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王都へ(2)

・・・でかい。パーティーホールが、マジででかい。

どれくらいでかいのかというと、マジででかい。

あ、意味不明だな。すみません。

なんというか、ニュアンスで理解して欲しい。


まず、入口の前にある階段だが、とにかく幅が広い。端からはしまで走ったら息が切れる。

あ、ちなみに私は運動神経がめちゃくちゃいい。

魔法で強化しなくても困らないくらいにはいい。・・・体力は別問題だが。

で、入口だが、これまたでかい。地獄の門かと言いたい。勿論、そんなに禍々しくはないが。むしろ眩しいが。

その門をくぐって入ると、すぐにホールなのだが、この広さは、なんというか、正直無駄である。いくら人を呼んでも、このホールは埋まらないだろう。


・・・・と思っていた。だが、実際のところは、このくらいの広さでちょうど良かった。

見渡す限り、貴族、貴族、貴族なのだ。今回のパーティーは立食形式で食事を取っている。そのため、みな思い思いの相手と楽しく会話をしている。

ここまでの人が集まると、ひとりひとりの声は大したことなくても、かなりうるさい。

この時点で私は白旗をあげたかった。が、出される食べ物が美味しかったので我慢した。


しかし、しかしである。まともに食えんのだ。

絶え間なく、貴族が挨拶をしに来るのだ。

テルガは久しぶりに顔を出しているし、私は初めて顔を出すしで、皆興味を持って寄ってくるのだ。

おまけに私たちは無駄に顔がいいので目立つ目立つ。一応言うが、けして自慢しているわけではない。

この顔のせいで、鼻の下を伸ばしたやからがわんさかやってくるのだ。

そこに男女は関係ない。

女はテルガかルカに、男は私が目的だ。

ルカはテルガほどではないが、なかなかいい顔をしている。


で、私たちは違う人たちに、同じ内容の会話を繰り返しているのだ。

例えばこんな感じ。

今相手にしているのは、太って脂の乗った、不味そうなオヤジだ。

コイツのターゲットは私である。


オヤジ 「いやいやテルガ様、随分とお久しぶりですなあ。」

テルガ 「ええ。お久しぶりです。」

オヤジ 「ところで、そちらのお美しいお嬢さんはどちら様で?見ない顔ですが。」

    (ルカは完全無視か?)

テルガ 「この子達は、私の親戚です。病弱でなかなかこのような場には出席できていなかったのですが、今日はたまたま私の屋敷に来ており、体調もいいようなので連れてきました。」

オヤジ 「それはそれは。・・・しかし、あまり体調がすぐれないように見えます。よろしければ、私が     休憩室までお連れしましょうか?」

    (連れてって何する気だ、クソオヤジ。)

私   「いえ。大丈夫です。」

    (あ、あのケーキ美味しそう。)

オヤジ 「しかし・・・」

    (あ、あのタルトも食べたいなあ)

テルガ 「それでは。」


ちなみに、私たちによってくる連中基本、ターゲット以外はアウトオブ眼中である。

いやもちろん、まともな人はいるのだが、1対9くらいなのだ。

毎回こんな調子なら、テルガが出席したがらない理由もわかる。


こんなやりとりを2時間ほど繰り返し、私が一通りのスウィーツを食べ終えた頃にやっと、このパーティーの主役が現れた。

主役は遅れて登場、が常識らしい。

舞台のようなところに、3人の人が現れる。


今日誕生日を迎え、13歳になる人の名前はシャルノ・ルミーダ。

明るい、黄色に近い緑色の髪と瞳を持つ、可愛らしい子だ。天使のようである。見目麗しい。

顔は母に、髪や瞳の色は父に似たのだろう。

両サイドに立っているのはおそらく彼の両親だ。

つまり、男性の方は、この国の宰相である。

彼は、深い緑色の髪と瞳だった。

長くサラサラとした髪を耳に引っ掛けているが、動くとさらりと落ちてくる。

彼もやはり、見目麗しい。

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