93話:大切な人
暗い……
ここはどこ……?
私、何してたんだっけ……?
あ
思い出した……
私、梨花ちゃんと戦ってて……
それで、梨花ちゃんと戦いたくなくて、逃げようとして……
そしたら、サイモス様に……
そこから先が思い出せない……
サキュバスは辺りを見渡した。
暗い……
暗い……
何も見えない……
サキュバスは下を見た。
あれ……?
光が見える
あれは……
梨花ちゃんと、梨花ちゃんの大切な人……
なんで、あんなにボロボロで倒れてるの?
徐々に、2人の姿が近くなっていく。
2人の姿が近づいていくにつれて、メリーナの記憶が戻っていく。
ああ……
そうだ
あの後、私は、体を改造されて
でも、梨花ちゃん……ううん、もう誰とも戦いたくなくて
叫んで……
叫んで……
そうしたら、殺されて……
そして、宝石にされて……
ああ……
そっか
私、もう死んだんだ。
梨花ちゃんに最後まで、本当のことを言えずに……
サキュバスは魔神が、梨花とアリアに拳を振おうとしてるのを感じた。
やめて……
ねえ
やめてよ
これ以上、私から
大切なものを奪わないでよ
ねえ!
やめて!
サキュバスは、暗闇の中で必死にもがき、懇願した。
私の……
好きな人を……!
大切な人を!
殺さないでよ!!!
パキッ
パキパキッ……!
その瞬間、暗闇にヒビが入り
光が差した。
―――――――――――――――――――――――
「うっ……うぅ」
「あ……がっ……」
梨花とアリアは、目を覚ました。
「よお……依代さん」
ボロボロの魔神は、梨花とアリアを見ていった。
「メメントモリ……」
「起きたとこ悪ぃが、てめえらには死んでもらう!」
魔神は梨花とアリアに向かって拳を振るった。
「っ……!」
スッ……
魔神は戸惑った。
拳を振るうことができなかったからだ。
「なぜだ!!!なぜ!!!拳を振るえねえ!!!」
その瞬間……
バキッ
バギッ
パリンッ
魔神のブレスレットが粉々に砕けた。
「……!?」
魔神は前を見た。
目の前には、死んだはずのメリーナの姿があった。
「メリーナ!貴様ぁ!!!なぜ生きてる!!!」
シュルルルルル……!
「なに!?」
メリーナは、魔神を黒い荊で押さえつけた。
メリーナは梨花とアリアの方を向いた。
「梨花ちゃん!そして、金髪の子!今のうちに!」
「メリーナ!?」
梨花は目の前の光景が信じられなかった。
ただ、驚いている暇もなかった。
梨花とアリアは、最後の力を振り絞って剣を握り立った。
「くそがああああ!!!」
バギバギッ!
魔神が荊を引きちぎり出した!
「早く!」
「うおりゃあああああ!!!」
「やああああああああ!!!」
梨花とアリアは、剣に残りの全ての魔力を注いだ。
お互いの剣が光を放った。
「アリアさん!」
「梨花ちゃん!」
ダッ……!
梨花とアリアは、地面を蹴り、魔神に向かって剣を振った。
「エクリプス・ブレード!!!!!!!」
「ルミナス・カーネーション!!!!!!」
ザッシュ!!!!!!!!!
魔神の体に2人の剣が入った。
「があああああああ!!!!!おのれぇえええ!!!!!」
「「うおりゃああああああああ!!!!!!」
ザッッシュン……!
魔神の体は4つにわかれ、バラバラになった。
「なぜだ!!!なぜ!!!再生できん!!!!」
「メメントモリ……あなたの負けだよ。あなたの魔力は、もう底を突いた」
「メリーナぁぁぁ!!!!貴様!なぜ裏切ったぁあ!!!!!」
魔神は、砂になりかけている体で言った。
「裏切ったんじゃないよ。私の大切な人を守っただけ」
メリーナは魔神を哀れな目で見ながら言った。
「くそがあああああああああああ!!!!!!!!」
魔神は大声で叫んだ瞬間、砂となって消えた。




