真の聖騎士は忌み子の毒使いでした
●広い洞窟
薄暗い洞窟内に並ぶ大量の魔物達。
岩場に立つ悪魔のような姿の邪神が、魔物達を見下ろして演説している。
邪神「機は熟した!! 我が使徒どもよ、今こそ人間界を蹂躙する時だ!!」
魔物達「ウオオオオォォォォォッ!!」
雄叫びを上げる魔物達。
邪神、両手を広げて叫ぶ。
邪神「邪神サガンの名において宣言しよう! 貴様らは無敵だッ!!」
バラッド「本当かなぁ?」
洞窟の端でニヤニヤ笑う男・バラッド。
その直後、洞窟内に紫色の雨が降り始める。
雨は魔物を無差別に溶かし殺していく。
パニックになる魔物達。
それを高笑いして眺めるバラッド。
バラッド「ハハハ、やっぱ無敵じゃねぇじゃん!」
腕で雨を防ぐ邪神、慌てて指示を出す。
邪神「防御魔術だ! 身を守れ!」
バラッド「無駄無駄、そいつは魔神の涙を百倍濃縮した猛毒だ! 神代の盾だろうと溶かし尽くすぜ!」
バラッド、雨に濡れながら楽しそうに叫ぶ。
バラッドだけが雨を浴びても溶けていない。
邪神、怒り狂ってバラッドに襲いかかる
邪神「聖騎士バラッド・ハーデルト!!」
バラッド「実家を勘当されて聖騎士じゃなくなったんだ。俺のことは"毒男"バラッドと呼んでくれ」
バラッド、手から毒の鎖を伸ばす。
鎖、邪神に巻き付くと、全身を溶かしながら拘束する。
邪神、苦悶の声を上げる。
邪神「ぐおおおおおおぉぉぉっ!!」
バラッド、毒で構成された剣を生み出す。
そして邪神に向かって斬りかかる。
バラッド「じゃあな、滅びの邪神サガン」
バラッド、邪神を叩き切る。
●昼間の訓練場
N「ハーデルト家。王国の守護を担う由緒正しき聖騎士の一族である」
N「魂に宿す魔力属性を何よりも重視し、善なる属性を良しとする」
N「一方で悪しき属性を持つ者には、苛烈な運命が待っていた……」
青空の下の訓練場。
叔父がバラッドを木剣でボコボコにしている。
叔父「バラッド、立て!」
怒鳴る叔父。
バラッド、ふらつきながら立ち上がる。
そこに叔父が蹴りを入れる。
叔父「遅いッ!」
バラッド、腹を蹴られて膝をつく。
叔父、目を血走らせて叫ぶ。
叔父「忌み子の貴様が生かされているのは、当主のご慈悲によるものだ! その温情に感謝しろ!」
バラッド「別に殺さないでくれと頼んだ覚えはないけどね」
バラッド、ニヤニヤと笑ってつぶやく。
その瞬間、叔父が木剣でバラッドをぶん殴る。
叔父、バラッドを滅多打ちにさながら罵る。
叔父「愚かで頭の悪いところは母親似だな!」
バラッド「……!!」
激昂したバラッド、手から毒を分泌する。
手に触れた木剣がドロドロに溶ける。
叔父、ぎょっとして驚く。
叔父「き、貴様っ!?」
バラッド「母さんを馬鹿にするのは許さねぇよ」
バラッド、叔父の顔に毒を吹きかける。
叔父の顔が焼け爛れる。
叔父、のたうち回る。
叔父「あぎいいいいいいぃぃぃっ!!」
バラッド「騒ぐなって。死なねぇように調整したんだから感謝しろよ?」
バラッド、苦しむ叔父を見下ろして嘲笑う。
N「バラッド・ハーデルト」
N「聖騎士一族の忌み子」




