22話:天使の正体
地面が激しく光った!
「イヴちゃん…。死なないで……」
「おい!アリアさんを、ひとまず安全な場所に移すニャ!」
「そうだね!」
私はアリアさんを、木陰に置いた。
「私…イヴちゃんの様子見に行ってくる。」
「待つニャ!危ないニャ!!」
「でも、イヴちゃんだって危ないじゃない!少しでも戦力になれるなら……!」
私が遺跡に向かおうとした時……
「んっ…はっ!梨花ちゃん!あの巨人倒せた!?」
アリアさんが目覚めた。
「それが…イヴちゃんが…私がどうにかするって言って……」
「てことは、イヴが今1人で戦ってるってこと!?」
「はい…それで、天使みたいな姿になって……」
「天使!?あのバカ!!あれは使うなって言ったのに!!!」
「あの、アリアさん。あの天使について知っているんですか?」
「説明は後!とりあえず、イヴのところに行くよ!!!」
私たちは、また遺跡の中に入り扉の前に着いた。
その時……
シャァァァァァァァン……
「アリアさん!今の音は?」
「おそらく、イヴが元に戻ったわ…死んでなければいいけど……」
「扉を開けるニャ!」
部屋の真ん中にイヴちゃんが横たわっていた。
私はイヴちゃんの元に走っていき、脈を確認した。
「アリアさん!!!脈がまだあります!」
「良かった!ただ、イヴのこの状態は、治癒魔法では治らないの」
「じゃあ、どうやって治すんですか?」
「魔力を直接送り込まなきゃいけないわ。その方法は……」
「方法は?」
「キス」
「キス?」
「キスが1番、魔力を直接送り込めるの。だからこの中で、今の魔力が1番ある人がキスをしないと……」
「アリアさんの、今の魔力の量はどうですか?」
「私はもう全然ないわね。さっきあの技使ったし」
「にゃも助は?」
「僕もさっきから、なれてない応用魔法ばかり使ってたから全然ないニャ!」
「じゃあ、私がやります!」
私はイヴちゃんの唇に、自分の唇を近づけた。
アリアさんとは何回もキスしたけど、イヴちゃんとは初めてキスするな…
イヴちゃんが私とキスするの嫌じゃなかったらいいけど…でもこんなこと考えてる暇ないし…
私はイヴちゃんの唇と自分のを重ねた。
「んっ…」
私はイヴちゃんに魔力を送るイメージをしながらキスをした。
「んっ…はっ!」
イヴちゃんが目を覚ました。
「イヴちゃん!よかった!気づいたんだね!」
「梨花さん…あ、私……」
イヴちゃんはゆっくりと起き上がった。
「イヴ!よかった!あの力使ちゃったんだね…」
「すみません、アリア様。全員ここで倒れるわけにはいかなかったので……」
「ねえ、さっきの天使はなんだったの?」
私はイヴちゃんに聞いてみた。
「あれは…話すと長くなりますが、でも説明しておいた方がいいですね」
イヴちゃんは天使の説明を始めた。
「あの天使は、私のすべての魔力と、この世界の魔力の1%を使うことで出てきます。あれは、私を依代に世界の魔力を形にしたものです。なので、あまり天使を形成することが出来ないのです。連続で形成してしまうと、この世界の魔力が少なくなり、バランスが崩れ、やがて世界が崩壊します」
「なんでイヴちゃんが、天使の依代なの?」
「それは…私がすべての属性魔法が使えるからです。あの天使は先ほども言った通り、この世界の魔力の形。つまり、すべての属性が使えないと、世界の魔力を集めることが出来ない…だから私が依代なんです」
「じゃあ、この世界で天使になれるのは、イヴちゃんだけってこと?」
「はい」
……
壮大すぎてよくわからない……
「でも、私だけが、依代だと思っていましたが……」
「え?」
「梨花さん。あなたも、もしかしたら、依代かもしれません」
「どういうこと?」
「あなたはまだ、無属性魔法しか使えませんが、もしこれから無属性以外も使えるようになった場合、世界で2人目のすべての属性が使える者。つまり、私みたいに天使の力が使えるのかもしれません」
「え……」
「ただ、この力は危険なので、使わない方がいいのですが……」
もしかしたら、私にも天使の力が宿っている?
「とりあえず、城に戻ろ!イヴの状態の検査とかしたいし」
「そうですね。じゃあ戻りましょうか!」
私たちは城に戻った。




