42話:ハプニング船旅
「おえぇぇぇぇぇぇぇ……」
私は海に向かって吐いた。
「アリアさん…アブノーマル・ヒールを……お願いします……」
「任せて!アブノーマル・ヒール!!!」
アリアさんが魔法を放った瞬間、吐き気がおさまりスッキリした。
「大丈夫?梨花ちゃん」
「おかげでスッキリしました!ありがとうございます!」
「良かった!」
「あの……気になったんですけど……」
私は船を見渡して言った。
「この船…ちょっとオンボロじゃないですか……?」
木製の船で、ところどころ木が黒く変色してるし…おまけにギシギシ軋んでるし……
「まあ…しょうがないよ……。ウェンター王国は国費がカツカツだからね……。でもでも!この船、ちゃんと点検したらしいから大丈夫だって!」
それ……
フラグじゃね?
「みんな!大変だ!船の側面の板が一枚外れて水が入ってきてるぞ!」
ミレアさんが、すごい剣幕で言った。
フラグ回収早!!!
「やばい、やばい!先生!どうしよう?」
「とりあえず、みんな非常用のイカダに乗れ!」
「イカダね!どこにあるの?」
「え……?」
「え……?」
「アリア様…私、アリア様に、イカダをこの船にくくりつけておいて欲しいと伝えたはずですが……?」
「ああああああああ!!!!完全に忘れてた!!!!!」
「まずいぞ!このままじゃ全員死ぬぞ!!!」
やばい、やばい、やばい!!!
このまま死んだら世界も救えないし……何よりアリアさんと、イヴちゃんとかと、もっとイチャイチャ出来なくなる!!!
ん……?
待てよ……?
「あ!思い出した!私、修復魔法使えるんだった!」
「でも、この船のサイズじゃ流石に厳しくない?」
アリアさんが聞いてきた。
「イヴちゃん!!!あのブレスレット持ってきてる!?」
「はい!!!」
「今、使ってもいい!?」
「もちろん!!!」
まずい……
こういう会話をしているうちに、どんどん船が沈んでる……!
私はイヴちゃんから貰ったブレスレットを、すぐに着けた。
「うぉぉぉぉぉぉぉりゃあああああ!!!!」
私は船全体に魔力を送った!
ミシッミシッ……!
船がどんどん治っていく!
「おりゃあああああ!!!」
ピカッ!!!!
船が一瞬光った!
「やったよ!梨花ちゃん!!!治った!!!」
「良かった……!あ、でも…まだ船の中には水が……」
「まあ、それはバケツで急いで外に出すしかないね……」
私たちはバケツで船の中に入った水を外に出した。
「ふぅ…疲れた……」
「でも、梨花ちゃんの魔法のおかげで、この船新品みたいになったね!」
確かに……
さっきまで、ボロボロな船だったのに、今では綺麗な木の船に変わっている……
そんなことを考えている時……
「みんな!見えてきたぞ!」
奥の方に朽ち果てた城が立っている島が見えた。




