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命を賭しても為したかった事

 須賀谷はケースを握りながらもメガーロの言葉を思い出し、頭の中で言われた言葉を反芻する。

「一粒を摂取するだけで潜在魔力がほぼ限界まで維持可能。もちろんそのツケは身体に反動といった形で出るがな。私の試算では、常人なら一粒摂取で確実に10年は寿命が縮む。二粒摂取で1週間は血反吐を吐くだろう。オーバードーズすれば確実に死ぬものだ」


 この言葉を言っていたメガーロは、少なくとも嘘は付いていない顔であった。


「……オーバードーズすれば、確実に死か。成程、上等だ」


 須賀谷は呟く。ーー此処まで地獄に落としてくれた奴を屠るには、自分も修羅道に堕ちるしかあるまい。


「何を訳の分からない事を言ってやがる!?」

 黒岩田の言葉が飛んでくる。


「……知った事か。貴様がコケにしていた惨めな狗の力を魅せてやる。……俺は、俺の命をこの天秤に賭ける。貴様の人生全てで償い切れると思うなよ?」


 須賀谷は一錠をケースから取り出し、噛み砕く。

 その瞬間口の中にレバーと生のピーマンを砕いたかのような最悪の味を感じ、同時に強烈な嘔吐感を得た。


「グ……ガッ……!」


 目頭が痛い。舌が痺れる。なんて酷い味だ。

 そう感じた後、今度は心臓の近くから燃えるような熱さがくる。

 サウナとかそんなものではない。強烈な酸を飲んだかのようだ。……酸っぱい。

 ーーそうか。これは薬の力で自分の命が、燃えているのか……!


 須賀谷はそう、自分で悟った。


「てめぇ!」


黒岩田がこちらに、飛び掛ってくる。


 相手のアームがこちらにまた、迫ってくる。


「俺は今の選択を振り返って……後悔はしない。後悔なんて、してたまるものか」


 須賀谷は、右手に力を込める。そして……。


《エンチャント・バニッシュ・ナックル!》


 相手のアームに向け、紫のオーラを纏った全力の拳を叩き込んだ。


 黒岩田の機械の腕はベキリと音を立てて逆側に曲がり、指のパーツが吹き飛んでいく。


「何ィッ!?」


 黒岩田が驚愕の声を上げた。


「……お前は殺す。お前を殺したら渡辺も……すぐに後を追わせてやる。この息の詰まる世界から消してやる、俺の命と引き換えにーー!」


 須賀谷はそこへ、一歩一歩近寄っていくーー。


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