54話:鉱石の使い道
2日後……
私が普通に生活できるようになったので、壊れた王国を離れるための準備をしていた。
「これで、よし!」
私たちは荷造りをしていた。
その時……
「ミレアさん。これが約束の鉱石だ!」
アルファさんはそういい、台車を押してきた。
「おお!これが、あの鉱石か……!」
台車の中には琥珀色に輝く石が大量にあった。
「とりあえず、これで2kgだ。まだ必要だったら採ってくるが……どうだ?」
「いや、これで十分だ。ありがとう」
ミレアさんはアルファさんから台車を受け取った。
「あの、アルファさん。この鉱石って壊れた王国でしか採取できないのですか?」
「ああ。この鉱石は知っているかもしれないが、王国の地下深くにあるもので、とてつもない魔力を秘めている。昔、この王国は鉱石で稼いだ金で発展していた。ただ、その金で争いが起きてな。国が滅びてしまったんだ」
「なるほど……」
「すまない、さっきのは余計な話だったな。忘れてくれ」
「いえ……」
「梨花ちゃんたちは今日ここを去るんだよな?」
「はい」
「そうか……。この世界の危機の原因がわかったら、梨花ちゃんに手紙を送る。それと、梨花ちゃんの方でも何かわかったことがあれば、ここに伝書鳩で手紙を送ってくれ」
「はい!」
「一緒に世界を救おう!」
「頑張りましょう!」
私たちは港に戻り、荷物と鉱石を船に乗せた。
「アルファさん……長い間、お世話になりました!」
「こちらこそだ。この王国を救ってくれて、ありがとう。またいつでも遊びに来てくれ」
「はい!」
私たちは船に乗り、港を出た。
「今回も大変だったけど……楽しかったわね」
アリアさんが言った。
「そうですね!翠碧っていう武術も教えてもらえましたし……私、もっと強くなれた気がします!」
「そうね。明日、一連のことを女王様に報告しましょ!」
「はい!」
「それと……先生?結局、鉱石は何に使うつもりなの?」
「ん……?ああ、これは私が今行っている研究と実験に使うんだ」
「どんな研究なんですか?」
私は聞いた。
「それはな……この鉱石を使って、武器に魔力を付与したいんだ」
「魔力を付与?」
「ああ、武器に魔力を付与することができれば、自分自身の魔力を使わずに、武器だけの魔力で戦闘ができるのではないかと思ってな。そうすれば、戦闘中に魔力切れになるのも防げる」
「なるほど……それは確かに画期的ですね!」
「ただ、これには莫大な研究時間が必要だから、すぐには実用できないとは思うが……。まあ、頑張って早く実用化できるようにしたいな」
すごい……
確かに、これが実用化できれば、戦闘が一気に楽になる……
これは画期的なアイデアだな……
そうこう考えていたら……
トントンッ……
後ろから肩を叩かれた。
「梨花さん……今日は……アリア様に内緒で私と、久しぶりにどうですか……?」
イヴちゃんが耳元で囁いてきた。
「いいよ」
「じゃあ……夜待ってますね……」
夕方、私たちはウェンター王国に無事に戻り、アリアさんと、にゃも助が疲れきって寝ている中……私とイヴちゃんは一緒に過ごした。




