1/47
はるけき世界を望む詩
人から背後から撃たれるのはもう慣れていた。
それでも、未来という物を望みたかった。
ーーあぁ、未来はある。たとえ人の人生というものが、どんなに過酷だとしても。
この世界に無かったとしても、何処かにはある。
もしも今が地獄ならばそう、まさに理想は語らねばならない。
人には全て、死は平等に訪れる。
ならば確信せねばなるまい。いつかあるだろう、本物の絆と共に笑える日がくるまで。
蘇生なんて奇跡はこんな世界には無い。人には希望という物が必要だ。
どんな絶望さえも、乗り越えられたなら、そこに一握りの光は待っているーー。
人の世は、移り行くもの。人の心は、そして儚いものでもある。
これは、男の魂が正しく進まなかった世界。冷たくなる身体と、戦う世界。
誰も望まない男の話。
かつて機械で生み出された男の、不幸に抗う一つの人造人間の勇敢な死への物語ーー。