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異世界でのスタート地点

異世界にきました。

・・・・・・ここは?

洞窟の中、かな。目が覚め、あたりを見回すと、洞窟の中に倒れていたことが分かった。なぜだろう。頭が痛い。ズキズキする。すこし目もまわる。

ルカは・・・・・?ルカがいない。まさか、転生に失敗した?いや、そんなわけない。違うところに転生したんだ、きっと。私は立ち上がろうとして、足に力がはいらなくて失敗した。それでも、じっとしているわけにはいかないので、壁につかまって移動した。


「あ、姉さん。目が覚めたんだね。よかた。」


声のした方を見ると、身長は光太と同じくらいで、深い青色の髪と瞳を持った少年がいた。なんとなく、雰囲気で光太だな、と思った。今はルカだが。

ルカも、私と同じような感じで私を自分の姉だと判断したのだろう。

後から分かったことだが、私は普段は黒く見えるが、光に当たると鮮やかな青に見える髪と瞳をもっている。最も、私は自分の髪や瞳が光るところなどあまり見る機会がないので、黒い、という認識しかしていないが。身長はやはり前と変わらないくらいだった。

「ルカ!よかった。生きてたんだね。平気?どっかおかしいところとか、ない?」

「うん。平気だよ。それより姉さん。俺、今この辺りを見回ってきたんだけど、結構近くに村があったよ。とりあえず、そこに行かない?・・・姉さん?」


ルカの声が遠い。胸が苦しい。ああ、これ、発作か。しかも、今まではなかった症状まで出てる。どうやら、私の病気は悪化してしまったみたいだ。それも、物凄く。


「姉さん!発作!?・・熱がある。今までの発作って、こんなひどかったけ?」


ごめんルカ、動けないや。私の意識は沈んでいった。



・・・どうしよう。とりあえず薬を。ああ、でも水がないや。じゃあどうする?・・・・あの村はどうだ?いや、行ったところで、村人は助けてくれるか?ココは異世界なのだ。よそ者の、どこの誰かもわからない怪しすぎる僕たちを、助けてくれる保証はない。もしかしたら、敵と認識されるかもしれない。

でも、このまま何もしなければ姉さんが危ない。せめて水を手に入れなくちゃ。姉さんが助かるかもしれないなら、それに賭けよう。


ルカはリュリアの腕を自分に回し、村に向かて、足場の悪い森の中を移動し始めた。

しばらく歩いていると、ガサガサと大きな音がし、ルカの後ろの草が動いた。


「っ!なんだ?っっ!!!!!なんだよ、これ。」


草むらから現れたのは、口が耳のあたりまで裂けた、普通の倍はある狼だ。口の周りについている赤液体が、恐怖を煽る。

ルカはリュリアをおろし、後ろにかばう。


「ルカ・・・?っ!・・これ、魔獣・・・?」


目を開けると、目の前に大きな狼がいた。

どうしようか。私たちは武器なんて持っていない。日本にいた時と、身に着けているものは同じなのだ。

このままだと、食われるよな。どうにかして、あの狼を殺せないか?私にできることはなんだ?

・・・・・・・魔法。私は魔法が使えると、リーレンが言っていた。私は、どうやって魔法を発動するのか知らない。それでもできるか?・・・・できる。やってやる。


「ル、カ。ちょっとどいて。」


私に背を向けて立っているルカに、かすれた声で言う。

ルカが少し右にずれたのを確認して、目を閉じ、私は頭の中で炎が狼を燃やし尽くし、灰に変える様子を想像した。イメージがしかりしてから、目を開け、狼の目を真っ直ぐ見つめた。


「燃え尽きろ。」


そう口にすると、狼は瞬く間に炎に包まれ、一瞬で灰にかわった。

私はそれを見届けると、再び意識を手放した。


「なに、これ。これが、魔法?」


しばらくルカが唖然としていると、また、草むらが音をたてた。

ルカは警戒したが、現れたのは馬に乗った人だった。


「なんだ、人か。子供が何をしている?ここは危ないぞ。すぐに帰れ。にしても、ここらでは見ない顔だな。ああ、そうだ。聞きたいことがあるんだが、ここに、魔獣はこなかったか?取り逃がしてしまってな。」

「それなら、さっき姉さんが燃やしたよ。」


ルカは灰を指さして答える。


「魔法か。なかなかの腕だな。・・ん?姉さんって?・・!!大丈夫なのか?その子。」


横たわるリュリアに気づき男が馬から降りて駆け寄ってくる。


「なあ、あんた、水持ってない?姉さんに薬を飲ませたいんだ。」

「あいにく、今は持ってない。だが、緊急事態のようだな。休む場所を提供する。その子を馬に乗せるの、手伝ってくれ。」

「ああ。ありがとう。」



   *   *   *



俺たちは、この男-テルガというそうだ。-に連れられて、森から見えた村にある、テルガの家で休ませてもらうことになった。僕と姉さんの名前も教えた。テルガは、この村の村長をしているらしく、地位は低いが、貴族だそうだ。ちなみに、この村はヴァロというらしい。


「なんで、貴族が村長を?」

「あー、父親がこのあたりの土地の領主なんだが、貴族の暮らしが性に合わなくてな。父に許可をもらって、この村の管理をしているんだよ。・・・リュリアちゃん、落ち着いたてきたな。病気なのか?」

「ああ。うつらないから、安心していいよ。」

「すまん。そういうつもりじぁなかったんだが。なんで、お前らあんなところにいたんだ?」


どうしようか。転生して、気が付いたら洞窟にいて、・・・なんて、誰が信じるだろう。いや、異世界だし、あり得るのかもしれない、かな。まあ、どちらにせよ迂闊に話はできない。この世界について何も知らないから、話していいことと、いけないことの判断ができないから。姉さんとの口裏合わせも必要だし。


「姉さんが起きたら、二人でちゃんと話すよ。」

「そうか。分かった。ルカも疲れただろう。もう休んだらどうだ?明日の朝、リュリアちゃんが起きてたら、その時きかせてくれ。」

「ああ。それじゃあ、先に休ませてもらうね。」


俺は姉さんと同じ部屋に入り、地面に寝転がった。

ベッドは姉さんが使っているから、こうするしかないのだ。多少ごつごつするが、問題はない。テルガはリビングのソファーで寝るといっていた。僕たちが二人きりになれるよう、気を使ってくれたのだろう。

明日の朝はテルガよりも早く起きて、姉さんとこれからのことについて話し合わなければならない。そんな事を考えていると、さすがに疲れていたのか、しばらくしてから、眠ることができた。


本当に、今日一日でいろんなことが起こりすぎだ。勢いでここまで来だが、神ってなんだよ。あの子供が神?転生?・・・色々と実感がわかな過ぎて困る。


でもまあ、姉についてきて転生したことに後悔はない。

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