35話:森を守る者
「はっ……!」
どこ……ここ?
私はあたりを見渡した。
右隣にはイヴちゃんが、左隣には、にゃも助と、アリアさんが寝ていた。
「目が覚めたみたいだな」
「あなたは…助けてくれた人……?」
「ああ……私はウィズ。フォレスト・ウルフのリーダーだ」
「フォレスト・ウルフ?」
「私たちは、各地の森を転々として、魔物と戦っているんだ」
「なるほど……。ここはどこですか?」
「ここは、西の森の隠れ家だ。お前達を3日間ここで治療した」
「ありがとうございます!」
「礼はいらん。大天使様に頼まれたのだからな」
「大天使?」
「なんだ、記憶がないのか。梨花、お前は天使になった」
「私が?なれたんですか、天使に!?」
「ああ、炎の天使エリファリアになった」
「エリファリア?」
「エリファリアは、天使の中でもトップに君臨する…。ただ、1万年前に、あるフェブラスの幹部に倒されて死んだはずだったんだがな。どうやら、この世界で魔力として残っていたらしい」
「その天使が、私を依代として、現れたってことですか?」
「そういうことだ」
「あの……なんで、そんなに歴史とかに詳しいのですか?」
「ああ…それは……」
「お姉様……?」
「起きたか……イヴ」
「お姉様が助けてくださったんですか?」
「ああ……」
「……。その、ありがとうございます」
「気にするな」
お姉様!?
ウィズさん……イヴちゃんの、お姉ちゃんなの?
「イヴちゃん、お姉ちゃんいたの!?」
「え、ええ……。しばらく疎遠でしたが」
「梨花には説明してなかったな。私は、訳あって王国には戻れない……」
「え……?」
「私は魔法が使えないからな……。王国にいても、職にはつけない。だから、他の魔法が使えない仲間と一緒に森で生活している」
「なるほど……」
「それで、イヴ。副騎士団長の仕事はどうだ?」
「いい感じです……。お姉様は、いつも、どこにいらしているんですか?」
「最近は王国近辺の森にいる。来週には、違う王国に行くつもりだ」
「そうですか……」
「んっ…!」
「ニャ…!」
アリアさんと、にゃも助が起きた!
「アリアさん!!にゃも助!!」
「梨花ちゃん……!あいつらを倒せたの!?」
「ええ…そうらしいです……」
「どうやって倒したんですか?」
イヴちゃんが聞いてきた。
「なんか、天使になったらしいんだ……。炎の天使に….」
「炎の天使!?エリファリアにですか!?」
イヴちゃんが、すごい勢いでこちらに迫ってきた。
「う、うん」
「梨花さん…それはすごいですよ!!!エリファリアは…伝説の天使です……!魔力の天使の5倍……いや、本気を出せば10倍は強いですよ!!!」
「そんなに……?」
「梨花ちゃん。炎の天使はね……歴史が苦手な私でも知ってるくらい有名なんだ。なんせ、あのフェネクスを殞落させたんだからね」
「フェネクスを……?」
「うん」
「とりあえず……お前ら、全員無事か?」
「はい!」
「あ!イヴのお姉さん。助けてくださりありがとうございます」
「ありがとうニャ!」
「礼はいい…。それと、アリア……。お前、私との稽古覚えているよな?」
「はい!もちろん!」
「あの稽古を、梨花にもやらせようと思う」
「え!?あれをですか!?」
「ああ…だから5日間、梨花を借りるぞ」
「あの、ウィズさん…?稽古って……?」
「ああ、梨花…お前には、今以上に強くなってもらう。」
「え……?」
「ということで、お前はこれから5日間ここに泊まって稽古だ」
「は、はい!わかりました!」
「じゃあ、明日から頼むぞ」
「ニャ!僕もやらせて欲しいニャ!」
「お前もか?」
「ニャ!」
「わかった…で…は、梨花と、にゃも助…明日から稽古だ。気を引き締めておけ!」
「はい!」
「はいニャ!」
私と、にゃも助は、ウィズさんの稽古を受けることになった!




