83.5話:2人きりのクリスマス
大蛇……ディーファの件から、約1週間が経った。
イヴちゃんと、にゃも助は目覚める気配が全くなかった。
アリアさんは普段よりも元気がなく、私もなんて声をかけていいのかわからなかった。
そのため、普段騒がしいシェアハウスは、不気味なほど静かだった。
今、私は気分転換のために、ウェンター王国を歩き回っていた。
本当は、アリアさんと一緒に歩きたかったが、どうやらディーファの件の後始末で忙しいらしい。
「あ……そっか……。今日、クリスマスか……」
街のあちこちでは、クリスマスの飾り付けがされており、カップルや家族連れで賑わっていた。
「みんなと一緒に過ごしたかったな……」
私は少し俯きながら歩いた。
その時……
「あら……?あなたは確か……アリア様のお友達の梨花さん?」
横から声をかけられた。
「あ……ティアナさん……」
「お久しぶりです!最近、カフェに来られていないから、心配しましたよ」
「ええ……。最近は色々と忙しくて……」
「……?元気がなさそうですね……。なにか、ありました?」
「え……」
「良かったら、エンジェルでお話をお聞きしますよ」
「じゃあ……お願いします」
私はエンジェルに入った。
そういえば……
このカフェに来るのって、いつぶりだっけ……?
しばらく行ってなかったな……
カランカランッ
カフェの中には店員さんも、お客さんも誰もいなかった。
「その……今日、ほんとは定休日なのですが……、梨花さんの様子を見ていると、どうしてもお話ししたくって」
「そんな……申し訳ないです」
「いいんです!いいんです!謝らないでください。私のわがままなので」
私とティアナさんは、カウンター席に座った。
「その……なにがあったのか、教えていただいても……?」
「はい……」
私は、この数ヶ月間であったこと、そして、ディーファの件のことを話した。
「そんなことが……」
「それで……私、最近アリアさんとしっかり話せてないんです。どうしたらいいかわからなくって……」
私は震えた声で言った。
「その……私はメイドなので、的確なアドバイスはできないのですが……」
ティアナさんは続けて言った。
「アリア様もおそらく、梨花さんのことを気遣っているのだと思います」
「え……」
「お互いが気遣いあってるせいで、普段通りの会話ができていないのかなって……。だから、いつもみたいに接していれば、自然と元に戻るんじゃないかなって思います」
確かに……
言われてみれば、アリアさんのことを心配して、いつもみたいに話しかけられなかった。
それは、多分アリアさんも同じ……
「その……これ……」
ティアナさんはキッチンから箱を取り出した。
「これは……?」
「クリスマスケーキです。昨日まで販売していたのですが、一個だけ余っちゃいまして……。良かったら、こアリアさんと一緒に食べてください」
「そんな!いただけないですよ!」
「いえいえ!ぜひ受け取ってください!私、早く元気になったお二人のお顔をみたいので!」
「じゃあ……ありがたく……」
私はティアナさんからクリスマスケーキを貰った。
「ぜひ、またお店にいらしてください!」
「はい!」
「少数精鋭部隊の皆様の幸福をお祈りしてます」
「ありがとうございます!」
私は店を後にし、シェアハウスに戻った。
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「あ……梨花ちゃん……」
私がシェアハウスに戻った時には、アリアさんはすでにリビングにいた。
「アリアさん!一緒にクリスマスケーキ食べましょう!」
「え……?」
「ティアナさんから貰ったんです。ほら、今日クリスマスだし……」
「そうね!食べましょうか!」
アリアさんが笑顔で言った。
それから、私たちはクリスマスケーキを食べ終えた。
今まで食べたクリスマスケーキの中で1番美味しく感じた。
「その……梨花ちゃん?クリスマスプレゼント用意できてないの……だから……」
「……?」
「私が……プレゼントでもいい……?」
アリアさんは頬を赤らめながら言った。
「んっ……」
私はアリアさんに口付けした。
「んっ……梨花ちゃん……」
「アリアさん……」
それから私たちは、2人きりの聖夜を楽しんだ。




