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そよ風の神  作者: ルイ
12/32

昇進

「引っ越し?」

「あぁ……家賃高い所に引っ越す」

一瞬、言葉が止まる。

「え? そんなお金あるんですか?」

「この前の試合な、見物人多いんだわ」

何でもないことみたいに肩をすくめる。

「そよ風の神と契約した奴が、オオクニヌシの祝福を受けた中で最強に勝った。要するに昇進って訳だ」

「いいですね!!」

弾んだ声に、少しだけ口角が上がる。

「スサノオノミコトの討伐隊だがな」

「……え?」

「戦わねぇよ。そんな直ぐにはな」

言い切るようでいて、どこか現実的だ。

「降臨して来るのがいつかは分からない。数年前は撃退が精一杯だったらしい。神の時間感覚はバグってるからな。次いつ来るかも分からん」

「良かったぁ……」

胸を撫で下ろす。

「あぁ……その前に、昇進したんだ。やる事がある」

「何ですか? お祝いですか?」

「頭お花畑かよ」

「うぅ……じゃぁなんですか」

一拍。

「イザナミノミコトを殺す」

「はぁ!!! 出来る訳無いじゃ無いですか」

反射的に叫ぶ。

「やるんだよ」

声音は低く、冗談の余地は無い。

「被害は少ないが、殺害対象になってる筈だ。希望を出せば優遇して捜査に参加させて貰える。……そんだけの働きを、俺達はした」

「うぅ……」

「今更遅いからな」

視線を向ける。

「それに、お前かなり力増してるだろ?」

「……あれ? 本当だ? なんで?」

「そよ風の神がオオクニヌシに勝った様なもんだ」

即座に付け足す。

「全ッ然違うけどな」

それでも。

「だが、それがかなり噂になってる。警察内限定だがな。それが力になってる」

「やったー!」

「信仰じゃねぇ」

即座に切り捨てる。

「知られてる、しかも本人を、ってのがデカい」

少し間を置いて。

「……お祝いはしてやるよ。ナツ、何が良い」

「回らないお寿司ーー!」

即答。

「お前が信仰されない理由が分かったよ」

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