ヴィジョンー2
「ぐううう……」
心臓が痛い。息が荒い。クソ、こんな事の為に俺は日々を積み重ねたのか? そもそも騎士にすらなるべきじゃなかったろう、こんな事になるなら。 家で篭っているべきだったよ、クソ。クソ。何年間もがぶっつぶれた。俺の未来すらもうないんだ。
俺は利用されたのか? ーー一体、俺はここまで何をしてきたんだ?
ーー自分の言葉で何が言える? 胸を張ってこの数年間を誇る事が出来るか? イフットにすら捨てられて、何があるっていうんだ? ただの馬鹿なのか、俺は? 惨めな裏切りを受けるだけのゴミであり、自分が全面的に信頼を置いていたものは間違いだったというのか?
頭がぐるぐるする。恐らく薬に加えて、失血のせいでもあるだろう。思考が回らない。しんどい、苦しい。
死にたいなどと大の男が嘆く事が出来ればいいがーー、少なくとも目の前のこいつの前では言いたくは無い。
どうせ俺が死ぬのならば、裏切った物にはまだ、死ぬより惨めな生き方をすればいいとすら思う。
容赦はしないさ、クソが。
ーー俺は、せめて権力を盾に奪われた、とかならまだ納得は出来た。
それに、クソ野郎が奴を愛していた、だとかならまだそれも納得が出来た。
ーーだが、これはなんだ?
ーー遊びか。 そして俺は遊びにすら劣ったのか。
これ程の屈辱は、男としてはない。
破滅しかーーない。少なくとも黒岩田には生き残る道は一つとすら、与えない。何処までも何処までも追い込んで、指の爪を全て剥ぎ取って、地獄の果てでも後悔をさせる。それが最後だ。
そして俺を裏切り、ゴミのように扱ったイフット。アンタは、それを見て自分のした事の大きさを知ればいいさ。
人を狂わせるだけの事をした。長くまで生きて、それを知ればいい。
俺は俺である前に、理想の俺でありたかった。
ーーあぁ、何か人生に保険をかけておくんだった、アイツ以外の楽しみが全然ないんだものな! クソ!
魔力の渦が身体の中で逆巻くと共に、吐き気と黒い感情が湧き出る。
須賀谷はゆっくりと起き上がり、タマチルツルギを抜いた。




