53話:不思議な感覚
コンコンッ…
「梨花ちゃん。入るわよ」
アリアさんとイヴちゃんが入ってきた。
「アリアさん!イヴちゃん!良かった……!無事で……!」
「梨花さんこそ無事で良かったです……!」
「梨花ちゃん……ごめんね。私が油断したせいで……死神に体を乗っ取られちゃった……」
「アリアさんが謝ることじゃないですよ!死神はアリアさんの体から出たようで、本当に良かったです!」
「あ……その件なんだけど……。その、これ見て」
アリアさんは私に右腕を見せてきた。
「これは……。何かの印……?」
そこには、黒い薔薇のような花の印があった。
「そう。目が覚めたら突然、右腕に刻まれていたの」
「そして……アルファさんは、これは死神による物だと考えました」
イヴちゃんが言った。
「それは……なんで……?」
「梨花さん……あなたの爪も今はオレンジ色になってますよね……?」
「うん……」
「それと、同じくアリア様も死神に飲まれ始めているのだと考えました」
え……?
なんで……?
にゃも助が、アブノーマル・ヒールで追い出したはずじゃ……
「なんで……?にゃも助が、アリアさんの死神を追い出したはずじゃないの!?」
「どうやら、完璧には追い出せてないみたい。でも……あの時とは違って今は私の自我がはっきりしてるし、体にも異常はない。だから、とりあえずは大丈夫だと思う」
「ですが、死神がまたアリア様を飲み込む可能性も否定はできません。なので、どうにかして完全に死神を消す方法を考えなければならないのです……」
「確かに……」
死神……
あいつは、なんでアリアさんに取り憑くことができたのだろう……?
単なる、アリアさんの油断だとは思えないし……
ちょっと待てよ……?
何かがおかしい……
なぜ、エリファリアは、死神をアブノーマル・ヒールで追い出せるって知っていたのだろう……?
同じ魔力の存在だから……?
「ねえ……イヴちゃん。アブノーマル・ヒールって、魔力の存在を外に追い出すのにも使えたの……?」
「それが、私にもわからないんです。魔法は謎が多い物なので……」
「そっか……」
そういえば……
アブノーマル・ヒールって何属性の魔法なんだ?
「イヴちゃん。アブノーマル・ヒールって何属性の魔法?」
「え……状態異常の回復を促進する治癒魔法なので土属性です。」
土属性魔法……
でも、無属性以外の魔法は有機物にしか作用しないはず……
「イヴちゃん……魔力って有機物なの……?」
「え……?それはわからないです……」
「そっか……」
魔法……
今更だけど、奥が深すぎる……。
「とりあえず、今後の予定について教えるね」
アリアさんが言った。
「梨花ちゃんの調子が戻るまでは、壊れた王国に滞在し続ける。調子が戻ったら、ウェンター王国に帰るって感じだけど……それで大丈夫?」
「はい!」
「じゃあ、私たちは自分の部屋に戻るから、また明日!」
そういい、2人は部屋を後にした。
うーん……
やっぱり、何かが引っ掛かるなぁ〜
なんだろう……?
なんか不思議な感覚……
私は、そう考えているうちに眠りについていた。
【プログラムエラー/C-998進捗率45%……梨花の疑心を検知】
【原因:エリファリアによる、防衛本能】
【解決策:エリファリアの削除】
【削除実行中……】
【結果:失敗……】
【原因:不明】
【不正侵入ログ:梨花を守れ。そして、殺せ。世界を救うために……】
【プログラム修復中……】
【修復完了……プログラム再開】
【全てはC-0のために……】




