51話:人間であるために
「はっ…!」
私は目覚めた。
「やっと起きたか!梨花ちゃん」
「あ…ミレアさん……」
「良かった!」
「ここは……?」
「森の中にある隠れ家だ。アルファさんがキャンプ地として、いつも使っているらしい」
「そうなんですね……」
私は起きあがろうとした。
っっっっっっ…!!!!
「ぐっあっ……!」
全身が強烈に痛んだ
「今は安静にしておいた方がいい」
「ミレアさん…他のみんなは?」
「アルファさんは、食料調達に。にゃも助は魔法の勉強中。イヴとアリアは別室で療養中だ」
「私……何日寝てました?」
「ん〜……3日か?」
今回の反動はそこまで大きくなかったのか……
「あの……ミレアさんは戦闘中どこにいたのですか?」
「ああ……私は城の地下のシェルターに、アルファさんに案内され避難していた。そうして、騒ぎが収まった時、地上に出た。」
「なるほど……。って……!」
私はあることに気がついた。
「腕治ってる!」
死神に切り離されたはずの腕が元に戻っていた。
「ああ、にゃも助くんが言っていたのだが、天使が不死身の力で治してくれたらしい。ただ……一つ気になることがあって……」
「それは、なんですか……?」
「梨花ちゃん。君の両手を見てくれ」
私は言われた通りに自分の両手を見た。
「っ……!!!」
私の手の爪がマニキュアをしたかのように、オレンジ色になっていた。
「梨花ちゃんって、日頃からマニキュアをしていたかと気になってな」
「いや、私……マニキュアしたことないです!」
「てことはやはり……」
ミレアさんは深刻そうな顔で言った。
「これは私の考察だが、梨花ちゃん。君は、天使に変身するごとに天使に近づいていっている」
は……?
「と、いいますと……?」
「このまま、天使に意思を飲まれたまま変身をしてしまうと、梨花ちゃんそのものが天使になる。つまり、本来の自分に戻れなくなる」
「そんな……」
「今回、君は無意識に天使になった。ただ、無意識のうちに天使になるのを止めなければならない。じゃないと……」
「気づかないうちに、自分自体が天使になってしまう……」
「そういうことだ……」
変身すれば、みんなを守れると思っていたけど……
私自身が天使になって、暴走してしまうと結局意味がない……
どうにかして、天使の力を制御しなきゃ!
「ミレアさん!天使の力を制御する方法って知ってますか?」
「私も詳しくはわからない……。なにせ、私は天使になった人はイヴしか知らないからな。そうだ!アルファさんに聞いてみるのはどうだ?」
確かに……
アルファさんなら何か知ってそうかも……。
「それいいですね!」
「アルファさんが戻ったら、梨花ちゃんと話してもらうように頼もう」
「ありがとうございます!」
私はアルファさんの帰りを待った。




