26話:唐紅の刃
ファイさんとのバトルから1週間が経った。
あれから私は基礎魔法を叩き込まれ、今では炎属性は詠唱せずに撃てるようになった。
あとは他の属性も慣れれば、もっと強くなれる!
ということで、今日は気分転換の鍛錬ということで、紅玉の鍛錬をする予定になっている。
私は練習場に向かった。
「やあ、梨花ちゃん。今日はみっちり叩き込むわよ!」
「はい!お願いします!」
「まずは紅玉について教えましょうか。」
紅玉とは、第一二奏まである剣術である。紅玉は基本的に武術と魔力を組み合わせることにより繰り出すことができる。つまり、一丸に剣術だけというわけではない。スピードを上げたり、パワーを上げたりなど自分の体の能力を高めるものや、剣術の強化や技など色々なものがある。その中でも習得が難しいものが3つある。そのうちの一つが、第一奏の〈交差する花〉である。
「てな感じで、紅玉は剣術だけじゃない。一応、この国の剣術とされているけど、武術全般に対応しているよ」
「なるほど…」
「梨花ちゃん、ちょっとあたしを殴ってみて」
ファイさんは手をパーにして前に突き出した。
「はい!」
ファイさんの手に全力で拳を入れた!
「うん。なるほど…梨花ちゃんは剣術よりだね。力の使い方が、素手よりも剣術の方が向いてる。てことは、剣術の紅玉を主にやれば、もっと強くなるよ」
「剣術の紅玉って、第一奏の他に、なにがあるんですか?」
「そうだね…とりあえず、今日からは習得が簡単な第五奏からやろう!」
「はい!」
「まずは、あたしがやるから見てて」
私はファイさんの動きを見た。
「まずは剣に少しだけ炎属性の魔法を当てる」
ファイさんはそう言い、剣にフレイを放った。
「その後に刃が赤くなるから、剣に魔力を送り続ける。そうすれば、魔力を送り続けている限り、刃が赤くなり続け、炎属性を纏う」
ポゥゥゥゥゥン…
剣が真っ赤になってる…!
「つまり、攻撃力が上がるということですか?」
「そういうこと。これが第五奏 〈唐紅の刃〉。でも、この状態を長く続けると剣が悪くなっちゃうから、あまり長いこと使っちゃダメだよ」
「タイミングが大事ってことですね!」
「そう!じゃあ、梨花ちゃんもやってみよっか。」
「はい!」
私は剣に向かってフレイを撃った。
私は赤くなった剣を持ち、剣に魔力を送った。
「唐紅の刃!!!」
ポゥゥゥゥゥン…
すごい!剣が赤くなり続けてる!
けど……
これ……めちゃくちゃ疲れる…!
常に魔力を使っているせいか、体力がずっと奪われるような感覚がすごい!!!
「梨花ちゃん、頑張って2分は耐えてみよう」
2分も!?
まるで、持久走をし続けているような感覚なんですけど!?
2分も耐えれるかな……
「はい!梨花ちゃん、2分経ったよ」
「はぁ…はぁ…。この技、めちゃくちゃ疲れますね……」
「まあ、常に魔力を使う技だからね。でも、慣れれば疲れにくくなるよ」
「慣れですか…頑張ります……」
「あ、そうそう。この間のバトルの約束だけど……」
「約束?」
あ!
あの命令を聞くってやつか!!!
やばい!!!
アリアさんとの関係を聞かれたらマジでヤバイ!!!
「あの、命令は何ですか?」
「あたしと一緒にグリフォン討伐に来て頂戴」
「グリフォン?」
「そう。あたし、グリフォン討伐の特別任務を任されてね。近頃、東の森でグリフォンが暴れてるらしい。流石のあたしでも一人じゃ骨が折れるから、一緒に戦って」
「ファイさんでも倒すのが難しいのですか?」
「うーん…難しいというか、厄介なんだよね。あいつ、空飛ぶから、誰かが技を撃ち続けて足止めするしかないんだよね」
「なるほど……」
アリアさんとの関係、聞かれなくてよかった~!
けど、グリフォンか……
絶対強いよな……
「あの、グリフォンはサラマンダーより強いですか?」
「うーん…どうだろう……。まあ、ちょっと強いぐらいかな」
「じゃあ、私が足止めをして、ファイさんがアクア・ブレイブを撃てばやれますね!」
「あ、あたし、しばらくアクア・ブレイブ撃てないの」
「え……?」
「あの技は反動が大きくてね。あれを使ったら2ケ月間は水属性魔法が使えない制約があるの」
「そんな……」
「だから、紅玉を使って倒すしかないんだよね。」
アクア・ブレイブが使えない…
これは…結構大変な任務になりそう……
「じゃあ、明日、城門前に来てね」
「明日ですか!?」
「うん。明日、討伐しに行くよ」
「了解です……!」
マジか……
グリフォン、倒せるかな?
明日になるのが億劫だ……




