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ただ一人の為に  作者: 輝久実


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メテオ・ティアの新人

今年、メイジは魔術師として正式にギルドに登録し、柊平と同じ『メテオ・ティア』の一員として活動することが決まりました。


「シュウ兄、私も今日から仲間だね!……ねえ、私もシュウ兄みたいに、攻撃も回復も全部できるオールラウンダーになりたい。教えてくれるでしょ?」


しかし、柊平の返答は冷たいものでした。


「だめだ。メイジ、お前にオールラウンダーは向いてない」


「どうして!? 真琴さんにはあんなに熱心に教えてたじゃない! 私の方がずっとシュウ兄の近くにいるのに!」


メイジは頬を膨らませて猛抗議します。しかし、柊平が教えないのには理由がありました。


メイジは、亡き師匠ガルドスの血を継ぐ、圧倒的な「特化型」の天才だったからです。下手に器用貧乏な技術を覚えさせるより、その強大な魔力を一点に集中させる方が、彼女の命を守ることに繋がると柊平は考えていたのです。


「真琴さんは、もともと『調整』の才能があったんだ。お前は違う。お前は、俺が守りきれない時に、敵を木っ端微塵にする役割だ」


「そんなの、ただの言い訳よ! シュウ兄のケチ! 意地悪!」


納得のいかないメイジは、ぷいっと横を向いてしまいます。


柊平は、レイルズと真琴が結ばれたことを知り、清々しい気持ちで自分の生活に戻っていました。


「あーあ、俺もそろそろ本気でパートナー探さないとなあ……」


独り言をつぶやく柊平の背中を、メイジが鋭い視線で見つめています。


「パートナーなら、もう目の前にいるじゃない……バカシュウ兄」


柊平はモテるがゆえに、身近にあるメイジの巨大な感情に気づかない(あるいは気づかないふりをしている)。


ロアンから


「お前、真琴さんのことより、後ろの銀髪のお嬢さんをどうにかしてやれよ」


と呆れられながら、柊平の「不器用な父親代わり」の日々は続いていくのでした。

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