異世界でのスタート地点(2)
リュリアは夢の中です。
私は白い世界にいた。リーレンの世界だ。
「やあ、リュリア。こんにちは。・・・いや、初めまして、かな。二人共、無事に転生できて何よりだ。
千笑も可愛かったけど、リュリアはなんていうか、人間離れしているね。とっても可愛いし、きれいだよ。」
「・・なにそれ。私って、どんな顔してるわけ。すんごく気になるんだけど。」
「ははっ、うん。目が覚めたら、確認してごらん。きっと驚くよ。」
目が覚めたらって・・
「ああ、私そういえば倒れたねぇ。魔物も倒したっけ?そのあとどうなったか教えてくれる?」
「えとね、魔物を倒したあとすぐに近くの村の村長が通りかかって、今はその人の家で寝ているよ。ヴァロっていう名前の村なんだけどね?ルカは君の隣で寝ている。」
「そう。私、転生したとき発作起こしてたんだけど、病気はどうなったの?」
私が病気の話を出すと、リーレンはすごく辛そうな顔をした。私はその顔を見て、大体のことを悟った。
「・・・・うん。ひどく、なったよ。」
まあ、そうだろう。だが、リーレンの顔を見るとそれだけではないということは容易く想像できた。
それで?と先を促す。
リーレンは重々しく口を開けた。
「千笑の時は、普通に生活してて、たまに発作が起きていたでしょう?でも、リュリアはそれが逆になってるんだ。発作が起きている状態がつねで、たまに発作が治まるってかんじに。」
なるほど。そりゃあ深刻だ。何の対策も立てなければ、わたしはうごくことも、ろくに食事を取ることもできない。すぐに衰弱死するだろう。今は薬があるが、それも時間の問題だ。
「それは、魔法でどうにかなるんだよね?」
「うん。治癒魔法で。リュリア、魔物を倒すために、火の攻撃魔法を使ったでしょう?いきなりあの威力を出せたんだ。君には魔法の才能が有るよ。魔力も余るほどあるしね。きっと治癒魔法も使えるよ。」
治癒魔法、か。
「魔法を使うコツは、イメージを明確にすることだよ。まあ、やり方は人それぞれだけど、自分が使えるお思えば使える。大事なのは、魔法を使うとき、きちんと受け止めることだ。」
つまり、こじ付けでも、思い込みでもいいから、魔法に疑問を持たずに発動しろ、ということだろう。逆に言うと、魔法の発動に少しでも疑念や疑問を持つと発動できない。
「ん。わかった。何が何でも使えるようになってやるわ。それ以外の選択肢はないからね。」
「リュリアならできるさ。」
「ありがとう。ところでリーレン。なんで、この世界で私にあったの?イデールでは、直接会えるんじゃないの?」
「ああ、それね。会うにも、いろいろ条件があるんだよ。まだ、その条件を満たしてないから、直接はあえない。病気のことが一段落ついたら、ヴァロにある小さな協会においで。そこで会える。」
どうやらリーレンは、気を使ってくれていたらしい。病気のことが終わるまで待っていてくれる、ということだ。
「わかった。じゃあ、早いところ解決してくるよ。まっててね。」
「ん。頑張って」
さて、目を覚ますとしよう。ルカにも心配かけてるだろうしね。さっさと問題解決して、楽しい異世界ライフを目指そうじゃないか。
目覚めた私がいるのは、ヴァロという小さな村。
私とルカにとっての、異世界ライフのスタート地点だ。