56話:サンドーラ王国
「おぇぇぇぇぇぇぇえええ……」
私は馬車の窓から外に向かって吐いた。
デジャブ……
私の三半規管……弱すぎない……?
「梨花ちゃん……大丈夫?」
「アリアさん……。アブノーマル・ヒールを……お願いします……」
「任せて!アブノーマル・ヒール!」
私はスッキリした。
「馬車酔いなんてあるんですね……」
「まあ、馬車は結構揺れるもんね」
「そういえば……にゃも助って、最近どんな魔法の練習をしてるの?」
私は、にゃも助に聞いた。
「魔法を何発も連続で撃てるように、魔力の練習をしてるニャ!」
「底上げの練習?」
「ニャ!魔法を何回も放つことによって、自分の中の魔力がどんどん上がっていくニャ!筋トレみたいなものニャ!」
「なるほど……」
確かに……私も魔力を使う技を何回も練習するうちに、ほぼなかった魔力が、どんどん出てきたし……
にゃも助が言ったみたいに、筋トレみたいなものってのは、だいぶ納得できる……
「でも、同じ日に無理して何回も魔法を撃ってもダメニャ!」
「それはなんで?」
「筋トレと同じく、筋肉痛じゃないくて魔力痛ってのになるニャ!」
「魔力痛?」
「ニャ!主な症状としては頭痛が起きるニャ!頭痛がしてる日は魔力を使うのを抑えなきゃ、もっと頭痛が酷くなるニャ!」
「へぇ〜……」
「梨花とイヴちゃんが、天使に変身した時に、いつも気絶しちゃうのは、魔力痛のせいだと思ってるニャ!」
言われてみれば……
死神との戦いの後、体全体がとてつもなく痛かったし……
それに頭痛もした。
あれって魔力痛ってやつだったんだ……
2時間後……
「みなさん、そろそろ着きますよ!」
イヴちゃんが言った。
私は馬車の窓から外を覗いた。
そこには広大な砂漠の真ん中に王国が築かれていた。
「とーちゃく!」
私たちはアリアさんに続いて馬車を降りた。
「ここが……サンドーラ王国……!」
すごい……!
建物の構造とか、街の雰囲気とかウェンター王国とは全然違う!
建物は全てレンガと粘土で作られていて、道には露店がたくさん並んでいる!
異世界の異世界って感じがして、なんか新鮮だなぁ〜!
そう感じていた時……
ドンッ……!
私は女の子とぶつかった。
「ごめんね!大丈夫?」
私は女の子に謝った。
「っ……!」
女の子はそそくさと逃げていった。
「待て!!!コソ泥!!!」
女の子の後を追って、おじさんが走ってきた。
あの子……
どこかで見たことあるような……
そんなことを考えていた時……
スーツみたいな服を着ている、おじいちゃんがこちらに来た。
「お待ちしておりました。ウェンター王国の少数精鋭部隊の皆様。私は7代目サンドーラ女王の執事です。女王様がお呼びです。私についてきてください」
私たちは執事さんと一緒に、サンドーラ女王のところに向かった。
どんな人なんだろう……
茜音さんみたいに威厳があるタイプかな?
会うの楽しみだな〜!




