44話:2人目の監視官
「どういうことですか……?もしかして……!?」
「ああ、監視官は、この世界に数人いる」
てっきり監視官は、この世界で1人だけかと思ってた……
アルファさんは続けて言った。
「そして……あのグリフォンは元々人間だ」
「は……?」
「監視官はな、寿命がとてつもなく長い。が、その代わりに年老いてくにつれて徐々に魔物になっていく」
「それは…なんで……?」
「監視官はそもそも、この世界に存在してはいけない者……。つまり、この世界のバグだ。だから、存在自体に世界とのズレが起きるのだろう」
「じゃあ、現実世界にも監視官は居るんですか?」
「いや、その事例は聞いたことはない。おそらく現実世界は、この世界よりも、遥かに平和だからな……監視官は要らないんだろう」
「なるほど……。その、前にグリフォンが言ってたんですが……この世界は今、危機を迎えているんですよね?」
「ああ。迎えている」
「どんな危機ですか?」
「どういう原理かはわからないが、この世界の魔力の上限が、日に日に上がっている……。それが危ないんだ」
「上限が上がることって、そんなに危険なんですか?」
「いいか重要なのは、この世界の魔力だ。現実世界にも、魔力はあるのだが……この世界との魔力の差が大きい。これ以上、差が開きすぎると……どうなると思う?」
差が開きすぎると……
現実世界と、異世界との繋がりが薄くなって……
最終的に無くなる……?
「現実世界との繋がりがなくなる?」
「そうだ。繋がりがなくなると、表裏一体だったものが別々になる。ということは、存在がなくなるのに等しい」
「そんな……」
「ただ、この問題で1番困るのは……原因と解決策が、わからないことだ。ただ、私は、この問題の原因は何者かによる人為的工作だと思う」
「その理由は……?」
「魔力の増え方が自然にあるそれとは違う。徐々に増えるのではなく、ランダムなタイミングで一気に増えているんだ。だから、私は人為的工作しかありえないと思う」
「誰がそんなこと……」
「そこまではわからない。だから、私たち監視官に協力して欲しい。一緒に原因究明してくれないか?」
原因究明か……
絶対大変だろうなぁ……
でも、ここで断ったら世界救えないし……
世界救えなかったら百合ハーレム作れないし……
「わかりました。協力します!」
「助かる!私たちのほうでも調査はする。何かわかったら、ウェンター王国に梨花ちゃん宛で手紙を送ろう」
「はい!」
「それと……あの金髪の女の子を呼んできてもらってもいいか?」
「アリアさんのことですか?」
「ああ」
私は、部屋の扉を開け、扉の横にいたアリアさんを呼んだ。
「それで……アルファさん?私に何か用事ですか?」
「ああ。君には底知れぬ魔力がある」
「え……?」
「私は見ただけで、その者の魔力の大きさがわかるんだ。君は今もすごい魔力の持ち主だが、まだ隠れた魔力もある。私が、それを特訓で引き出そうと思うのだが……どうだ?」
「引き出せるのなら、ぜひお願いします!」
「じゃあ、明日から脅迫状の予定日まで特訓しよう」
「あの!それ、私もやってもいいですか?」
私はアルファさんに聞いた。
「ああ、もちろんいいぞ」
「ありがとうございます!」
どんな特訓なんだろ……
ウィズさんの特訓と似てるのかな?
楽しみだな〜




