60話:魔法の母
「魔法の母?」
私はイヴちゃんに聞いた。
「はい……。リンポス家は魔法の母、アリーネ・リンポスの後継者一族です。この世界でリンポスという名がつくのは、この家系しかいません。なぜ、魔法の母と言われているのかと言うと……」
「魔法の第一発見者だから……」
アルカちゃんが言った。
「魔法の第一発見者って……」
「そのままの意味です。1000年前、この世界で初めて魔法を見つけた者。この者のおかげで、今の世界の発展があると言っても過言ではありません」
そんなすごい一族の子だったなんて…。
「ですが……。リンポス家は滅んだと歴史書や魔法の本に書かれていました。なのに……なぜリンポス家が、まだいるのですか?」
イヴちゃんは、アルカちゃんに聞いた。
「私もこの話はお姉ちゃんに聞いたことだから、詳しくは知らない。ただ……私たち生き残りは逃げてきたらしいんだ」
「逃げてきた?」
私は聞いた。
「うん。リンポス家は魔法の始祖。だから、リンポス家しか知らない魔法の秘密もある。でも……その秘密を知ろうと、魔族が私たちを拷問したらしいんだ。私とお姉ちゃんは、命からがら逃げてきたらしい。まあ……私はその時、赤ちゃんだったから、覚えてないけど……」
「その魔族って……」
「うん。フェブラス……。おそらく……最近、人攫いが増えているのは、私たちリンポス家を探しているのかもしれない」
「じゃあ、なんで若い女の人限定なの?」
「それは、リンポス家の最初の子供は女って決まっているからなんだ」
「なるほど……。このことはザンドーラ女王は知っているの?」
「わからない……。でも、私たちリンポス家の生き残りが、この国にいることは当然知ってるよ。それで、私たちは、この国で保護させてもらっているんだ」
「そっか……」
リンポス家しか知らない魔法って、なんなのだろう…
もしかして、とんでもない攻撃魔法なのかな?
あ、そうだ。
一つ気になったことがあったんだ。
「ねえ、私、アルカちゃんと今まで一回会ったことある?」
「え……、ぶつかった時ぐらいかな?」
「やっぱ、そっか……」
でも、ぶつかる前に、私はアルカちゃんに一回会っていた気がする。
気のせいかな……?
その時……
「ほう……リンポス家か……」
後ろから野太い声がした。
っっっっっ……!
気づいたら、先程まで一緒にいたアルカちゃんが居なくなっていた。
「俺の名はベギスター!ウェンター王国の使者達よ!俺を捕まえて、殺してみろ!さもないと……こいつの命はないぞ」
こいつがベギスター……
確かに、トカゲを人にした様な怪物だ……
デカい……
「ベギスター!!!アルカちゃんを返せ!」
「返してほしければ、俺の住処を探して、俺を殺し奪いに来い!もっとも無理だと思うがな!!!」
ベギスターは笑いながら砂漠の方に向かっていった。
「させるか!!!エクリプス・ブレード!!!!」
私はベギスターに飛びかかろうとした!
は……?
いない……
どこにいったの……?
ドゴォォォォォォォォン!
剣に当たったのは、硬い地面だけだった。




