23話:魔法のおさらい
あれから1日経った。
イヴちゃんは検査を受け、療養中。
アリアさんと、私、にゃも助は、フェブラスの幹部の1人を倒したことを茜音さんに報告しに今、王室にいる。
「お前たち、よくやった。これで、王国への脅威も多少は少なくなるだろう。ただ、サイモスを倒さない限りは安心ができない。これからもよろしく頼むぞ」
「「はい!」」
「はいニャ!」
「それで、イヴの調子はどうだ?」
「検査の結果、異常がなかったので、今は病室で療養中です。明後日には退院するかと」
「そうか……なら良かった」
「あの、女王様。もう一度、私の魔力を測ってもらえませんか?」
私は茜音さんに頼んだ。
「いいだろう。私の手に手を置いてくれ」
私は言われた通りに手を置いた。
「……なるほど。最初に測った時より格段に上がっている」
「本当ですか!じゃあ、この魔力の量で、基礎魔法って使えますか?」
「そうだな……もう少し魔力をあげて、練習をすれば使えるようになるだろう」
やっぱり、まだ足りなかったか……
でも、最初の頃より望みができた!
「基礎魔法のことなら、私が教えます!」
アリアさんが言った。
「そうか。なら、基礎魔法はアリアから教わってくれ」
「はい!」
私とアリアさんは王室を出た。
「じゃあ、梨花ちゃん。家で基礎魔法について教えるわね!」
「僕も教えるニャ!」
「みんな、よろしくお願いします!」
私たちは家に戻った。
「それじゃあ、今から、もう一度この世界の魔法について教えるわね!」
「はい!」
「魔法は、火、水、土、闇、光、無の6つの属性があるのは覚えてるわよね?」
「はい!」
「この間は、属性の詳しいことについて説明してなかったわね。今からもう少し属性について詳しいことを説明するわね!」
無属性以外の属性は、有機物の力を主としている。具体的には治癒魔法が挙げられる。治癒魔法は体を癒すだけの効果で威力がない。そのため、無属性魔法だと思われがちだが、実際は大地の力を借りて、対象の再生力を高めているので、土属性魔法である。このように有機物に作用する魔法が、無属性以外の魔法である。
しかし、無属性魔法は反対に、無機物の力を主としている。例として、この2つが挙げられる。一つは梨花の修復魔法で、こちらは剣や床といった無機物を修復できるが、有機物は修復できない。イヴの召喚魔法も同じく、こちらは空間を歪めて、対象を自分の位置に召喚させている。したがって、空間という無機物に作用している。結論、魔法は有機物に作用するものが主だが……ごく稀に、無機物に作用する魔法を生み出せる者が現れることがある、ということである。
「って言った感じかな!」
「うーん…ごちゃごちゃしてて、分かりづらい……」
「まあ、つまり、魔法は有機物か、無機物、どちらかに作用するってこと!無機物は本当に稀だけどね」
「じゃあ、私の修復魔法は、無機物にしか作用しないということですか?」
「そういうことになるね。梨花ちゃんの魔法の得意分野は、無機物ってこと!」
「なるほど……」
「だから、基礎魔法を使えるようになるためには、有機物の扱いも得意にならいとってわけ。でも、得意になるためには練習あるのみなんだよね……」
「練習って、どのような?」
「とりあえず、魔法書の基礎魔法の詠唱を暗記してもらいましょうか!梨花ちゃん、手を広げて!」
「ええと……こうですか?」
私は手を広げた。
「そうそう!手に魔力が流れてくような感じをイメージして、このページの1番上に書いてある文を読んでみて」
私は手に魔力が流れるのを想像し、本のページを読み始めた。
「火の力よ…我の心に灯火を灯せ……フレイ!」
ポフゥ! フゥ…
小さな火が手のひらに出てきたが、約5秒で消えてしまった。
「お!梨花ちゃん、すごい!火を出せたわね!」
「あの、アリアさん、なんか思ったよりしょぼかったんですけど……。すぐに消えたし……」
「大丈夫、大丈夫!慣れればもっと長く火が出せるよ!」
「僕も最初はそんな感じだったニャ!」
「じゃあ、梨花ちゃん!これからもっと、基礎魔法を練習していきましょうか!」
「はい!」
そうして、私はアリアさんと、にゃも助と一緒に、基礎魔法の魔法の練習を始めた。
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「サイモス様、ベルファルが少数精鋭部隊により、やられました」
「そうか……」
「ねぇねぇ、サイモス様!あんな奴ら、サイモス様が直接おしおきすればいいのに、なんでやらないの?」
「それはな、ラブ。あいつらは俺と戦うような器じゃないからだ」
「それもそうだね♪」
「サイモス様、今度は私たちが、あいつらを倒しましょうか?」
「そうだな……ただ、ベルファルを倒した奴らだ。少しは用心してくれ」
「はい。」
「やった〜!久しぶりの、狩りの時間♪」
「ラブ、調子に乗らないの」
「わかってるよ〜。バグお姉ちゃん♪」
「バグ、ラブ、頼んだぞ。お前ら双子には期待している。」
「ありがとうございます!サイモス様」
「ありがと!サイモス様♪」
「ねね、お姉ちゃん。いつ、あいつらをボコボコにするの?」
「そうね……まずは作戦を立てましょ」
「え〜、めんどくさい〜!」
「わがまま言わないの。作戦を立てた方が、もっと狩りが面白いわよ」
「それもそっか〜。じゃあ、どんな作戦にする?」
「そうね…こういう作戦はどうかしら?」
バグはラブに作戦内容を話した。
「いいね〜、その作戦!」
「じゃあ、2週間後に実行しましょう」
「はーい!お姉ちゃん!」
ふふ……
我ながら完璧な作戦ね。
私たち2人なら勝てるわ……
覚悟してなさい……




