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予感

ブルルル!ブルルル!・・・・


目覚まし設定されている枕元に置いたスマホの振動で目が覚める


「うーん・・・っはぁ」


大きく伸びをするがベッドからは出れずしばらくぼーっと中空を見つめ

いつものようにテレビを付けた

駅からの記憶があまり無く寝起きの健一には昨日の出来事がまるで夢のように感じていた


(朝飯作るの面倒だな)


「・・・容疑者とみられる男性は屋上から落下したと見られており死亡が確認されました・・・」


「次のニュースです。昨夜20時ごろ歩道を歩いていた男性が暴走した乗用車に轢かれました

乗用車に乗っていた男性は即死、被害に合った男性は病院に搬送されましたがまもなく死亡

警察は事件事故両面で捜査する方針です」


音だけ聴いていた健一は身を乗り出してテレビの方へ体を向けた


「ハハ・・・そうか、彼は死んだのか・・・」


この時すでに健一は気づいていた

全てを理解するのに長い時間などいらなかった


「つーか・・・マジかよ、スゲェよオレ!超能力ってやつか?スゲェスゲェスゲェ!!」


「バカなやつだ!恨まれたあげく殺されてやんの!つまんねー人生ハハハハハ!」


嬉しさのあまり子供のようにベッドに転げ回る

今まで何の変哲もない人生に光が差したように思えた


(また見てぇなぁアレ───そうだな・・・もっと何か抱えてそうな人間が良い)


その為にはまず健一は力を発現するための条件を考える必要があった

思いつくままに近くにあったチラシの裏に箇条書きにする


1 人が死ぬ間際のできごとであった

2 対象の人物のかなり近くにいた(5メートルくらい?)

3 相手の記憶に入る直前目が合ったような気がする

4 それまで自分の近くで人が死んだ、或いは死にかけた事はない 

5 相手が絶命した瞬間現実に戻される可能性が高い


(こんな感じかな、おそらく他人の記憶に入り込むような能力)


(それも死の危機に瀕している人間ということはアレだ、走馬灯?ってやつかもな)


健一があれやこれや考えている内に起きてからもう一時間が過ぎようとしていた


「やばっ!こんな事してる場合じゃない!遅刻しちまう!」


毎日の習慣とは怖いもので何よりも優先すべきと体が覚えている

たった5分で身支度を整え会社に向かった

道ですれ違う人間、電車に乗り合わせた人間、もちろん自分の身の回りの人間

全ての人間が自分の能力の対象である

獲物を狙う狩人のような目つきで品定めをし続ける


(やっぱ美人は興味あるなぁ、でも案外人生は薄っぺらかもな)


「平本!見積もりの数字一桁間違ってるぞ!」


うわの空で仕事をしてればミスるのは当然だった


「課長、申し訳ありません。」


「しっかりしろ!うっかりじゃすまないミスだぞこれは!!」


あちらこちらでヒソヒソこちらを見て話しているのが視界に入ってくる

人の不幸は蜜の味とはこれの事かいう感じで中には嬉しそうにニヤニヤしたやつがいる


(チッ、うっせーなぁ・・・みんなの見てる前で説教とかハンパねぇわ・・・)


「オレがお前くらいの頃はな、こんなミスしたことないぞ!」


(ほぉーたいそう素晴らしい人物なんですね課長は)


「だいたいな!お前はミスが少し多すぎるぞ!この前だって・・・」


火が付いた課長の勢いは止まらず20分ほどしっかりとお説教を受け開放された


(はいはい立派立派、もし課長が死ぬことがあったらオレが確かめてやるよホントかどうか)


釈然としない気持ちのまま仕事を終え会社の敷地から出て行く

とぼとぼと駅に向かい歩いていくと昨日の事故現場に辿りついた

昨日の事故の痕跡は曲がった電柱くらいで驚くほどいつもと変わらない様である

その時ふと健一の頭をよぎったのが自分の能力と課長の顔だった


(なんか段々ムカツイてきた!あの野郎を待ち伏せしてやろう)


安易な発想と普通でない精神状態で課長をまさに標的にしようと考える


(別に殺すわけじゃない、とりあえずあとをつけてやろう)


近くのファストフード店に入り会社からの帰宅路が見える窓際の位置に陣取る

あと30分もすればここを通るだろうという読みもありイライラしながら待っていると

隣に座る女性が現れた


(なんだよ、他にも席空いてるだろ・・・向こう行けよ・・・)


あくまでそちらには顔は向けないが怪訝そうな表情を作る


「あのー、もしかして昨日のボーっとしてた人ですか?」


いきなり話しかけられギョッとしながら顔を見る

昨日の今日だ、さすがに見覚えのある顔だった


「あぁ、やっぱり!あれから具合どうですか?」


「へっ!?あ・・あぁもしかして昨日の!?」


「動き出したと思ったらなんか無言でフラフラ歩き出しちゃったんでビックリしちゃいました」


「あ、いやその節はすいません。別に無視しようとしたわけじゃないんです」


「いえいえ、ショックな出来事でしたよね。私も昨日は眠れませんでした」


彼女の名前は恵といい昨日はあまり気にも留めていなかったが

よく見ると結構な美人で近くで働いてるという

健一はなかなかこんなレベルの女性と話す機会が無く上機嫌で話続けた


「じゃあ私そろそろ行きますね」


「あ、そうだ!これも何かの縁なのでメール交換しましょうよ」


「そうですねー、わかりました交換しましょう」


彼女と別れてから1時間ほど経っていた

もちろん本来の目的であった課長はすでに帰っている時間であった


(まぁ、今日はいいか。急いでやるような事じゃないしよく考えたらあいつの人生つまんなそうだわ)


彼女に邪魔をされた形にはなってしまったがもちろん悪い気はせず

これからの事は土日の休みの日にゆっくり考える事にした

その事を考えると今まで感じたことのない楽しみな気持ちと共に心がチクチクむず痒い気持ちにもなっていた



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