間違えたら、俺は死んでたんだぞ! むしろ、50%じゃ低いくらいだが、今回はこれぐらいで勘弁してやらぁ」
「そのセリフ、取立て人とまったく同じじゃない!」
「ざけんな、あんなクソゴミカス野郎と一緒にすんな。これはもらって当然だろ」
紗奈はため息を吐く。
「……そうだね、これ以上足掻いてても無駄骨だし。兎姫は昔からそんなだったからね」
「それは褒め言葉として受け取っておこう」
兎姫は札束の半分を貰い、半分を紗奈に渡した。
「おいおい、見たかよ、あの行為。今日もこえ~。流石は不良潰しの獄兎、関わりたくねぇな」
兎姫の耳に男子の話し声が聞こえた。
「おいっ! そこの男子、文句あんのかぁ?」
兎姫の鋭い眼光で睨みつけられた男子は皆、震え上がって逃げ出した。
「はぁ~……くっだらね。男子もあのザマ。誰が獄兎だ、バーカ。ウサちゃんと呼べ、青少年が」
近頃、俺の噂が校内に出回ってるようだな。『不良潰しの獄兎』……か。悪くねぇネーミングセンスだが、ちと困る。誰も話してこなくなった。男子なんかは大抵、睨むだけで黙らせることもできる。女子なんかは近くを通るだけで怯える。別にさ、急に攻撃を仕掛けるなんかしねぇって~の! そこまで狂女じゃねぇ。ただ、ちょっとだけ、人よりちょっとだけ喧嘩が強いだけだ。
「まぁ、紗奈の要求も解決したことだし、これにて一件落着ってやつか」
「ネタが古すぎだよ、ウサ」
「良いんだよ、そんなの。ほら、言うだろ?あのー…あれだ、ほら、あれだよ……終わり良ければ何とやらってな」
「終わり良ければ全て良し、ね」
「まぁ、そう言うこったぁ。じゃあな、紗奈」
兎姫は自分の教室へ帰っていった。
この話は、主人公兎姫が色んな生徒の悩みを解決する話。まぁ、主人公が少しばかし、グレてるんですが。
「何だと、ナレーター! 聞こえてんぞ、おいっ!」
兎姫はさておき、こんな主人公が自分なりに解決法を見つけ出す、そんな話です。兎姫はどうしようもない馬鹿ですが、この茶番劇に付き合ってください。
「ナレーター! 後でぶっ殺すからな!」