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2つ目の世界へ(3)

事件の後の話です。次で転生、完了すると思います。

「っっ!あぁ……。全部思い出したよ。・・・久しぶり、リーレン」

「うん!久しぶり、千笑!また会えてうれしいよ。」

「うん。私も。」



私は事件の後、すごく不安定だった。私はすっかり有名になってしまい、近所の人からは「人殺し」「化け物」などと恐れられた。

別に、そのように呼ばれたことや、父を殺したことで不安定だったわけではない。最愛の家族を、失ったことがこたえたのだ。そして、唯一生き残った私の大切な弟が、まだ幼く事件の詳細を知らない、理解できない弟が、私の家族だからという理由で軽蔑されるのが、許せなかったのだ。

学校では、クラスメイトによる徹底的なハブりによって、まともに授業を受けられなかった。別に私は気にもしなっかったが、弟は違う。深く傷つき、苦しんだ。弟は学校に行かなくなった。

「ごめん、ごめんね。光太は悪くないんだ。私が悪いの。光太は何も、間違ったことはしてないよ。」

「お姉ちゃん、僕、学校でずっと一人なんだ。みんな、僕が近寄ると遠くに行っちゃうの。僕、周りに人がいっぱいいるのに、一人なんだ。・・・・・・・一人は、いやだ。怖いんだ・・・。

「うん。そうだよね…。光太が学校に行かない日は、私も家にいる。そばにいる。光太は一人じゃない。一人じゃないよ。光太はね、私の光なの。その光を、私は絶対に消させないわ。絶対に、誰にも。光太は私が守るから。」

私たちが学校に行かないと、居候している家の人が怒った。でも手は出さない。今度は自分が殺されると思って。だから、言葉や暴力の代わりに、彼らは私たちの食事を減らした。そして、飢え死にするすれすれのところで、違う家に引き取られ、食事を与えられ、次第に減っていく。その繰り返しだった。

何度もこれを繰り返したあと、私たちは施設に入り、私が16歳の時、施設に勤めていた一人の女性に色々世話を焼いてもらい、家族が残したお金を使って家を買い、弟と暮らした。私はバイトをたくさん掛け持った。18歳になった時、世話になった女性の伝手で、結構きちんとしたところに就職した。彼女には本当に感謝している。

凄くいろいろなことがあったし、不安定ではあったけど、私は、壊れることはなった。リーレンのおかげで。

「千笑、光太君は今、確かにつらい状況にある。けどこれは、千笑が光太君の命を救った結果だ。もしもあの時君が父親を殺さなかったら、光太君も殺されていた。君は光太君を守ったんだよ。光太君を襲う苦しみって、これからもたくさんあるじゃない?そんな時に千笑がいないと、光太君はきっと壊れてしまう。だから、光太君を支えてあげてよ。光太君には君が必要なんだ。千笑は光太君にとって、なくてはならない存在なんだよ。」


弟が傷ついているのに、自分は何もできない。そして、弟が傷つくことになった現況の私は、殆ど傷ついていない。それがゆるせなくて、辛くて、苦しくて、不安定になっていた。そのころの私を支えてくれたのがリーレンだった。根気よく、親身になって話を聞いてくれた。

私にとってこれは、大切な思い出であり、リーレンは私にとって、大切な人だった。




・・・・・・・・なのに、なぜ忘れてしまったのだろう?

「僕が、千笑の記憶を消したからさ。」

「・・・なぜ?」

「世界が壊れないように。あの時、僕は君に干渉しすぎた。あのまま君が記憶を持っていたら、世界がくるっていたかもしれない。」

「ああ。そういうこと。だから今、思い出させてくれたんだ。私はこれから、この世界には存在しなくなるから。そうすれば、記憶を戻したとしても、世界に影響が及ばないから。でも、なんでそもそもリーレンは私なんかに干渉したの?なぜ、私のことを見ていたの?……まさか、世界の人たち全員のこと、ちゃんと把握してる……?」

「まさか。千笑はなぜか、魂の位がとても高いんだ。それこそ、もう少し高いと、僕や精霊や天使たちと存在が同じ物になってしまうってくらいに。だから、興味を引かれて見守っていたら、気に入ってしまったってわけ。」

つまり私は、人間のなかでは最もリーレンに近い存在であり、人外すれすれってわけか。・・・まじかよ。

「そのとおりさ!あ、千笑、記憶を戻した時から、世界への影響はもう出始めている。あまり時間はないよ。」

「わかった。今度こそ、転生の準備を始めよう。」

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