21話:天使
「この身を魔力とし…魔力の輪廻に…全てを捧げよう……!」
闇の箱が光り輝いた!
パリ…!パリッ…!
箱にヒビが入った!!!
「な、なにぃ!?なんだ…俺の箱が…!…!」
バリ…
バリィン!!!
何あれ…?天使…?イヴちゃんは…?
箱から、白い片翼の天使が出てきた。
いや…あれはイヴちゃん?
でも、あんなに髪は長くないし…片翼なんてものもなかったし……
「召喚魔法:天ノ神」
彼女の頭上の空間が歪んだ……
天井からの一本の光が、彼女の手元に入った。
デカ…!!!!!何あれ!?剣!?光の両手剣!?
「なんなんだ…!?こいつはぁ!?」
「梨花…にゃも助…早く逃げなさい……ここは私がやります……」
「はい!」
私と、にゃも助は扉を開け、来た道を戻った。
彼女はイヴちゃん、なのかな?わからない…
戦いが終わったら、戻ってくるのかな…?
―――――――――――――――――――――――
「行きましたか……」
「なんだ!?お前は!?」
「私はマリネファス。魔力の天使です」
「天使だぁ!?ふざけるな!!!」
巨人は棍棒を、天使目掛けて振り回した。
ポワァァン
天使は巨人の攻撃を防いだ。
正確に言えば、無力化した。
「無駄です…あなたの攻撃は私には通用しません」
「ふざけるな…ふざけるなぁぁぁぁあ!!!こんなことがあってたまるかぁ!!!!!!」
巨人は棍棒を捨て、怒りに身を任せ、天使に殴りかかった。
「無駄だと言ったはず…」
「黙れ!黙れ!!黙れ!!!」
「はぁ…これ以上戦っても時間の無駄です…。次は私から、いかせてもらいますね」
「な、なにぃぃ!!!」
ピュン!
「グァァァァァググググゥ!!!」
天使は目に見えない速さで、巨人の右腕を切り落とした。
「まだ戦いますか?」
「黙れぇ!右腕がなくとも…左腕がある!!!」
「はぁ…降伏しないのなら、仕方ありませんね…」
「くそったれぇぇぇ!!!!お前だけは、お前だけは殺す!!!ぐちゃぐちゃにして殺してやる!!!!」
「パニッシュメント・バリス」
その時、天使の剣が激しく光った。
ファン…ファン…ファン…フゥン……
「なんだその技は!!何も起こらないじゃないかぁ!!!諦めて死ぬ気になったか!!!グハハハハハハァァ!!」
「あら…?まだ気づいていないのですね…。あなたはもう、この世にいませんよ?」
「何を言っている!?そんなわけねぇ!俺様は今こうして……」
その時……
「な、なんだ!?俺様の体が半分に…ウワァァァァァァ!この俺様がぁぁぁ!!!こんなやつにぃ!!!!!」
巨人は真っ二つに切れて、光の粒子になった。
「はぁ…最後まで諦めの悪い方でしたね。あ…そろそろ私、限界かもしれません。イヴのことは、あの2人に任せておきましょう」
シャァァァァァァァン……
天使は光と共に消えた。
そして、天使がいた場所には、イヴが横たわっていた……




