70話:階級
4日後……
私たちは完全に回復し、ルイアさんの病院を退院した。
そして、私たちが病院を出ると、アリス女王の執事が待っていた。
「ご退院おめでとうございます。女王様が、ご退院したら私のところに来て欲しいと言っておりました。ぜひ、お越しになってください」
「わかりました!今から向かいます!」
私たちは城に向かった。
城に向かっている途中にアリアさんが聞いてきた。
「ねえ、梨花ちゃん。今回はエリファリアの力を、自分自身の物にできたって聞いたけど……本当?」
「うーん……。完璧には自分自身の物に、できていないんです。だって、今回変身したことで、背中に炎を象ったアザが新しくできちゃったし……」
「どんどん天使に近づいていっちゃってるってことね……」
「はい……。やっぱり、エリファリアの力を完全に制御するのは無理なのかもしれないです……」
「しかし、一つ引っかかることがあります」
イヴちゃんが言った。
「それって……?」
「私が天使に変身しても、アザとか体の違和感というのが出ないのです……」
「確かに……」
「それに、アリア様に限っては、不可抗力で死神になってしまった。それなのに、アリア様にも薔薇の字みたいなものができた」
「そうね……」
なんで、イヴちゃんだけ出ないんだろう……
もしかして、消費魔力の違い?
「そこで、私は考えました」
イヴちゃんが言った。
「何を考えたの?」
「おそらく、天使などの存在には階級があります」
「階級?」
「はい。魔力の天使、マリネファスはエリファリアよりも弱い。つまり、エリファリアよりも階級が下です」
「じゃあ、死神は……?」
アリアさんが言った。
「それがわからないんです。死神は天使じゃないし……」
死神……
その時、私は、何故か存在しない記憶が頭の中に出てきた。
「光の天使……エバーリファ……」
「梨花ちゃん、それって……?」
アリアさんが聞いてきた。
「わかんないです……。今急に、頭の中に出てきたって感じで……」
「もしかすると、それはエリファリアの記憶が、梨花さんの記憶に混ざっているのかもしれません。それに、死神が光の天使だと仮定すると、アリア様の症状や天使の階級にも合点が行きます」
「エリファリアの記憶が、私の記憶に混ざっている……?」
それだけエリファリアに近づいてきているってこと……?
じゃあ、次変身したら、本当に飲み込まれてしまうかもしれない……。
なんとしても次の戦いは私の力だけでどうにかしなければ……。
「とりあえず、今は考えていても何も始まりません。私たちにできることは、天使の力を使わずに戦闘をすることだけです……」
イヴちゃんが言った。
「そうだね……」
ただ、天使の力を使わずに、これからも出てくるであろう強敵に勝てるのだろうか……?
不安だ……
そんな風に思っていたら、いつの間にか城についていた。




