57話:ギャル女王
「女王様、ウェンター王国の者たちがいらっしゃいました」
「おけ!入れていいよ!」
執事が王室のドアを開けた。
「やっぴー!!ウェンター王国の少数精鋭部隊!!あたしは、サンドーラ王国7代目女王のアリス・サンドーラ!アリスって呼んで!」
王室の真ん中には、いかにもギャルって感じの格好をした、女の人が椅子に座っていた。
なんか女王がギャルって新鮮だな……
「ウェンター王国少数精鋭のアリアです!アリスさん、よろしくお願いします!」
「イヴです。よろしくお願いします」
「にゃも助ニャ!よろしくニャ!」
「梨花です!よろしくお願いします!」
「アリアちゃんに、イヴちゃんに、梨花ちゃん、にゃも助くんね!よろ!噂には聞いてたけど、にゃも助くんって本当に喋れるんだね!」
「ニャ!」
「ちょっと撫でてもいい?」
「いいニャ!」
「もちもち……もちもちもち!もちもちで、かわいいね!」
「嬉しいニャ!」
にゃも助のやつ……
私にもちもちされたら嫌がるくせに……
「それで、アリスさん……人攫いの件について詳しく教えてくれませんか?」
「もちろん!んっとね〜……1ヶ月くらい前かな?なんか、急に人がいなくなって!その時は、ただの家出とか迷子とか、だと思ったんだけど……その日を境に2日に一回、若い女の人が連れ去られるんだよね」
「なるほど……」
「それで、あたしの国のトップの部隊が、犯人を捕まえようと必死に頑張ってくれたんだけど……結局、犯人の名前以外何もわからなかったんだ」
「なぜ名前は、わかったのですか?」
イヴちゃんが聞いた。
「そいつ、トップの部隊が砂漠まで追い詰めた時にデカい声でこう言ったんだって。〈俺の名はベギスター!!!フェブラスの幹部だ!!!!〉って」
「ベギスター……聞いたことがあります」
イヴちゃんが言った。
「え!ほんと!」
「はい。ベギスターはデカいトカゲの様な怪物だと言われています。ただ、人を攫うのは初めて知りました」
「デカいトカゲってのは、部隊も言ってた!それ以外に何かわかることってありそう?」
「すみません。私もフェブラス報告書で読んだだけなので……それ以外はわかりません」
「フェブラス報告書?」
私はイヴちゃんに聞いた。
「はい。過去のフェブラスの動きや構成が書かれている本みたいなものです」
「そんな便利なものがあったの!?」
「ええ。ただ、これには一つ欠点があって……書いてある情報は過去のものです。今のフェブラスとは違ったり齟齬があったりします。だから、この本を所有する国と人は少ないんです」
「なるほど……」
「まあ、またベギスターが出てくるまで、あたしの国でくつろいでいって!!」
「ありがとうございます!」
私たちは王室を後にした。




