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魂の価値は

「《フレアーハウリング》!」


 イフットの放つ火球を須賀谷は弾き、さらに突進する。


 殴るのは気が進まないとかいうレベルではないが、油断をしたら殺される。


「うおおおおおッ!」


 さらに二発飛んできた火球を避け、間合いに入る。


「でぇぇえい!」


「なっ……!」


 徐にイフットの翼を掴み、遠心力と共に投げ飛ばす。


さらに黒岩田が殴りかかってきたのを受け止め、その腕を折り取る。


「てめぇ! 須賀谷!」


黒岩田が目の色を変える。


「死ね!」


「がふっ!」

 須賀谷はすぐさま膝蹴りを入れ、悶絶した黒岩田にさらに近くにあった斧の残骸で止めを刺そうとするがーー。





「駄目!」



 イフットの声が、掛かった。その声は、操られてもいない素の声だ。


「何故だ!」


 魔法を弾きつつ須賀谷は苦々しげに言う。エネルギー残量は把握はしているがーーこんな事をいうなど。俺には、復讐さえ許されないのか!?


「駄目。黒岩田を殺しちゃ、駄目!」


「俺には貴様の気持ちが分からん! どういう神経をしている! 何故だ、イフット! 何故奴を庇う! 俺に一生の後悔をさせる気か! 死ぬよりも、惨めな事を!」


 須賀谷は咆哮する。薬は便利な道具じゃない。ーーは、早くケリをつけなければ。


 だが。


「貴方は結果を出せなかった! それに、弱かったのは事実!」


「ーーっ!」


 そう、責められる。痛い話だ。


「だが、どうしてこんな事になる! お前が!」


「それとこれとは……別だよ」


「何が別なものか!」


「別だよ」


「この仕打が現実か!? 貴様は嘘を付いていたのか!」


「……いい加減にしなよ」


「何だと!? どういう事を! 俺の積み重ねていた事は、何の意味も無いのか!?」


 須賀谷はそう、訴える。だがーー。


「ーー人間はね、変わるもんなんだよ」



「何?」



「女は冷める時は、一気に冷めるの」


「ーーっく」


 須賀谷は、凍り付く。


「それに、結局は今回の事。昔元々私が士亜と付き合いもしなければよかった話だしね」


「ーーっ。お前っ。ーーぁう……く……!」


「それに、私と貴方では、価値観の違いもあった。多かれ少なかれ、終わる事だった」


「ーー」


「ーー分かった?」



「そんな事、言われたって!」


「……でも、事実だから」


 心が乱されて一瞬、気が緩む。だから須賀谷は、迫る気配に気が付かなかった。


 ーードスッ。



 気付けば鋭い金属片が、須賀谷の腰から生えていた。

ーーこれは、破壊したガントレットの破片?


「ははは! あまっちょろいなぁぁ!? どんな気分だい? 士亜ちゃんよおおおおおおおう!」


 いつの間にか、背後に破片を持った黒岩田が気味の悪い笑みを浮かべていた。

 ーーちっきしょう、内臓には達しなかったが、骨はやられた……。


 瞬時に悟る。肺はやられなかったが、猛烈な熱さが身体の中を走っている。


「俺の……邪魔をするな!」


須賀谷は残った力を使い、バックブローで黒岩田を思い切り吹き飛ばす。鎧と共に奴のあばらが、砕けただろう。だが、技を繰り出した後に自分自身のダメージを自覚すると物凄く痛い。



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