第一話:初日の朝、憂鬱。
「清春!早く起きないと遅刻するわよ!今日は転校初日だから早く来てくださいって言われたでしょ。」
郁恵は台所で朝食に出すサラダのキュウリを包丁で切りながら、清春の部屋に向かって叫んだ。
「う〜ん。わかってるよ〜。」
清春はこの心地よい気分にまかせてもう少し寝たい気分だったが、そうも言ってられないので布団から半ば眠ったままの体を起こした。
今日から新しい学校か、上手くやっていけるかな。清春はそんなことを思いながら、クローゼットに掛かっている新品の制服に着替え、部屋を出てリビングに向かった。
今日は始業式。清春一家はこの春、父が地方の支社から東京の本社に戻ることになったので引っ越して来た。
何年か前地方の支社に移るまでは東京に住んでいたらしいのだが、清春が小さい時のことなので、清春自身はその頃のことはほとんど覚えてない。このくたびれた社宅も昔住んでいたそうだが、はっきり言って全く覚えてない。だからこの土地に戻って来たなんて気はしないし、嬉しくもない訳だ。清春としては慣れ親しんだ友達のいる土地の方が良かった。たとえそこがどんなに田舎だったとしても。
実際に清春一家がいた土地はそこまで田舎ではなかったが、東京のようにコンビニは家のすぐ側にはなかったし、バス亭に行くにもちょっと歩かなければいけないような場所ではあったが、生活に困ったことはなかった。
しかも、中学一年からならまだしも、中学二年になるこの時期に転校するのはあまり気が進まない。中学二年というと、大抵普段付き合うメンバーも決まっている頃だからだ。
そういった理由で清春は少し憂鬱な気分になっていた。
リビングで郁恵が用意した朝食を食べていると、
「そろそろ行かないとまずいんじゃないの。」
と一緒に朝食を食べていた郁恵が時計を見ながら言った。
清春は、あまり行きたくないのでわざとゆっくりと食べていたのだが、時計を見るともう八時だった。家から学校までは二十分ほどで着くのだが、今日は早めに来いと言われていたのでそろそろ出なければいけない時間だった。
「じゃあもう出かけるよ。ご飯もういいから。」
清春はそう言うなり席をたち、部屋にある鞄を取り、駆け足で家を出ていった。
小説書くの初めてなんで文章とかあまり上手くないけどよろしくお願いします。