73話:輝く猫
シャン……
ストッ……
淡く輝く猫は、大木のてっぺんから綺麗に着地した。
「なんニャ?猫の僕でも見たことない猫ニャ。お前はなんニャ?」
「…………」
輝く猫は何も答えないかった。
「ニャ……。そういえば、普通の猫は喋れないニャンね……」
「いや……。私は喋れるぞ……」
「ニャ!?!?」
なんニャ……こいつ!?
喋ったニャ!?
もしかして、こいつも……この世界に迷い込んだ猫ニャ……?
「ニャ……。お前も、この世界に迷い込んだニャ?」
「違う……。私は、元よりこの世界の者だ……」
「ニャ……?じゃあ、なんで喋れるニャ……?」
「私は、猫ではない……。そして、生物でもない……」
「ニャ……?」
わけがわからないニャ……
猫の見た目をしているのに猫じゃない……
しかも、生き物でもないって、どういうことニャ?
「ふふふ……。私がどんな存在かわからなくて困惑しているな……」
「そりゃ困惑するニャ!」
「まあ、そうだろうな……。私は魔力の存在……」
魔力の存在ニャ……?
天使ってことかニャ?
「ニャ……?お前は天使ニャ?」
「天使ではない……。私は霊獣だ……」
「霊獣ニャ?」
「ああ……。霊獣というのはな……」
霊獣というのは、魔力の存在……
天使とは違い、人などを依代としなくとも力を発揮することができる。ただし、年月が経つにつれ、体から魔力が抜け出し、力がどんどん弱まっていくという代償がある。
「なるほどニャ。ただ……なんで、僕にこんなことを話すのニャ?」
「それはな……。私が君を必要としているからだよ」
「ニャ……?僕をニャ?」
「ああ、私が君をここまで連れてきた」
「あの白い玉の正体は、お前だったのかニャ!」
「正確には私の魔力だ……。そして、私は君を監視していた」
「ニャ……!?いつからニャ!?」
「人々は気づいていないが、魔力は常に宙を漂っている。私は、自由自在に魔力を操れるからな。魔力を通じて君を監視していた」
「ニャ……」
「それで、私は君の魔力の大きさに感服した。そこで、頼みがある」
「なんニャ……?それは……」
霊獣は少し間を置いて告げた。
「君を私の依代にしたい……」
「ニャ?なんでニャ!お前は依代がなくても、力を発揮できるんじゃニャいのか?」
「その通りだ。ただ、私はもう残りの魔力が少ない。このままでは消えてしまうだろう……。そこで、君を依代にして、私は生き続けたいのだ……」
「ニャ!そんなの嫌ニャ!僕が乗っ取られるのなんかごめんニャ!」
「安心して欲しい。君の自我はそのままだ……。しかも、これは君の魔力を高めることもできる」
「ニャ……?」
「君が私を召喚しない限りは、君に何も迷惑はかからない……」
「信用していいのかニャ?」
「ああ……」
「うーん……。ニャ!じゃあ、わかったニャ!僕と勝負しろニャ!」
「なぜだ?なぜ勝負をする必要がある……?」
「お前が本当にすごいやつなのか、確かめたいニャ!」
「いいだろう……。では、私は久々に実体を作るとするか……」
シャァァァァァァァン……
霊獣がより一層輝き始めた!
「ニャ……!?すごい魔力の圧ニャ!!!!!」
フゥゥゥゥン……
にゃも助の目の前には、白色に輝くライオンがいた。
「我が名は、霊獣バルファリア!!!にゃも助!いざ勝負!!!」
「ニャ!!!!」
にゃも助と、霊獣は向かい合った。




