神殺し
ナツ、全力でいく。
はい!
温存していた“心臓への台風”の形成を開始する。
胸の奥で渦が生まれ、脈が暴れ出す。
即座に距離を詰め、心臓へナイフを突き立てようとした瞬間、落雷。
反射的に結界を足場に壁を蹴り、紙一重で回避する。
「無理です、逃げましょう……」
アマネが弱気に声を漏らす。
「無理だよ。結界が張られてる。破れなくもないけど、時間がかかる。その間にやられる」
シンが淡々と告げた。
結界があるだのないだの、今さらだ。
――殺るしかない。
「……全く」
覚悟を決めたアマネと、二人がかりで接近戦に入る。
アマネに落雷。
だが今は正午。天照大御神の力を借り、紙一枚分の差でかわす。
俺には雷が来ない。
チャージにも僅かな間がある。天界にいない影響か……。
ゼロ距離まで踏み込んだ瞬間、
タケミカヅチノオノカミが、ニヤリと笑った。
視認できるかどうかの速度で拳が振るわれ――
寸前で、神が苦しみだす。
顔から血が垂れ落ちる。
シンが、手を伸ばしている。
……シンの力か。
今だ。
最大までチャージされた“台風”を解放し、ナイフを振るう。
刃は一直線に、心臓を貫いた。
「人間が……!」
断末魔とともに、雷神は霧散する。
「勝ったね!」
「ああ……」
「雷神様に勝ちました!!」
ナツが、心からの笑顔で叫ぶ。
一人の力じゃない。
でも――今回は、胸を張っていい。




