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58話:異国デート

王室を出た後、私たちはサンドーラ王国を歩き回っていた。


「ウェンター王国と全然違った雰囲気で楽しいですね!」

「そうね。色々な店があるし、ウェンター王国よりも活気がある!」

アリアさんが言った。


「それと……」

「それと?」

「かわいい女の子が多い!」


これは……

浮気か?


「浮気ですか?」

「違うよ!私が好きなのは梨花ちゃんだけだよ」

「む……。梨花さん……私も梨花さんのこと好きですよ。」

「イヴ!梨花ちゃんのことを1番愛してるのは私なの!」

「私の方がアリア様より愛しています!」

「いいや!私の方が!」

「いいえ!私の方が!」

「ニャ……。梨花……また始まったニャ……」

「うん……」

「どうするニャ……?」

「とりあえず……」


私は2人に、こう提案することにした。


「じゃあ、異国デートして気持ちを落ち着かせよ!」

「異国デートですか……?」

イヴちゃんが聞いてきた。

「うん!ウェンター王国とは違う雰囲気でデートをするの!いつものデートよりも新鮮でしょ?」

「確かにそうですね……」

「そうだね……。じゃあ決まり!」


ふぅ……

この場は丸く治ってよかった!


「では、どこに行きましょうか……?」

「あ!あそことか、どう?」


アリアさんは、いかにも怪しい匂いがする店を指して言った。


「えっと……?アリアさん……本当にここに入るつもりですか……?」

「うん!なんか面白そうだし!」

私たちは明らかに怪しい雰囲気の店に入った….


「ごめんくださーい!」

「ウェンター王国の使者達よ……。よくぞ来た……。もとより、汝らがここに来るのは、わかりきっていたことだが……」


店の真ん中には水晶を撫でている老婆が居た。

この人……

私たちのことを知っている……?

もしかして、監視官(モニター)……?


「あの!あなたは監視官(モニター)ですか……?」

監視官(モニター)……?そんなものは知らぬ……。わしは占い師……。名は……エリと呼んでくれ……」

エリと名乗った老婆は、私に手招きをした。


「そこの黒髪のおなご……。こちらに……」

私は席に座らされた。

「異国の使者ということで特別に無料で占おう……。この水晶に手を置いて、魔力を込めてくれ……」

私は言われた通りにした。

「…………。なるほど……。汝は満月を打ち砕くだろう……。」

「と、言いますと……?」

「その時が来たらわかる……。次、そこの金髪のおなご……こちらへ……」

「私ですか?ぜひ!」

アリアさんは私と同じことをした。


「汝は……っ!ほう……。汝は、今を全てだと思い、後悔するだろう……」

「それは……どういうことですか……?」

「それもその時だ……。次、そこの可憐なおなご……」

「は、はい……」

イヴちゃんも私たちと同じことをした。


「汝は……思いが故に叶わぬだろう……。」

「それは、やはりその時にしかわかりませんか?」

「ああ……。次、そこの猫……」

「ニャ!」

にゃも助も同じように……


「汝は……霊を魂と変えるだろう……。」

「ニャ……?よくわかんないニャ……」

「いずれわかる……。汝達よ……時を待て。きっとうまくいく」


そうなのかな……?

今の占いの内容的に、うまくいくような気がしないけど……


私たちは老婆にお礼をし、外に出た。

外はすっかり夜になっていた。


「いつのまにか、こんな時間ですね……」

「そうだね……」

「アリアさん……?何か元気がないようですけど……」

「うん……。ちょっと占いの結果が気になってね……」

「大丈夫ですよ。占いですから!当たらないかもしれないし!」

「まあ、そうだけど……」

そうこう歩いていたら……


ガサッ…!

物陰から音が聞こえた……

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