55話:救援要請
壊れた王国の件から2週間後……
私たち少数精鋭部隊は、また王室に呼ばれていた。
「すまない……お前たちには、また遠征してもらいたい」
「今度は何があったのですか?」
アリアさんが聞いた。
「隣国のサンドーラ王国から救援要請が届いた」
「救援要請?」
私は茜音さんに尋ねた。
「ああ。しかも今回はフェブラス絡みらしい」
フェブラス……
最近おとなしいと思ったら、他国で暴れていたのか……
「その、サンドーラ王国?で何が起きたのですか?」
「フェブラスの幹部の1人がサンドーラ王国の人間を次々に攫っていっているらしい。目的はわからないそうだ……」
「なるほど……」
「それで、サンドーラ王国は国力をあげて、その幹部を倒そうとしているらしいのだが……どうも姿が消えるらしいのだ」
「姿が消える……?」
「ああ。素早い動きで人を攫い、そのまま砂漠に向かって走り出す。砂漠まで部隊が追いかけても、いつの間にか姿が消えているらしい……」
「サンドーラ王国の兵隊だけでは捕まえるのが厳しいから、協力をしてほしいということですか?」
イヴちゃんが聞いた。
「そういうことだ。救援要請を引き受けてくれるか?」
「わかりました。お任せください!」
アリアさんが言った。
確かに、これでフェブラスの幹部を倒せれば、フェブラスの力を下げることができる……
でも心配なことが一つある……
それは移動方法……
また船だったら嫌だな〜
「あの……サンドーラ王国まで、ここからどのくらいかかりますか?」
私は茜音さんに聞いた。
「そうだな……馬車で3時間か……?」
お!
今回は割と近い!
しかも、船酔いの心配もないし……
移動の心配がないのはデカい!
「では、明日までに準備を済ませておいてくれ」
「はい!」
私たちは王室を後にした。
シェアハウスに戻り、私と、にゃも助はアリアさんに、サンドーラ王国について聞いた。
「サンドーラ王国って、どんなところなんですか?」
「うーんとね、砂漠の真ん中にポツンとある王国だよ。でも、気温はそこまで高くないから、長袖でも過ごせるよ」
「なるほど……他に何か知っておいた方がいいことってありますか?」
「後は……あ!夜は気をつけた方がいいってことかな?」
「それは……なんでニャ?」
にゃも助が聞いた。
「なんでも、お化けが出るって噂らしいよ……」
「お化け……?」
「夜中、王国の暗ーい路地裏を歩いていると……後ろから、物音が聞こえてきて……振り返ったら……」
ゴクッ……
私は固唾を飲み込んだ……
「足のない、変な仮面をつけた女の人がそこに立ってるらしんだよね…………」
「それは…なかなか怖いですね……」
「でも噂らしいけどね!そんなの居ないって!」
アリアさんは茶化すように言った。
「さ!梨花ちゃん、にゃも助くん!明日の準備しよ!」
私たちは遠征の準備をした。




