72話:にゃも助のお使い
サンドーラ王国から帰国して2週間は経ったある日……
にゃも助は、鞄を背負いウェンター王国を練り歩いていた。
「ニャ……。次は、クッキー……ニャ?」
にゃも助は心の中でこう叫んだ
「にゃあああ!!!!イライラするニャ!なんで、僕が梨花の代わりに買い物をしてるんだニャ!!!」
そう……
にゃも助は今、梨花のパシリをされているわけである!
時が遡ること4時間前……
「にゃも助!今日、暇?」
「暇ニャ。梨花、どうかしたのかニャ?」
「良かった!アリアさんと、イヴちゃんと一緒に3人でデートしてくるから、お使い頼める?」
「お使いニャ?」
「うん!この紙に書いてあるやつ買ってきて!」
「ニャ!?猫1匹に任せるには量が多すぎるニャ!」
「大丈夫、大丈夫!にゃも助ならいける!じゃあ、私は出かけてくるね!」
「梨花、待つニャ!僕はまだ引き受けるって言ってないニャ!」
にゃも助がそう言った時、梨花は逃げるようにシェアハウスを出ていった。
「ニャ……。やるしかニャいか……」
ということで、今に至る。
「ううう……。最初から、はっきり断れば良かったニャ……」
にゃも助はクッキー屋にトボトボと歩いて向かった。
その時……
「あ!猫ちゃんだ!」
にゃも助を指さして、小さい女の子が言った。
「ニャ?」
「かわいい〜!」
「嬉しいニャ!」
「わ!喋れるんだ!」
「ニャ!」
「触ってもいい?」
「いいニャ!」
「もちもちしてる!かわいい〜!」
「ニャ!嬉しいニャ!」
ニャ〜
梨花にもちもちされるのは嫌だけど、他の人にもちもちされるのは嬉しいニャ!
「じゃあね!猫ちゃん!」
「またニャ!」
女の子は去っていった。
「ニャ……。クッキー屋さんに向かわないとニャ……」
めんどくさいニャ〜
ん……?
なんニャ?あれ?
にゃも助は空中に浮いている、白い玉みたいなものを見つけた。
ふわふわ〜
白い玉は、ゆっくり浮遊して、道の角を曲がった。
「ついていってみるニャ!」
にゃも助は白い玉を追いかけた。
ふわふわ〜
「待つニャ!」
ふわふわ〜
「はあ…!はあ…!どこまで行くニャ!」
ふわふわ〜
ピタッ…
白い玉が急に止まった。
「ニャ……?どこニャ?ここ?」
にゃも助は暗い森の中にいた。
そこは、東の森、西の森とは違った雰囲気で、初めて入った森だった。
「ウェンター王国の近くに、こんな森あったかニャ……?」
ふわふわ〜
白い玉はまた空中を浮遊して、動き出した。
「待つニャ!」
ふわふわ〜
ピタッ……
白い玉は、輝く大木の前で止まった。
「なんニャ?この木……不思議な感覚がするニャ……」
にゃも助は大木をじっくり見た。
「ニャ!?あれは……猫ニャ?」
大木のてっぺんには、淡く輝く半透明の猫がいた。




