光るアイスクリーム屋さん
子供向けの童話です
とある街に、ふわふわと雪の降る日。
ゆうくんとちぃちゃんは、白い息を吐きながら歩いていました。
「今日は雪合戦しようね!」
「うんっ!」
ところが、公園の前に見たことのないお店がありました。
雪のテントに、きらきら光るつららのかざり。
その真ん中に立っていたのは、にっこり笑うおじさんです。
「いらっしゃい。ここは ひかるアイスクリームやさん だよ。」
「こんな寒い日にアイス!?」
ふたりは顔を見合わせました。
しかもお店が広がっていて、雪合戦をする場所がありません。
「ここで遊ぶつもりだったのに!」
思わず文句が出てしまいました。
けれどおじさんはにこにこして、
きらめくコーンをふたつ差し出しました。
「じゃあ、おわびに特別なアイスをあげよう。
これはね、願いが叶うアイスクリームなんだ。」
ふたりの目は一気に輝きました。
寒さなんて、もうどうでもよくなっています。
「叶えたい願いを思い浮かべると、アイスが光るよ。
光がちょうどよくなったら、一口かじるといい。願いがひとつ叶うからね。」
ゆうくんは考えました。
「変身ベルトもいいし、縄跳びもほしいし……あ、自転車も!」
ちぃちゃんも考えました。
「かわいいお人形、ぬいぐるみ、新しいお洋服も……!」
すると、ふたりのアイスがぱあぁっと光り出しました。
目も開けられないほどまぶしくなります。
「眩しいよっ!」
「食べられないよ〜!」
おじさんはしゃがんで言いました。
「よくばりすぎると光が強すぎて食べられないんだよ。
ほんとうに欲しいものがひとつだけ見つからないとね。
さて、君たちの“ほんとうの願い”はなんだい?」
しばらくして──
ゆうくんが口を開きました。
「ぼくね、昨日お父さんと買い物に行ったんだ。
どうしてもほしいおもちゃがあって……わがまま言っちゃった。
そのせいで、お父さんがほしそうにしてたもの、買えなかったんだ。
……だから、ぼくはお父さんがほんとうにほしかったものがほしい。」
その瞬間、ゆうくんのアイスは
やわらかい金色の光に包まれました。
次に、ちぃちゃんが少しうつむいて言いました。
「……お母さんね、仕事がすごく忙しい日があってね。
夜帰ると、いつも“さむい〜”って笑ってるの。
そう言うけど、本当はすごく疲れてるみたいで……
だからわたし、お母さんをあったかくしてあげたいの。
手も首も冷たくならないように、あったかい手袋とマフラーがほしい。」
そのとたん、ちぃちゃんのアイスも
雪みたいに白くて温かい光でそっと包まれました。
「いい願いだね。」
おじさんは優しくほほえみました。
ふたりは光のちょうどいいところで、
そっとアイスをかじりました。
「……おいしい!!」
「うん!すっごくおいしい!」
「おじさん、ありがとう!」
そう言おうと振り返った瞬間──
そこには、もう誰もいませんでした。
テントもつららも、跡形もなく消えていたのです。
かわりに、雪の上に小さな包みがふたつ。
きれいなリボンで結ばれた、プレゼントの箱。
「……これって」
「きっと、願ったものだ!」
ゆうくんは、お父さんに渡すプレゼントを胸に抱え、
ちぃちゃんは、お母さんをあったかくする
手袋とマフラーの包みを大切に持ちました。
「ママとパパへの、クリスマスプレゼントだね!」
「うんっ!」
ふたりは笑顔で歩きだします。
とある街に、ふわふわと雪の降る、クリスマスの朝。
子どもたちの嬉しそうな声が、街中に響いています。




