14話:フェブラス
「サキュバス……」
「梨花ちゃん。さっき結界に、あいつと一緒にいた時どんな会話したの?」
アリアさんが聞いてきた。
「えっと…なんか、異常に私のことを好いてました。襲った理由は上からの命令って言ってました」
「上からの命令?」
「もしかしたら…フェブラスかもしれません」
イヴちゃんが言った。
「フェブラス?」
「はい。ボスのサイモスという、堕天使を中心に構成されている魔族グループです。6人の幹部がいて、その中の1人にサキュバスがいた覚えがあります」
「てことは…私、そのフェブラスに狙われてる?」
「そういうことになりますね…」
「とりあえず、ウロボロス倒しに行かなきゃ!」
アリアさんが言った。
「あの、アリアさん。この森にはウロボロスはいないそうです」
「え?」
「ウロボロスが出現した、という通報は私をここに誘き寄せるための罠でした」
「そうなの!?」
「とりあえず、一旦城に帰って、このことは女王様に報告しましょう」
「そうだね、イヴ。じゃ、帰りましょうか!」
私たちは城に戻った。
アリアさんが王室の扉を叩いた
コンコンッ…
「誰だ?」
「少数精鋭部隊です。今、戻りました」
「そうか。入っていいぞ」
「女王様、ただいま戻りました」
「それで、ウロボロスはどうだった?」
「それが…」
私は茜音さんに全て話した。
「サキュバス…?なるほど…」
「それで、そのサキュバスはフェブラスの幹部だと考えました」
イヴちゃんが言った。
「フェブラスか…それはまた厄介だな…」
「あの、フェブラスってどんな目的で動いているんですか?」
私は茜音さんに聞いた。
「あいつらは、ウェンター王国を支配しようとしている」
「え…?それは、なぜ…?」
「わからない。ただ、梨花さんを狙った理由はなんとなくわかる」
「それは…?」
「梨花さんは、この世界で剣術を磨いて、約1週間で自分だけの技を使えるようになった。これは、普通はありえないんだ。前例もない。普通は自分だけの技を使えるようになるには、4年以上の鍛錬が必要だ」
「え…」
「それだけ、梨花さんの剣術の才能は、敵からしたら最大の脅威だ。だから、早めに梨花さんを潰そうとした」
「なるほど…」
「あとは、にゃも助くんも気をつけた方がいい」
「ニャ?」
「にゃも助くんは、これもまた前例がない、人間と魔族以外の魔術師だ。猫なのに魔法が使える。ということは、魔物も魔法が使えるようになるのかもしれない。その研究材料として、敵からは狙われる」
「ニャ……」
「なぜ、フェブラスが、こちらの情報を知っているのかが疑問点だ。もしかしたら内通者が、この国にいるのかもな。内通者の調査などはこちらでしておく。これからは、フェブラスのメンバーが君たちをしつこく狙ってくるだろう…充分用心してくれ」
「はい!」
私たちは一旦、シェアハウスに戻った。
「てことで、これからどうする?」
アリアさんが言った。
「どうするって…うーん…」
「フェブラスの調査をするのはどうですか?」
イヴちゃんが提案した。
「調査?」
「はい。フェブラスのアジトさえわかれば、そこに騎士団全員で攻めて、フェブラスを壊滅させることができると思います」
「確かに…」
「そうすれば、王国と梨花さん達の脅威を払いのけることができます」
「じゃあ、みんなでフェブラスのアジトを探しましょうか!」
「「はい!」」
「はいニャ!」
こうして、私たちはフェブラスの調査を始めた…
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「メリーナ。あいつを捕らえることはできたか?」
「いいえ、サイモス様。しくじっちゃいました♪」
「……メリーナ。お前には罰が必要だな」
「え…?」
「おい、こいつを捕えろ!」
「「「はっ!」」」
「ちょっと何する気!?なんで、十字架に括り付けるの!?」
「お前を調教する。」
「え…え?何これ…黒い触手?」
10分後
「メリーナ……」
「ひゃい…」
「触手を介して、お前に膨大な魔力を送った。ありがたく思え」
「ありがとうございましゅ…」
「あいつらは我々のアジトを探すだろう。メリーナ、もう一回あいつを捕らえてこい」
「ひゃい…」
「次、しくじったら、もっと重い罰になるからな…」
「も、っと重い…?」
「ああ。」
「わかり、ました、サイモスさまぁ……」
木下梨花……
お前を捕らえて、ウェンター王国を俺の物にする……
首を長くして待っておけ……




