15話:限界を超えた魔力
サキュバスのメリーナと遭遇して3日後…
「エクリプス・ブレード!!!!!」
シュゥゥゥゥゥン……
「やっぱ出ないなぁ〜」
私はイヴちゃんとエクリプス・ブレードを安定して繰り出すための練習をしていた。
「梨花さん、エクリプス・ブレードが出た時の感覚はどうでしたか?」
「感覚?」
「はい。その時の感覚がわかれば撃てるかもしれません」
「感覚かぁ〜…」
確か、あの時…死にたくないって思ったら、剣が治って、体の底から湧き上がるような魔力が……
「あ!体の底から魔力が湧き上がってた!」
「なるほど…ということは、限界を超えた魔力が必要ということですか……」
「今の魔力じゃ打てないってこと?」
「梨花さん、このブレスレットをつけてください。」
「これは……?」
「魔力を1回だけ肩代わりしてくれるものです。これをつければ撃てるかと」
「なるほど……って、そんなチートみたいなアイテム、なんで持ってるの?」
「これは、私の魔力を込めながら作ったものです。いわば、魔力を増大させる加護みたいなもの…1個につき1回しか使えないのですが……」
「すごいじゃん!これがあればフェブラスを壊滅できるよ!」
「ただ、欠点もあって……」
「欠点?」
「はい。これはとても繊細なものなので、作るのに半年かかるんです」
「半年かぁ……」
「それゆえに量産しにくいのです。今、渡したものと合わせて、現在3つしかありません」
「なるほど…そんな貴重なもの使っていいの?」
「はい。梨花さんがエクリプス・ブレードを撃つところを見たいので」
「わかった!やってみるね!」
魔力を剣に集中させて…
その瞬間、ブレスレットと剣が光った。
あ…さっきと感覚が違う。これならいける!
シュウィィィィィン!
今!
「エクリプス・ブレード!!!!!」
ドガァァァァァァァン!!!!!
バラッ…
ブレスレットが粉々になった。
「やった!撃てたよ!イヴちゃん!」
「すごいです!梨花さん!」
「あ…でも…」
私は練習場の床に目をやった。
床が技の威力で縦に裂けていた。
「床ボコボコにしちゃった…」
「いいんです、床ぐらい。すぐに治せますから」
ん…?治す…
「ねえ…私の魔法って多分、物とかを修復できる無属性魔法って話だったよね?」
「はい」
「ってことは、この床、私の魔法で治せるのかな?」
「え…」
「ちょっと試してみる!」
私は床に手を当てた。
床だけに魔力を送る感じで…集中して…
「梨花さん!!!床が…!」
え…?
床をチラッと見ると、わずかに発光していた。
ミシッミシッミシッ…!
修復されてきた!
でも…もう、魔力が…
でも!限界を超えてみせる!
ミシッミシッミシッミシッ!!!
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
その瞬間、床がとてつもなく光った!
床に目をやると、新品のように綺麗になっていた。
「やったよ!イヴちゃ…ん…」
あれ…?
急に眩暈が…
私は、また倒れた。
「あ、気づきましたか?梨花さん。」
「イヴちゃん…私、どれくらい気を失ってた?」
「10分ぐらいです」
「10分かぁ〜」
って…
今、もしかして…
イヴちゃんに膝枕されてる!?
「イヴちゃん…もしかして、いや、もしかしなくても!膝枕してくれてる?」
「はい……」
イヴちゃんは恥ずかしそうに言った。
「あの、居心地が悪かったでしょうか?」
「ううん!そんなことないよ。それより……」
「それより?」
「もっとやって欲しいかも……」
「え……?」
「ダメ?」
「もちろん。いいですよ!」
イヴちゃんは、恥じらいながらも嬉しそうに言った。
イヴちゃんのお膝あったかいなぁ…
スベスベで柔らかいし…
また寝ちゃいそう……
「イヴちゃん…重くない…?」
「全然重くないですよ」
「ねぇ…寝てもいい?」
「はい、いいですよ」
私はイヴちゃんに膝枕をされながら、しばらく眠った……




