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王様に謁見したら、王様の〇〇になりました。(3)

「さて。ここにリュリアが住むことは決まったが、弟よ、そなたはどうしたい?」


いきなり話を振られ、ルカは驚たようだが、確かな声音で話す。


「僕は、姉さんのそばにありたいです。僕は姉さんのように、秀でた人間ではありません。しかし、どうか、ここに留まることをお許し下さい。」

「そなたは、白魔法が得意だと聞いている。この城で、白魔術師としてその力を振るってくれ。」


白魔術師とはすなわち、医者のことだ。

つまり、白魔術師となって働くことを条件に、この城に住むことを許す、ということだ。


「っ!ありがとうございます!」

「よい。ではルカ。早速、職員寮に行き、自分の部屋を見て来い。明日からは働いてもらうぞ。」


ルカは、一人の次女に案内され、部屋を出ていった。


「さて。そなたは一応、客人だからな。ある程度の自由は許されるが、どのような生活が望みだ?」

「この国の、ほかの精霊使いは、どのように生活しているのですか?」

「この国に、精霊使いはそなたを除き、一人しかおらぬ。そこの、エルフェキア騎士団副団長、エルスだ。彼はこの国の騎士として、役目を果たしているぞ。」


おおう。そうだったのか。もしかしたら、エルスさんの人間嫌いには、彼が精霊使いだということが関わっているかも知れない。今度、じっくり話を聞いてみたい。


「ん~、望み・・・、そうですね。では、次女はいりません。掃除や料理は自分でします。ですからそうですね、キッチン、お風呂、トイレが備え付けられた部屋に住みたいです。」


私がそう言うと、陛下はかなり驚いていた。


「そなたは、貴族の暮らしなどに、憧れたりはしないのだな。本当に面白いやつだ。」

「しませんね。今のままで十分充実してますから。」

「そうか。・・・・・しかし残念ながら、ソナタの要求をすべて満たす部屋は存在しない。そこで提案なのだが、後宮を好きに使う、というのはどうだ?」

「こ、後宮!?」


私より先に声を上げたのはテルガだ。


「・・・どういうことです?」

「まあそう睨むな。別にそなたを私の后にしようというわけではない。私は、まだ后を取りたくなくてな。後宮には今、誰もいない。という以前に、あそこに住んだ人間は今まで、一人もいない。実質、空家なのだよ。だからそなたには、後宮の一室を使って暮らしてもらう。部屋には残念ながら、風呂とトイレしかないが、後宮のとなりは騎士寮でな。そっちには、騎士たちの食事を作る厨房がある。そこの手伝いをする代わりに、出来た食事をそなたも食べる、というのはどうだろう?」


想像よりもずっといい待遇だ。文句などあるはずもなかった。


「とても良い考えです。ありがとうございます!」

「うむ。さて、最後にテルガだが、そなたはどうする?」

「私は、村に帰りますよ。私はヴァロの村長ですからね。」

「そうか。しかし、しばらくはここに泊まると良い。客人としてもてなす。」

「ありがとうございます」


これで、全員のこれからの予定がきまった。


「さて、ではそなたたちも、それぞれの部屋に行くと良い。侍女たちに案内させよう。」

「・・陛下。その前に、二人きりでお話したいことがあります。」


私は陛下にそう切り出す。

二人きり、という言葉に、レナードさんとエルスさんが警戒するが、バルジス様が、「彼女は信頼できます。」とたしなめてくれた。

陛下が命ずると、渋々、といった様子で部屋から出ていく。

私は二人の、主を守ろうとする姿勢に好感を抱いた。


さて、これでこの部屋には、私と陛下の二人だけだ。

腹くくって、秘密を暴露してやろうじゃねえか!



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