シナツヒコ
「うっわぁ……」
「何がですか?」
訓練相手を確認する。
風神――シナツヒコからの祝福を受けた奴だ。
「そよ風の神と契約した奴との対戦だから……見物人も多いだろうな。」
「え! けど勝ったんですよね?」
「ザコ相手にだがな。ここに来る奴だ、相当な実力者だろう」
……訓練開始。
相手から、ただならぬ気配が伝わる。
「よろしく」
見物人のざわめきが背中で響く。
「そりゃそうでしょ。風神対そよ風の神だよ? みたいに決まってる」
「そうだな」
試合が始まる。
強い――風神の祝福を持つ人間は少ない。
体内に台風を作りながら戦う、上級者向けの力だ。
「あっぶね!」
一撃、喰らいそうになる。
風神は使いこなした時のバフが強い。
この前戦った奴とは、台風の練り方も違う。
だがこちらも負けてはいない。
台風の力を乗せた蹴りを叩き込み、相手を吹き飛ばす。
防御面は、祝福での影響は無い――つまり、互いに素の防御力勝負だ。
「勝ちましたね!」
見物人のざわめきが大きくなる。
「けど? 向こうも同じことすれば良いんじゃないんですか?」
「戦いながらだからな。向こうは分業が出来ない。どっちか選べって話なら、常時バフが乗る方が安定して強い。使う奴はいない」
「ふーん……そうなんですね」
「けど勝ちは勝ちだ。やったな」
「風神様に勝っちゃったー!」
「だから違うって」




