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metropolitan underground   作者: 丸岡 剛
1.亡霊
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1-1

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 窓ガラスから差し込む柔らかい日射しが、事務机の並んだ事務室を明るく照らし出す。

 まだ朝早く静まりかえった部屋でただ一人、自分の事務机でノートパソコンに向かう男がいた。

 地味なグレーのスーツを着込んだ男は、石像のように微動だにせず、画面に映し出された文字を凝視していた。

 にこやかな笑みを浮かべた顔が、むしろ不気味さを感じさせる。

 部屋の引き戸を開ける音がした。

 入ってきたのは、季節に似合わず日焼けした色黒の男だった。

 薄汚れた作業着の上から防寒着を着こみ、足にサンダルをつっかけた男は、気だるげに部屋の中を歩いてゆく。

 「おはよう」

 スーツの男が視線をパソコンから離さずに声をかけた。

 「うーっす」

 「今日、泊りだっけか」

 「いや」

 「珍しいじゃないか。いつも始業ギリギリに来るのに」

 「まあな」

 色黒の男は生返事を返すと、だるそうなサンダルの音を響かせながら、スーツの男が座る席の前を通り過ぎようとする。

 「今日、来るからか」

 色黒の男がピタッと止まった。

 「…なぁーんか、寝てらんなくて」

 「どんな子だろうね」

 「いい子じゃねぇーことは、確かだな」

 口許が、少し笑った。

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