52話:制御したい!
あれから4時間後…
コンコンッ…
ガチャ
「梨花ちゃん…やっと目覚めたか。」
アルファさんが部屋に入ってきた。
「アルファさん…無事だったんですね!」
「ああ、にゃも助くんの治癒魔法のおかげだ。それで、天使の力を制御したいとの話だったな。」
「はい…。このままじゃ、私、完全に天使になってしまうらしくて…」
「なるほどな…。結論を言おう。天使の力を完全に制御する方法はない。」
「そんな……」
「今回の件でわかったのだが、天使は自分の依代が死にかけると、勝手に変身をし、依代を守る特性があることがわかった。だから、いくらこちらが制御しようとしても、止められないんだ。」
……。
しかも、変身は世界の魔力を使う。
このまま私が無意識に変身したら、世界が崩壊しかねない…。
そうしたら、元も子もない!
「ただ、裏を返せば、梨花ちゃんが戦闘で死にかけなかったら、無意識に天使が出てくることはないということだ。梨花ちゃんは戦闘で、つい無理をしてしまう癖がある。だから、戦闘中も冷静でいることが大切だ。」
「でも…私、敵を前にすると、どうしても感情的になってしまうんです…。」
「気持ちはよくわかる。ただ、梨花ちゃんがこれ以上無理をするわけにもいかない。だから、戦闘が始まる前、一旦深呼吸しろ。そうすれば、普段より冷静になれる。」
「なるほど…。」
「それと、天使の力を完全には制御できないが、少しだけ、天使の力を自分の物にする方法があるんだ。」
「それは…なんですか?」
「自分の心臓の音を感じて、身体中に少し魔力を送る。そして、世界と自分が一体になった感覚を得て技を撃つ。そうすれば、天使の攻撃力を、一瞬だけ出すことができるんだ。」
そうなんだ…!
そんな方法があったんだ…!
「でも、なんで、そんなこと知ってるんですか?」
「それは、私が監視官であるということが大きいな。監視官は生まれた時から、この世界の真理、仕組みを理解している。だから、天使のことも色々と知っているんだ。」
「なるほど…。」
「それと、イヴちゃんと、アリアちゃんが目を覚ましたらしい。2人とも、もう歩ける状態らしいぞ。」
「本当ですか!!!良かった…!!!」
「とりあえず、梨花ちゃん。今日は安静にしておいた方がいい。あ、そうそう。後で、イヴちゃんと、アリアちゃんが様子を観にくるらしいから、よろしくな。」
「はい!」
私は、アルファさんが部屋を出ていくのを見届けた。
イヴちゃんと、アリアさん、目が覚めたのかぁ〜
良かった…、本当に良かった!




