2つ目の世界へ(5)
次からは異世界です。
何もないところが光ったと思ったら、いつの間にか、目の前に光太がいた。
「・・・・姉さん!って、・・・え?あれ・・?ん?ここは・・・?いや、それより、姉さん、平気なの?・・・!ここ、死後の世界とかじゃないよね?いや、それだと、俺がここにいるのはおかしい。ん?」
「ははっ!光太、落ち着いて。私はまだ死んでないわ。光太もね。」
「・・・まだって、何?」
「聞いて、光太。私、違う世界に転生することにしたの。だから、それを伝えるために、光太をここに呼んでもらったのよ。」
姉は、何を言っているんだ?
「呼んでもらったって、誰に?」
「神様だよ。これから私、光太のそばにいれなくなる。でも、神様がたまに、こうして私たちをあわせてくれるって」
いきなりすぎる急展開に、頭がついていかないんだが。だが、今の姉の言葉は聞き捨てならない。
「何言ってんの・・・?意味、分かんないよ。姉さんまで、いなくなってしまうの?俺のそばから離れていってしまうの?昔、そばにいるって言ったのは、嘘だったの?俺、は、・・一人になってしまうの・・・?」
「光太、ちが・・・」
なぜだか頭に血が上って、姉の言葉をさえぎってしまった。
「俺はっ!!!姉さんがそばにいてくれれば、それでよかったのに。父さんや母さん、兄さんたちがいなくても、平気だったのに。姉さんまでいなくなったら、俺、もう生きてる意味なくなる・・・・。」
姉の、困惑した表情が目に入る
「光太・・・」
「俺も、一緒に行く。」
・・・・・・・・・・・・・・え?今、私の弟は、何と言った?
「俺も転生、する。・・ねえ!神様、いるんだろう?!俺も転生させてくれ!!お願い、お願いだから・・・・」
しばらくの静寂のあと、リーレンが光太の前に現れた。
「わかった。いいいよ。転生、させてあげる。」
私は、リーレンの言葉に目を剥いた。
「ちょっ!!リーレン!!!さっき、普通の人が生きている状態で転生したら、死んじゃうっていったじゃん!!弟は生きてる!・・・・まさか、光太も、魂の位、高いの?」
「いや、彼はごく普通の人間さ。ただ、僕が光太君に加護を与えれば、生き残る可能性と死ぬ可能性は五分五分になる。」
「だめっ!そんなの。もし光太が死んでしまったら?そんなの、許さない。」
もし、光太が死んでしまったら、私は、生きていけない。
「お願いします。神様。俺に加護をください。」
「だめ!!!!光太、光太は私の唯一の支えなの。お願い、やめて。」
「姉さん。それは俺も同じなんだよ。姉さんはさっき、俺から離れようとした。だから、仕返しだ。それに俺は死なない。姉さんと一緒にいたいから。それに、姉さんの支えをなくしたくないから。」
光太は、覚悟を決めてしまったら、もう何も聞かない。それは、私が一番よく知っている。・・・・・だから、私も覚悟を決めよう。
「わかった。リーレン、名前、つけてあげてくれる?」
「うん。・・・光太君、転生したら、、君はルカインだ。」
「ルカイン・・・」
「それは真名だから、普段はルカと名乗ってね。詳しいことは、千笑に聞いて。年齢はそのままで転生させるね。もう時間がない。リュリア、ルカ、イデールに転生させるよ。」
私たちの体が体が物凄い光に包まれた。しかし不思議と恐怖はなく、むしろ落ち着いた。
「リーレン、ほんと、ありがとう。」
「気にしないで。千笑を救うためだもん。」
「うん。千笑は、きっと幸せだったよ。リーレンのおかげで。それに、リュフィナも、すごく感謝してるよ。新しい人生を与えてくれて。弟も一緒なんて、信じられないって、思ってるよ。2人とも、すごい、感謝してる。リーレン、私がリュフィナになっても、リーレンは私にとって、大切な人だよ。」
「うん。僕も同じさ。君は、どんなに変わっても君だからね。いってらっしゃい。またすぐに会えるから。ルカ、リュリアをしっかり支えてね。僕が直接助けるのは難しいから。リュリアは特殊だから、沢山の危険が降りかかかる。」
「わかった。転生をさせてくれたこと、感謝します。」
「それじゃあ、行こうか。2つ目の世界へ」